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膝後方の痛みの原因となるファベラ症候群とは|診断・画像・治療

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

昨日、話題に触れるのを忘れていましたが、サッカーU-23日本代表がアジア選手権の準決勝で宿敵イラクに勝ち、オリンピック出場を決めましたね。僕も仕事をしながら見ていましたが、決勝点のゴールには飛び上がりました。

まずは韓国代表との決勝戦、そしてオリンピックと、ぜひともこの調子でがんばってもらいたいですね。決勝の韓国戦は、1月30日(土)日本時間23:45にキックオフです。

今日は仕事の後、飲み会があるので先に記事をアップしておきます。

今回は、ちょっと聞き慣れないであろうファベラ症候群についてまとめてみようと思います。

というのも、ファベラ症候群で検索して、このサイトを訪れる方が多いからです。

よせやん

診断する者に疾患概念がない場合、膝関節炎、半月板損傷、腸脛靭帯炎などと混同されることが考えられ、知識を持っていることが大切です。

Contents

ファベラとは

そもそも、ファベラとは何なのでしょう。

ファベラとは腓腹筋外側頭の起始部に存在する種子骨で、一般的に臨床的意義は小さいとされています(図1)。

種子骨とは、靭帯または腱の中に発生する類円形の小骨のことをいい、形が植物の種子に似ているのでこのように呼ばれています。

ファベラの場合は、膝関節の後外側を支持する役割をもつファベラ腓骨靭帯の中に存在します。

ちなみに、人体最大の種子骨は膝蓋腱の中に存在する膝蓋骨です。

研修医でも、救急外来で膝のレントゲンを見て、

先生!!

後方に骨片を認めます!

どこかで骨折しているようです!

研修医

と報告してくれることがあります。

まずは、ファベラという種子骨の存在をきちんと知っておきましょう

ファベラ CT
図1:ファベラ CT画像

ファベラ症候群

ファベラは種子骨であり、ファベラの存在そのものが疼痛を引き起こすことはありません。

しかしながら、ファベラの骨折や壊死および骨軟骨炎、また、ファベラにより引き起こされた腓骨神経障害などが報告されています。

1977年にWeinerらは、ファベラにおける鋭い疼痛、限局した圧痛膝伸展時痛の3症状がみられる疾患をファベラ症候群として報告しました。( Weiner D, et al. Clin Orthop. 1977 )

しかしながら、ファベラ症候群の認知度は高くはなく、整形外科医であっても知らない場合があります。

ファベラ症候群は診断する者に疾患概念がない場合、膝関節炎、半月板損傷、腸脛靭帯炎などと混同されてしまうことが考えられ、注意が必要です。

よせやん

診断

上述のように、ファベラ症候群は見逃されてしまう可能性があります。

当然ですが、関節鏡検査を行っても関節内に原因は見つかりません。

ファベラ症候群を診断するためには、十分な診察とMRIなどの画像診断が必要です。

では、順にみていきましょう。

身体所見

患者は膝の後ろの痛みを主訴に病院を訪れます。

症状として、Weinerの挙げる以下の症状を認めます。

ファベラ症候群の身体所見
  1. ファベラにおける鋭い疼痛
  2. 限局した圧痛
  3. 膝伸展時痛
    ( Weiner D, et al. Clin Orthop. 1977 )  

これらの3症状がみられる疾患をファベラ症候群と診断します。

これらの症状の他に、膝の伸展障害、腰部の前屈制限、足関節背屈時およびつま先立ちで膝窩部外側部の疼痛などを認めることがあります。

また、fabello-femoral関節へのブロック注射での症状改善などが診断の一助となります。fabello-femoral関節とは、字の如く、ファベラと大腿骨で作られる関節のことです。

画像所見

レントゲン撮影では、ファベラを認めるのみで、特に異常所見は認めません。

CT検査ではfabello-femoral関節の異常影を認めます。

MRI検査では、大腿骨外顆後面の陥凹や、fabello-femoral関節の信号異常(ファベラに接する関節軟骨の限局の信号異常)などを認めることがあります(図2)。

ファベラ症候群 MRI
図2:ファベラ症候群のMRI画像(ファベラに接する大腿骨外顆後面の陥凹を認める)

治療

ファベラ症候群の疼痛の原因は、関節症性変化、軟部組織の炎症や滑膜炎などが考えられ、炎症が治まることにより疼痛は軽減すると考えられます。

したがって、本疾患の治療は保存療法が主体であり、安静、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与、fabello-femoral関節へのステロイドの注入などを行います。

また、疼痛を誘発する動作は控え、ストレッチングや筋力増強などのトレーニングを中心に行います。

しかし、保存療法に抵抗し、疼痛が残存して競技に支障をきたす場合には、ファベラ摘出術を行うことも選択肢の1つになります。

参考図書

おわりに

以上、今回はファベラ症候群に関してまとめてみました。

医療者は見逃すことがないよう、しっかりと知識を整理しておきましょう。

よせやん

患者として病院を受診する場合にも、自分でその疾患について勉強しておくことには非常に意味があるでしょう。

 

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