オーバートレーニング症候群|原因・症状・治療・スポーツ復帰について解説!

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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日は読者の方から進路に関する相談のメールをもらいました。1年前の秋以降、僕も進路に関して本当に悩んでいたことを思い出しました。でも結局、将来どうなるかは自分の努力と運次第であり、誰にもわかりません。自分の選んだ道を信じて、ただただ努力を続けましょう。

さて、オーバートレーニング症候群って聞いたことありますか?

スランプと思っているアスリートの方は、もしかするとこの病気の可能性があります。僕は今年、健康スポーツ医学講習会に行くまで、この病気の名前を聞いたこともありませんでした。しかし、この病気は選手、メディカルスタッフをはじめ、スポーツに関わる人は認識しておくべきものです。

というわけで、今日はオーバートレーニング症候群の原因・症状・治療・予防などについてまとめていきます。

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オーバートレーニング症候群とは

今回は内容は、主に以下の文献を参考にしています。
川原貴.臨床スポーツ医学.1990
川原貴.JIM(総合診療)20.2010

オーバートレーニング症候群とは、過剰なトレーニング負荷によって運動能力の低下や疲労症状が持続し、容易に回復しなくなる状態で、一種の慢性疲労のことをいいます。トレーニングによる疲労と回復のアンバランスによって生じる適応不全状態ともいうことができます。

トレーニングを行うと疲労が生じますが、栄養摂取と休養によって回復します。

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2016.07.02

トレーニング負荷が適度であれば、疲労と回復を繰り返しながら身体機能は徐々に向上していきます。これが、トレーニング効果に相当します。

しかし、トレーニング負荷が過剰になると回復が追いつかず、身体機能は低下していき、種々の疲労症状が出現します。

この際、短期間であれば十分な休養によって疲労症状は消失し、低下した身体機能も元のレベルまで回復しますが、

回復が不十分なままトレーニングを継続した場合、休養しても低下した身体機能は元のレベルまで回復しなくなります。

疲労が取れたと思ってこの状態で以前と同じようなトレーニングを再開してしまうと、低下したままの身体機能レベルに対してトレーニングが過剰となり、また身体機能が低下してしまいます。

このような状態の悪循環が起こり、徐々にオーバートレーニング症候群に進展していきます。

こんな状態に陥っている選手、またはそんな選手を知っているという方はいませんか?

原因

オーバートレーニング症候群は身体機能レベルに対し、トレーニング負荷が相対的に過剰になって生じるものであり、負荷と回復のアンバランスが原因となります。

オーバートレーニング症候群の原因

  • トレーニング負荷の増大
  • 生活上のストレス
  • 睡眠、休養、栄養の不足
  • 身体機能の低下

など

したがって、トレーニング負荷の増大だけでなく、トレーニング以外の生活上のストレスが増大した場合、また、睡眠・休養・栄養の不足などの回復を妨げる要因が加わった場合、さらに、風邪などの病気によって身体機能が低下した状態でトレーニングを行った場合なども原因となります。

症状

バーンアウト

主要症状は、運動能力の低下疲労症状が持続することであり、同時に種々の身体症状や精神症状がみられる場合もあります。

身体症状としては、立ちくらみが多く、運動時の動悸や息切れ、手足のしびれ、胸痛、腹痛などがみられることもあります。精神症状としては不眠、不安、情緒混乱、うつなどがみられます。

オーバートレーニングから風邪をひく場合もしばしば経験され、免疫機能の低下が示唆されています。

そして、これらの症状は競技特性・トレーニング内容や重症度によっても異なります。

まず、オーバートレーニング症候群の競技特性と症状についてです。

オーバートレーニング症候群の競技特性と症状

  • パワー競技や運動強度の高いトレーニングによるオーバートレーニングでは、多彩な症状がみられる傾向にありますが、回復は比較的速いとされています。
  • 持久力競技や量の多いトレーニングでは、疲労以外の症状に乏しい傾向にありますが、回復には時間がかかります。

