骨折手術後の抜釘(インプラント抜去)の適応とは?
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
本日は朝から1日中外来をしていましたが、ずっと背中からお腹にかけてシクシクと痛んでました。
夕方になって脱水気味になってきたのか、少し発作前の前兆を感じ始めました。
もう少しで外来が終わるというところで、やってきましたあの痛みが・・・。
さすがにそのまま外来を続けることはできなくて補液と鎮痛剤を投与し、点滴しながら何とか外来を終わらせました。
そのあと、痛くなりながらもなんとか自分の部屋に戻ったところで気が抜けたのか、疝痛発作が出現。
昨日に引き続きベッドの上でのたうちまわっていました。
でも20分ほどで症状は消失していきました。
発作は本当に怖いです・・・。
さて、今日は先日参加したAO Trauma Basic Principlesのlecture内容を少し紹介します。
整形外科医として仕事をしていると、骨折の患者さんを診る機会は非常に多いと思います。
では、骨折で手術をした患者さんの抜釘術をした方がいいのか、しなくてもいいのか迷ったことはありませんか?
僕も正直どうした方がいいのかはっきりわからなくて、困っていた時期があります。
この記事では、骨折手術後の抜釘(インプラントの抜去)の適応について紹介しようと思います。
参考文献などは調べていませんが、骨折治療のGolden StandardであるAOの勉強会で聞いた内容なので、ソースとしてはかなり信頼性が高いとは思います。
Contents
骨折手術後の抜釘術の適応
ではさっそく、抜釘術の適応を紹介していきましょう。
- 小児における成長障害
- 遅発性感染
- 偽関節
- インプラントの移動、破損
- 軟部組織の障害
- インプラントによるアレルギー
- インプラントの関節内への突出、関節をまたぐ
- インプラントの緩み
- 美容的な問題、疼痛
- 将来的な合併症の予防
- スポーツ選手
抜釘術の適応としてはこれだけ覚えておけば十分でしょう。
よせやん
ではこれらの中で代表的なものについて順に見ていきましょう。
遅発性感染
遅発性感染が起こった場合は、治療のためにインプラントを抜去する必要があります。
ただし、ここで併せて覚えておいた方がいいのは、
ということです。
急性感染の場合は、インプラントを残したまま、抗生物質の点滴でまず加療を行います。
偽関節
偽関節とは、骨癒合が得られず骨折部位がグラグラして関節のようになっている状態のことを言います。このような偽関節になっている場合には、骨癒合を目指すためにまずインプラントを抜去し、その原因により骨移植を行う、もしくはより固定性のいいインプラントで再度固定して安定性を高くする必要があります。
インプラントの関節内への突出、関節をまたぐ
インプラントの関節内への突出、関節をまたぐ場合は抜釘術の適応になります。
インプラントが関節内に突出している場合、関節運動を行なった際に関節内でインピンジして疼痛が生じてしまうであろうことは想像に難くないでしょう。
それだけでなく、その状態が続くと関節軟骨が痛んでしまう可能性もあります。
また、手の指や足の趾の骨折では骨折により関節を跨いで固定を行うことがあります。
このような場合にも、インプラントは必ず抜去する必要があります。
そうでないと、その関節は拘縮して動かなくなってしまいますね。
インプラントの関節内への突出、関節をまたぐ場合は必ず抜釘を行う必要があることを覚えておきましょう。
よせやん
美容的な問題、疼痛
患者さんから美容的な問題、疼痛の訴えがある場合にも抜釘を行います。
女性の患者さんの場合はもちろんのこと、特に足関節骨折、下腿骨骨折、肘頭骨折などの場合には、皮下組織が薄いためどうしてもインプラントが皮膚の直下に来てしまい、非常に目立ってしまい、美容的な問題を患者さんが抱えてしまう場合があります。
また、患者さんから疼痛の訴えがある場合にもインプラントを抜去する必要があります。
疼痛の程度によっては、一般的な抜釘時期よりも早く抜釘術を行なったり、疼痛を引き起こしているスクリューのみを先に抜去したりすることも考慮すべきでしょう。
よせやん
将来的な合併症の予防
将来的な合併症の予防のためにインプラントを抜去しておくことを考慮しておく必要があります。
特に、骨幹部骨折に対する髄内釘や人工関節を将来的に行う可能性がある場合は必ずインプラントを抜去しましょう。
例えば、足関節骨折で脛骨をプレートで固定したとしましょう。
抜釘をしないで経過を見ていて、その20年後にプレート直上で脛骨骨幹部を受傷してしまったとします。
このときに髄内釘で手術をしようと思っても、プレートを固定しているスクリューが邪魔になって髄内釘を入れることができません。
また、若いときに大腿骨遠位部骨折でプレートで固定していたとしましょう。
抜釘をしないで経過を見ましたが、骨折の影響もあり変形性膝関節症となってしまい保存的治療でも効果が得られなくなってしまいました。
将来的には人工膝関節置換術を考える必要があるでしょうが、人工膝関節置換術をするためにはインプラントを抜く必要が出て来ます。
このようなときに、インプラントが簡単に抜ければ問題はありませんが、
このような状況にならないように、患者が若年である場合や関節近くの骨折の場合には抜釘術を考慮しておくようにしましょう。
よせやん
おわりに
以上、今回は骨折手術後の抜釘(インプラントの抜去)の適応とについて紹介しました。
整形外科医であれば、これらのことを知っておいた上で、患者さんに説明して抜釘術を行うかどうか相談すべきでしょうし、患者さん自身もこれらのことを考慮して抜釘術をやってもらうかどうか考えることができるといいのではないかと思います。
今回、抜釘のことを記事にしたので、逆に抜釘を躊躇する場合や抜釘を行う時期などに関してもいずれまとめようと思います。
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