cadaver training体験記|百聞は一見に如かず、百見は一行に如かず
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
講演のスライド作成に追われています。
学会発表も来月2つあるしやらなければいけないことがてんこ盛りになってきました。
火曜日から今日まで気付けば1回も家に帰ってません。
しかし、追い込まれて感じるのは今まで限界まで頑張っていなかったんだなということ。
追い込まれたらこんだけ出来るんだったら普段からそのqualityで頑張れよって話ですよね。
追い込まれれば頑張るのは普通ですが、追い込まれていなくても限界まで頑張れるようになりたいです。
ブログで記事にしたい内容もてんこ盛りなのですが、なにぶん記事にする時間がありません。ご容赦ください。
さて、今日は先日まで行っていた膝のcadaver trainingの体験記です。
やはり参加してみないとわからないことが、手術手技の面ではもちろんのこと、それ以外の面でもたくさんありました。
今回はそういった面についてもお話していこうと思います。
Contents
cadaver trainingとは
そもそも、cadaver trainingって何でしょうか。
意外に聞き慣れない言葉だと思います。
cadaver trainingについては以前まとめていますので、そちらの記事を参考にしてみてください。
昨年は足関節鏡のcadaver trainingにも参加しました。
そのときの体験記はこちら。
cadaver trainingでトレーニングした内容
今回、僕が参加させて頂いたのは膝関節鏡の手術手技をトレーニングするためのcadaver trainingでした。
ですので、当然のことながら膝関節鏡の手術手技に関して勉強させて頂いてきたわけです。
具体的にどんな手術手技をトレーニングしたのか紹介していきましょう。
- 半月縫合
- 前十字靭帯(ACL)再腱
- 後十字靭帯(PCL)再建
- 内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)再建
- 内側側副靭帯(MCL)再建
- 外側側副靭帯(LCL)再建
- 自家骨 軟骨移植術(OATS)
この中で、メインでトレーニングさせて頂いたのが半月縫合とACL再建ですね。
ひとえに半月縫合、ACL再建と言っても、実際にはいろいろなやり方が存在します。
半月縫合では、outside-in、inside-out、all-insideをトレーニングしました。
縫合方法によって、縫いやすい場所やピットフォールなどがそれぞれ違います。それを1つ1つ経験しながら勉強させて頂きました。
ACL再建のやり方はもっと多岐に渡ります。
再建する腱は半腱様筋と薄筋(STG)なのか、膝蓋腱と骨(BTB)なのか、大腿四頭筋(Quad)なのか。
骨孔の開け方はinside-outでするのか、outside-inでするのか。
また、骨孔の位置はどこに開けるのか、骨性ランドマークを用いるのか、軟部組織性ランドマークを用いるのか。
腱はどうやって縫合するのか。それは二重束なのか、四重束なのか。
腱を通すのはtrans-portalなのか、outside-inなのか、all-insideなのか。
などなど、やり方は本当に多様です。
今回のトレーニングでは、腱採取はSTG、BTB、Quadをすべて実践し、その時勤めていた病院で採用していたSTGは2回やらせて頂きました。
骨孔の開け方はfar medialポータルを用いたinside-outとoutside-inを実践しました。
また、骨孔の位置に関しては骨性ランドマークについてすごく詳しく教えて頂きました。
結局、PCL再建の流れも2回トレーニングできました。
その際に、実践で使うことの多い後内側ポータル、後外側ポータルの開け方もトレーニングできました。
ここら辺はやってみなければ刺す方向が意外にわかりにくいですが、一度やれば感覚をつかめます。その他にも、MPFL再建、MCL再建、LCL再建、OATSについても学ぶことができました。
cadaver trainingで勉強した解剖
cadaver trainingの後は解剖を行いました。
これがまた非常に勉強になります。
解剖でみたところはたくさんあります。
- ACLとPCLの付着部
- MCLの付着部と走行
- LCLの付着部と走行
- 腓骨神経の走行
- Gerdy結節
- MPFLの付着部と走行
- 膝窩腓骨靭帯(PFL)・膝窩筋などの後外側構成体(PLC)
