アキレス腱断裂とは|アキレス腱断裂の原因・特徴など疫学の総まとめ
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
昨日今日と忘年会でなかなか時間がありませんでした。
忘年会のあとに記事をアップしていきます。
明日は都道府県社会人サッカーリーグの昇格戦があります。
今年1年の集大成としてしっかり頑張ってきたいと思います。
さて、今回はアキレス腱断裂に関してまとめていこうと思います。
アキレス腱断裂の原因やリスクファクター、断裂部位など疫学についてまとめていきます。
意外に知られていないことも多いと思いますので、一度しっかりと勉強してみて下さい。
Contents
アキレス腱の解剖
まず、アキレス腱の解剖と機能に関して確認しましょう。
下の記事でアキレス腱の解剖・機能に関して解説しています。
アキレス腱に関連するアキレス腱周囲膜(パラテノン:paratenon)やKager’s fat padに関しても解説していますので、まず解剖と機能に関して確認してみてください。
また、アキレス腱の由来に関しても紹介していますので、興味のある方はそちらも読んでみてください。
アキレス腱断裂の疫学
では、今回の本題であるアキレス腱断裂の疫学について紹介します。
アキレス腱断裂は、足部で最も多い腱損傷です。
基本的には非直達外力での損傷であり、足関節を背屈しながら腓腹筋やヒラメ筋を収縮させる動作で断裂します。
【アキレス腱断裂の受傷シーン】
基本的には非直達外力での損傷であり、足関節を背屈しながら腓腹筋やヒラメ筋を収縮させる動作で断裂。
具体例は、バスケットボールでのジャンプ動作、バレーボールでのレシーブ、剣道での踏み込み動作、サッカーでの急な切り返し動作など。pic.twitter.com/V18y5j6tOr
— よせやん@目指せスポーツドクター (@sports_doctor93) 2019年4月13日
具体的な例としては、バスケットボールでのジャンプ動作、バレーボールでのレシーブ、剣道での踏み込み動作、サッカーでの急な切り返し動作などが挙げられます。
受傷の際、患者さんは「バチンと音がした」「何かで踵を殴られた」というような感覚を持ちます。
受傷直後は踵が着けず、歩行できない場合が多いです。
【アキレス腱断裂の音】
受傷の際、患者さんは「バチンと音がした」「何かで踵を殴られた」というような感覚を持つ。
30〜50歳代に多いが、最近増えている高齢者の断裂では腱が変性しておりこんな音はしない。
むしろ断裂に気付かず、捻挫などと誤診されることも多い。pic.twitter.com/TST19fZGhV
— よせやん@目指せスポーツドクター (@sports_doctor93) 2019年4月13日
おもに30歳代〜50歳代でスポーツ活動の盛んな人に多く、男女比は5〜6:1で男性に多いとされています。
50歳以上では、通常の活動や転落事故で断裂することもあります。
中高年に断裂が多い理由は、アキレス腱の変性が断裂に先行するためといわれています。( Schepsis AA, et al. Am J Sports Med. 2002 )
上述の通り、高齢者は足を捻ったなどの軽微な外傷でアキレス腱断裂を受傷することがあり、この場合は、捻挫と誤診されて見逃されてしまうことがあり注意が必要です。
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糖尿病、痛風といった疾患を持つ人は、アキレス腱断裂の頻度が高いとされています。
その他には、微細な外力の繰り返しによる断裂(マラソン選手など)、直達外力による断裂、ヒラメ筋の萎縮、ニューキノロン系抗菌薬やカルシウム拮抗薬などの服用で断裂を起こすことも知られています。( Stoller DW, Frekel R. Chapter 5. The Ankle and Foot: Lippincott Williams & Wilkins. 2007 )
全身疾患や薬の服用などでも断裂を起こすリスクファクターになるのは意外ですよね。
ここら辺に関しても知っておきましょう。
よせやん
断裂部位
続いて、アキレス腱断裂の断裂部位についてです。
断裂部位はアキレス腱の踵骨付着部から2〜6cm上方が多いとされています。
特に、踵骨付着部より2〜3cm上はアキレス腱の血流が他と比較して少なく、年齢が高くなるにつれてさらに減少します。
そのため、腱の脆弱性が進行し断裂してしまうわけです。
これは確かで、実際にアキレス腱断裂の患者さんを見ていると、アキレス腱の踵骨付着部から2〜6cm上方で断裂している患者さんばかりです。
また、最初に断裂するのはKager’s fat padより離れたアキレス腱後方もしくは中央部です。
この領域は、変性も同時に存在しうる領域です。
しかしながら、踵骨付着部領域は保たれることが多いです。
病理学的には、コラーゲン線維の現象や変性を認め、その結果として、アキレス腱の弾力性が減少し、断裂に至るものと考えられます。
おわりに
以上、今回はアキレス腱断裂についてまとめました。
どうでしたか?知っていることばかりでしたか?
特にアキレス腱断裂のリスクファクターや断裂部位に関しては知らなかったこともあるのではないでしょうか。
次回はアキレス腱断裂の症状や診察、治療に関してまとめていきます。
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