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第94回全国高校サッカー選手権メディカルチェック|現状の選手・チームの問題点について考える!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

2015年の話になりますが、この時期には第94回全国高校サッカー選手権の都道府県代表チームのメディカルチェックがあります。2015年の都道府県代表はU-18代表選手もいる都道府県内屈指の古豪チームです。このメディカルチェックには昨年度から参加しています。

今日はそのメディカルチェックに関しての報告です。

メディカルチェックを行うとその競技特性や、そのスポーツの現状の問題などが浮き彫りになってきます。こういったことを把握するため、そして、選手がプレー中に突然死することを防ぐためにもメディカルチェックは重要です。

Contents

対象

対象は第94回全国高校サッカー選手権の都道府県代表チームの選手30名です。

高校3年生20名、2年生8名、1年生2名で、平均身長は170.3cm、平均体重は61.1kgでした。

メディカルチェックの内容

今回のメディカルチェックは通常の検診のようなものではなく、問診がメインです。

事前に健康調査用紙に記入してきてもらいます。これは、おそらく第94回全国高校サッカー選手権の都道府県代表チームに全国共通で使用されているものだと思います。

健康調査用紙は以下のように構成されています。

健康調査用紙

  1. 心臓の病気
  2. 気管支喘息
  3. 脳の病気
  4. 整形外科の病気
  5. その他

その他のカテゴリーには、①〜④以外の疾患の既往歴、薬や食べ物に対するアレルギー、普段から内服している薬のなどの項目が含まれます。

結果

①心臓の病気

過去に学校の検診で、不整脈を指摘されたことのある選手が4名いましたが、全員が追加の精査を受け、問題がないと言われていました。

現在、安静時・運動時ともに症状を有している選手はいませんでした。

②気管支喘息

小児期に気管支喘息の既往がある選手が2名いました。

しかし、そのどちらも現在は症状はなく、内服薬も使用していませんでした。

③脳の病気

過去に失神発作やてんかんの既往がある選手はいませんでした。しかし、プレー中に脳震盪を起こしたことがある選手が6名(20.0%)いました。

今までに脳震盪を起こした平均回数は2回(1〜5回)でした。

最近、頭痛や頭重感、めまいなどの症状がある選手はいませんでした。

④整形外科の病気

過去にJones骨折の既往がある選手が3名いました。

腰椎疲労骨折の既往がある選手が1名で、その他の骨折の既往がある選手は6名でした。

⑤その他

①〜④以外の既往として、急性虫垂炎で手術した選手が2名、精巣捻転にて手術した選手が1名、髄膜炎にて手術した選手が1名いました。

薬に対するアレルギーとしては、シングレアチュアブル1名であり、食べ物に対するアレルギーとしてはカニ1名、エビ・イカ1名でした。

現在、内服している薬のある選手はいませんでした。

考察

①脳震盪

脳震盪の既往のある選手は20%(6名)で、この選手達にはさらに詳細な情報を聞いてみました。

症状として、頭痛、めまい、ふらつき、一過性意識消失、けいれんなどを認めていました。一過性意識消失、けいれんを起こした選手は医療機関を受診して精査を受けていましたが、それ以外の選手は医療機関を受診していませんでした

また、直近の受傷時に、5名はその日の練習を中断していましたが、症状の軽度であった1名はプレーを続行していました。

そして、

全員が翌日の練習からプレーを再開していました。
高校サッカーレベルでは全国大会常連チームであっても、脳震盪に関する知識がチームのスタッフや選手およびその家族に全然行き渡っていない

という事実を痛感しました。

脳震盪に関しては、ぜひ下の記事を読んでみてください。

②Jones骨折

Jones骨折の既往は3名(10%)に認めました。このうち2名は手術療法、1名は保存療法にて加療されていました。

この結果を見るとサッカーのメディカルチェックの際には、やはりエコー検診を取り入れたいなという気持ちになりました。年明けにU-15サッカー都道府県トレセンのメディカルチェックがありますので、疾病罹患に関しても調査してみたいと思います。

Jones骨折についての記事はこちらから。

③内服薬

今回のメディカルチェックでは、現在、薬を内服している選手はいませんでした。

しかし、おそらくサプリメントを摂取している選手はいるでしょう。もしかすると、チーム全体でサプリメントを摂取しているかもしれません。

全国高校サッカー選手権ではドーピング検査はありませんが、そこに出場する選手の中には将来日本のサッカー界の未来を担っていく選手が必ずいるはずです。そういう風に考えると、やはり

ジュニアや高校レベルでも、アンチ・ドーピング教育・啓発活動は重要です。

現在の選手達の実情を知るという意味でも、健康調査票にサプリメントに関する質問項目も取り入れてくれたらいいのになと思いました。

サプリメントに関する記事はこちらからcheck。

ドーピングに関する記事はこちらからcheck。

おわりに

以上、今回は第94回全国高校サッカー選手権の都道府県代表チームの大会前のメディカルチェックに関して報告しました。

メディカルチェックを行うとその競技特性や、そのスポーツの現状の問題などが浮き彫りになってきます。こういったことを把握するため、そして、選手がプレー中に突然死することを防ぐためにもメディカルチェックは重要です。

最後に、このチームが大会で実力を発揮し、わが都道県の名を全国に知らしめてくれることを期待しています。

追記:2016年もメディカルチェックを行うので、また報告します。

 

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