次に、オーバートレーニング症候群の重症度とその症状についてみていきましょう。

オーバートレーニング症候群の重症度と症状

  • 軽症

日常生活にはあまり症状がなく、強度の高いトレーニングを行ったときにのみ症状が出現し、競技成績が低下します。

  • 中等症

日常生活や軽いトレーニングの際にも症状があり、競技成績は著明に低下してきます。

  • 重症

日常生活の疲労症状が強く、トレーニングはほとんどできなくなります。重症では不眠はほぼ必発であり、心理テストではうつ傾向を示すのが特徴です。

診断

オーバートレーニング症候群を診断する特異的な検査はありません。

したがって、症状や経過から総合的に診断することになります。

疲労状態を起こすような疾患がなく、オーバートレーニングに陥るような原因があり、症状や経過が合致すれば、オーバートレーニング症候群と診断します。

心理テストのPOMS(Profile of mood state)は診断の補助や重症度の判定、経過観察に有用です。
( Morgan WP, et al. Brit J Sports Med. 1987)

POMSは精神疾患における薬物療法の効果判定のために開発されたもので、気分に関する65の質問に5段階で回答し、気分の状態を表す6つの因子で評価するものです。

気分の状態を表す6つの因子

  • 緊張・不安(T:Tension-Anxxiety)
  • 抑うつ(D:Depression)
  • 怒り(A:Anger)
  • 活力(V:Vigor)
  • 疲労(F:Fatigue)
  • 情緒混乱(C:Confusion)

POMSはオーバートレーニング症候群の補助診断の他に、スポーツ選手のコンディションチェックに有用とされています。

コンディションが良好な場合は、活力(V)が高く、ほかの因子が低い氷山型を示し、典型的なオーバートレーニング症候群では、活力(V)が低く、ほかの因子が高いミラーイメージを示します。

治療

オーバートレーニング症候群の治療は、以下のように行います。

オーバートレーニング症候群の治療

  • 原因を取り除く
  • トレーニングを軽減させて休養させる
  • 十分時間をかけて徐々にトレーニングに戻す

薬物が必要になる場合は少ないですが、不眠の症状がある場合には、安定剤や睡眠剤が必要になります。重症でうつ症状が強い場合には、抗うつ薬が効果のあることがあります。

スポーツ復帰

オーバートレーニング症候群から元のレベルに戻るのに必要な期間は、重症度とオーバートレーニングに陥っていた期間が関係します。

オーバートレーニング症候群からのスポーツ復帰までの期間の目安

軽症・中等症は1〜3ヶ月程

重症では4〜6ヶ月あるいはそれ以上

適切な対応をすれば、軽症・中等症は1〜3ヶ月程で回復しますが、重症では4〜6ヶ月あるいはそれ以上の期間を要する場合もあります。オーバートレーニングに陥っていた期間が長い程、それだけ回復にも長期間が必要になってきます。

早期復帰を果たすためにも、選手自身、メディカルスタッフがオーバートレーニング症候群というものを認識し、早期に診断することが重要です。

予防

予防上の観点からも、まずオーバートレーニング症候群というものをよく認識することが大切です。知らなくては予防することもできませんもんね。

トレーニングでは、短期的にも長期的にも常に回復を図っていく必要があります。

そのためには、トレーニングの強弱のリズム、休養などをトレーニング計画で配慮することです。トレーニング負荷が大きい場合には、1日では回復しないこともありますが、1週間経っても回復しない場合には、トレーニングそのものを修正する必要があるでしょう。

回復の状態をモニターするには、まず選手自身が自分の体によく聞くことが大切です。

疲労感は静止状態によっても左右されるため、判断が難しい場合はありますが、運動時に感じる体調は体の状態をよく反映します。

おわりに

以上、今回はオーバートレーニング症候群についてまとめました。

何よりも選手自身、また周りのスタッフが、こういう疾患があることを認識していることが大切です。

オーバートレーニング症候群の悪循環により、不幸な転帰をたどってしまう選手が出ないように、スポーツ関係者の方はこういう症候群があることをしっかりと認識しておきましょう。

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