下腿コンパートメント症候群に対する減張切開術の方法

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日はかなりハードな1日でした。
昨日の当直で明け方に2人が入院となり担当患者がどんどん増える一方で、手術は鬼のように入っていたので朝から晩まで手術をしていました。
珍しく関節鏡の手術は1件のみで、あとは全て外傷の手術でした。
外傷の手術はよくある骨折の手術ばっかりだったので予定より早く終わりましたが、1件だけだった関節鏡の手術でまさかのつまづきました。
今日わかったことは左膝Discoid(円板状半月)の形成切除は苦手だと言うこと。
左手の精度が右手と違い過ぎて凹みました。
やっぱり左手でご飯食べれるようになるくらい左手使わないとダメだな…。
さて、今日は先日あった下腿コンパートメント症候群の減張切開術の方法についてです。
以前、コンパートメント症候群に関しては記事にしています。
コンパートメント症候群はその代表的な6Pの症状を覚え、自分でコンパートメント内圧を測れるようになっておくことが重要です。
しかし、コンパートメント症候群と診断したのはいいものの、減張切開の方法がわからずに対応できないというのではせっかく診断した意味がありません。
今回は、下腿コンパートメント症候群と診断がついた後の減張切開術の方法についてまとめておきます。
Contents
減張切開術の方法
コンパートメント内圧は正常では0〜10mmHgであり、近年では30mmHgを超えたら減張切開術(筋膜切開)の適応があるのでしたね。(内藤正俊. 最新整形外科学体系 2009)
コンパートメント症候群は急性型の場合には筋や神経が壊死に陥り重大な後遺症を残すことがあり、特に発見が遅れた症例の73%に後遺症が残ったことが報告されており、早期発見が重要だと思われます。 (Simms MS et al. Postgrad Med J 2005)
すなわち、コンパートメント症候群と診断したら、可及的速やかに減張切開を行う必要があるわけです。
では、どのように減張切開を行えばよいのでしょうか?!
4つの下腿コンパートメント内圧がすべて上昇している場合は、全てのコンパートメントを切開し除圧しなくてはいけませんが、4つの皮膚切開を加えるわけではありません。
近年では、two incision leg fasciotomyといって外側と内側の2カ所に切開を加えて4つのコンパートメントを除圧する方法が用いられています。
外側の減張切開
では、外側の減張切開はどこに切開を加えたらよいのでしょうか。
図1:外側の減張切開
そして、前方コンパートメント、外側コンパートメントのうち圧の上昇しているコンパートメントの筋膜を切開します。
図1では、前方コンパートメントであれば前脛骨筋筋膜を、外側コンパートメントであれば腓骨筋筋膜を切開していますね。
内側の減張切開
では、内側ではどうでしょうか。
図2:内側の減張切開
そして、浅後方コンパートメント、深後方コンパートメントのうち圧の上昇しているコンパートメントの筋膜を切開します。
図2では、浅後方コンパートメントであれば長趾屈筋筋膜を、深後方コンパートメントであれば腓腹筋筋膜を切開していますね。
この外側、内側に筋膜切開を加えれば、4つのコンパートメント全てを減張することができるわけですが、前方コンパートメント内圧のみが上昇している場合は外側のみ減張切開する、浅後方コンパートメント内圧のみが上昇している場合は内側のみ減張切開するというようにして対応することができます。
つまり、この2つの減張切開の方法を知っていれば、どのコンパートメント内圧が上昇していても対応可能です。
よせやん
おわりに
以上、今回は下腿コンパートメント症候群の減張切開術の方法についてまとめました。
コンパートメント症候群と診断したのはいいものの、減張切開の方法がわからずに対応できないということがないように、この記事で減張切開の方法を確認しておきましょう。
減張切開後の対応については下の記事を確認して下さい。
そもそも下腿のコンパートメントを理解しておく必要があるので、こちらに関してはまた次回まとめておきます。
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