股関節ロッキング|外科系当直の困った症例

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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日は久しぶりのACL手術があり、腱作りに関して非常にいい復習になりました。また備忘録として記事にそのうちします。

さて、本日は先日救急当直のときに出会った困った症例として股関節ロッキングの症例を紹介します。

研修医時代に2年間救急当直をすると、研修医を終える頃にはある程度どんな症例でも対応できるようになっていると思います。

自分もだいたいの症例には対応できるかなぁと思っていましたが、やっぱりそんなに甘くはないんですね。この間の当直のときにやって来た救急症例ですが、どう対応したらいいのか迷ってしまった症例がありました。

対応に困るのは自分だけかもしれませんが、万が一同じように迷う人がいるかもしれないので、そういう症例に出会ったら紹介していこうと思います。

というわけで今日は、先日出会った股関節ロッキングの症例を紹介します。

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症例

症例は50代の女性の方で、変形性股関節症の既往のある患者さんでした。

もともと股関節痛に悩んでいたそうですが、2日前から股関節前方に違和感を感じるようになったそうです。最近、股関節が完全伸展できなくなるときがあったそうですが、自分で股関節を動かしているとそのうち「ゴキッ」と音がして治るとのことでした。

しかし、その日はどんだけ治そうとしてもまったく治らず、股関節が完全伸展できず歩行するのも困難になってしまったため、救急外来に来院されました。

診察してみると、確かに股関節痛の可動域は屈曲は-30°程で疼痛のため完全伸展できません。となると、まず誰しもが頭に浮かぶ嫌な(除外しなければいけない)疾患は腸腰筋膿瘍ですよね。

あとは、まさかの股関節脱臼くらいでしょうか。だけど、股関節脱臼だったらこんな程度の痛みではないだろうし、ましてや自分で整復できるとは考えにくいですよね。

しかし、救急外来では正確な診断よりも、重篤な疾患を見逃さないことが大切です。血液検査とレントゲン撮影を行い、念のため腸腰筋膿瘍を除外するためにCT検査も行いましたが、特に感染徴候もないし腸腰筋も問題なく、レントゲンで進行した変形性股関節症の所見があるのみで、当然のことながら股関節も脱臼していません。

とりあえず、除外すべき緊急性のある疾患ではなさそうだし、股関節前方でインピンジメントしているか、関節唇損傷か何かがあるんだろうなとなりますよね。

ロッキングした股関節をどうするか

ただ、問題はこのロッキングした股関節をどうすればよいのか…。

何とか戻せないかと股関節を伸展させようと試みてみますが、疼痛の訴えが強くとても整復できそうにありませんでした。

股関節がロッキングして困っている患者さんに対して、いくら緊急性がないからと言って何もせずに帰宅させるわけにもいきません。ここでどうしたらよいのか対応に困ってしまいました。

股関節ロッキングへの対応

というわけで、困ったときは素直に上級医の先生に相談させて頂くのが鉄則です。

すると、股関節穿刺をしてキシロカインを入れてみようとアドバイスを頂きました。

キシロカインとは局所麻酔薬のことですね。股関節穿刺をやってみると、ごく少量の関節液が排液されるのみでした。そのまま、キシロカインを関節内注射します。そして、ゆっくりと股関節を外旋・内旋させながら伸展させていくと、ロッキングが解除されました。

股関節痛も完全に消失したので、原因が股関節で間違いなかったことの確認にもなるわけですね。患者さんは股関節伸展位を取れるようになり、痛みも全くなくなったので非常に感謝してくださり、スタスタと歩いて帰宅されました。

おわりに

以上、今回は外科系の救急当直で出会って対応に困った股関節ロッキングの症例を紹介しました。

できるようになったつもりでも、できるようになった気になっているだけで、「あれ?どうすればいいんだ…」という困った症例に出会うことがあるかと思います。運転でも、できるようになったつもりの初心者〜中級者にかけてが1番事故が多いといいますが、何事に関しても同じだと思います。

困ったときは、患者さんのことを第一に考えて、素直に上級医の先生に相談するべきでしょう。自分がまだまだだと再認識できて、また頑張らなきゃという気にもなれます。

股関節穿刺に関しては、整形外科医になってもなかなかする機会はないのではないでしょうか。救急でこういう症例に出会ったときに困らないように、また改めて記事にします。

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