- 前外側靭帯(ALL)
などなど
解剖の勉強はcadaverで学ぶのが1番記憶に残る気がしますね。
実際に目で見たものはなかなか忘れる気がしません。
行く前に勉強したいと思っていたことに関しては一通り勉強できたと思います。
よせやん
教科書で勉強する場合はこの記事をご参考に。
cadaver trainingに参加して感じたこと
最後にcadaver trainingに参加して感じたことを書きます。
まず、1つめ。
cadaver trainingはめちゃくちゃ勉強になる。
とにかく本当に勉強になります。
生体だと関節軟骨を傷つけないようにするなど、気をつけなければいけないことは多くあります。
しかし、cadaverだと普段できないこともできます。
新しい術式ややったことない術式をいきなり生体の患者さんに試すのでなく、一度トレーニングで実践してからできるわけです。患者さんも、一度もやったことがない人に手術をされるより、経験してある人にやってほしいと思うのではないでしょうか。
実際に、膝窩でSTを採取したり、四頭筋腱を採取したり、使ったこがない器具を使ったりといろいろな新しいことにチャレンジすることができました。
次に思ったのは、
学会や論文での勉強と留学の必要性。
同じ施設にずっといると、当然、手術のやり方や考え方もその施設の考え方に染まってきます。
もちろん、1つのやり方を極めることは悪いことではありません。
しかし、手技を極めようと思ったら、いろいろなやり方や考え方を知っておき、それらを知った上で、自分が最良だと考える方法を選択できるようになりたいものです。
よせやん
その施設で常識と思っていることが、他の施設にいくと常識でないことは多くあります。
手術適応に関する考え方もそうだし、手術の方法に関してもそうです。
ですので、学会に参加したり論文を読んだりして、いろいろなやり方や考え方を吸収していくことは非常に大切だなと思いました。
今回、いろいろな先生方にお会いして、今の僕の施設でやっているやり方に関しての否定的な意見を聞けたりしたことも非常に勉強になりました。
ずっと同じ環境で仕事していると、今の自分の施設でやっていることがすべてであると思ってしまいがちです。
僕が勉強不足なだけですが、ぶっちゃけて言うと、ACLの細かいやり方にこんなにいろんなやり方があるなんて知らなかったし、MPFL再建も自分の施設でやっている方法でどこの施設でもやっていると思っていました。
これは本当に怖いことです。
まさに井の中の蛙ってやつです。
まあ僕は現段階では蛙にもなれていないかもれませんが。
そして、留学の必要性ですね。
同じ医局内でいろいろな病院を回れば問題ないじゃんと思うかもしれませんが、実際、手術手技なんかに関しても同じ医局で同一の方針を貫いていることは多くあります。
そのため、同じ医局内ではなく、国内留学や国外留学で勉強する方が勉強になることは多いのではないかなと思います。
そして最後に、
百聞は一見にしかず。百見は一行にしかず。
これはもう本当にその通りです。
解剖や手術手技に関しては、教科書などで勉強するよりも実際に見て勉強した方が確実に頭に入ります。
そして、見てるだけよりも実際にやってみることが大切です。
ある程度見たら、見るより慣れろです。
セリフ
よせやん
おわりに
以上、今回は先日参加したcadaver trainingに関しての体験記でした。
受講生として来られていた先生は、僕より上の先生しかいらっしゃいませんでした。
このタイミングで来させてもらえたことに感謝です。
cadaver trainingは勉強になることばかりだし、早くて損することは何一つないと思います。
ただ、基本的な関節鏡操作はできるようになっていないと、トレーニングにならない可能性がありますが。
cadaver trainingはいくつかのメーカーさん企画のものがあります。
メーカーさんによって、講師と受講生の比率(どれだけ手技を実践できるか、すぐに講師の先生に教えをこえるかなどが全然変わってきます)や金額、開催地などが異なります。
詳しいことは各メーカーさんに聞いてみて下さいね。
cadaver trainingは本当に勉強になります。
騙されたと思って是非とも参加してみてください。
百聞は一見にしかず。百見は一行にしかず。
この記事が、これからcadaver trainingへの参加を考えている先生や興味のある先生の参考になれば幸いです。
よせやん
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