オスグット病とは|発育期の膝の痛みを引き起こす原因とは?
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
最近、このブログに対するいいね!が非常に増えてきました。というか、すごい勢いで増えてきています。非常にありがたいし、やる気が出ますね。
はい!もちろんリアルに支障が出ない範囲で頑張ります。
今日は発育期の男子に多く発症するとされているオスグット病についてです。
この記事では、
- オスグット病とは
- オスグット病の原因と発症メカニズム
- 脛骨粗面の発育
についてまとめていきます。
Contents
オスグット病とは
( Osgood RB. Boston Med Surg J. 1903 )
( Schlatter C. Beitr Klin Chir. 1903 )
骨端症については下の記事で確認してみて下さい。
発育期(10〜15歳前後の小・中学生)に多く発症し、脛骨粗面に疼痛と骨性隆起が生じます。
男女比では、男子に多いですが、女子に発症する場合の発症年齢は男子に比べてやや低いといわれています。
これは、女児では男児に比べ急激な骨成長の起こる年齢が低いため、発症年齢も低い傾向にあるのではないかと思われます。
また、成長終了後でも、脛骨粗面部に骨片が残存し、疼痛を訴える場合があります。
オスグット病の原因
続いて、オスグット病が発症する原因についてです。
特にジャンプの着地時動作など、大腿四頭筋の遠心性収縮が働く際に発症しやすいと考えられています。強力な大腿四頭筋の張力により、脛骨粗面に繰り返し負担がかかってしまうわけですね。
ですので、ジャンプや加減速を繰り返すサッカー、あるいはジャンプ動作の多いバレーボールやバスケットボールの選手に後発しますが、スポーツ活動を起こっていない場合でも発症することがあります。
発症メカニズム
せっかくなので、オスグット病の発症メカニズムをもっと詳しく考えてみましょう。
この疾患の病態について、1903年にOsgoodが大腿四頭筋の収縮力による脛骨粗面の部分的剥離と報告して以来、膝蓋靭帯炎、無菌性壊死(aseptic necrosis)、感染など、多くの病因説が唱えられてきました。
Ogdenらは、小児の切断肢を用いて胎児から16歳までの成長の各段階の脛骨粗面の発育を組織学的にとらえ、これによって脛骨粗面の骨化がどのように進むのか明確に示されました。( Ogden JA, Southwick WO. Clin Orthop. 1976 )
さらに、オスグット病とは発達中の脛骨結節の二次骨化中心の前方部分が膝蓋靭帯の牽引力によって部分的な剥離を起こし、この間の部分に化骨が形成され硝子軟骨が覆う状態であると述べ、その時代まで有力な病因の1つであった阻血性壊死(avascular necrosis)を否定しました。
Rosenbergらは、28例のOSD患者の骨シンチグラフィー、CT、MRIを利用した画像的研究で、オスグット病の原因としては、膝蓋腱炎や滑液包炎など脛骨結節周囲の軟部組織の炎症が、外傷による骨片の剥離より大きく関与していると報告しています。( Rosenberg ZS, et al. Radiology. 1992 )
これは小骨片が存在したままでも症状が回復することを論拠としています。
斉藤は、現在までに報告されている論文と、彼の治験例から考えると、オスグット病の発症メカニズムは下のようであると報告しています。
脛骨粗面の発育
最後に、脛骨粗面がどうのように発育していくのか説明しておきます。
脛骨粗面の発育段階による分類は以下の通りです(図1)。
図1:脛骨粗面の骨化過程( Ehrenborg G, et al. Acta Chir Scand. 1961 )
①cartilaginous stage:骨化核が出現していない段階
②apophyseal stage:骨化核が出現した段階
③epiphyseal stage:骨化核が脛骨の骨端(epiphysis)と癒合し、舌状の骨形成をした段階
④bony stage:骨端核の閉鎖した段階
の4段階に分類されます。
おわりに
以上、今回はオスグット病(OSD)の概念と、その原因・発症メカニズム、脛骨粗面の発育について詳しくまとめてみました。
次回、オスグット病の一般的な知識(症状・診断・病期分類・治療など)に関してまとめていきます。
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