脳震盪の症状と持続時間|注意すべき脳震盪とは?

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日はサッカーの都道府県リーグで遠くまで遠征していたのでヘトヘトです。
前から右足の第2趾の基節骨がボールを蹴ると痛いのですが、いよいよボールが蹴れないほどになってきました。
しばらくサッカーは休業かな…。
さて、今日はスポーツ頭部外傷シリーズのリメイク版です。
まとめを作るために過去の記事を修正しているわけですが、スポーツに関わる方にとって脳震盪については必ず知っておいてほしいので別個で記事にしました。
スポーツ頭部外傷シリーズの前回の記事で、スポーツ頭部外傷の近年の事例と特徴を紹介しました。
スポーツ頭部外傷で最も多くみられるのは脳震盪でしたね。
脳震盪などの軽い頭部外傷だとしても繰り返すことにより、致命的な状態となったり、後遺症が残ってしまう可能性があります。
ですので、
脳震盪を決して軽視してはいけません!
今回は脳震盪とはどんなものなのか、代表的な症状やその持続時間について説明していきます。
Contents
脳震盪とは
まず、脳震盪とは何なのかを確認しておきましょう。
よせやん
1964年のCongress of neurological surgeonsによる定義づけにおいて、
とされています。
脳震盪の症状
次に脳震盪の症状についてお話しします。
スポーツ頭部外傷による脳震盪は、一過性の意識消失や健忘症状だけではなく、頭痛や気分不良など幅広い症状を含んでいます。
上図はガイドライン作成に向けた中間提言より抜粋した脳震盪の症状です。
さらに2015年に発表された論文では、
( Wasserman EB, Kerr ZY, Zuckerman SL, et al. Am J Sports Med. 2015を元に作成)
脳震盪の症状としての発現頻度は頭痛が92.2%、めまいが68.9%、集中力低下が58.3%と多く、一般的に脳震盪の症状と思われている意識障害は5.6%、逆行性健忘は9.8%、外傷後健忘は13.9%と少ない結果であったと報告されています。
また、症状としては平均5.29個と複数の症状を認め、患者の60.1%は1週間以内に症状が完全に消失していますが、患者の6.2%は4週間経過しても症状が残存しています。
そして、再受傷者の方が初回受傷者よりも有意に訴える症状の数が多いこと、症状が遷延すること、競技復帰までにかかる時間が長いことを報告しています。
つまり、再受傷者の方が初回受傷者よりも重症度が高いということです。
脳震盪の持続時間
前回の項目で挙げたような脳震盪の諸症状は、受傷時に生じるものばかりでなく、受傷後にしばらく継続するものがあります。
多くの場合7〜10日で軽快しますが、脳震盪の20%程は3週間を超えて遷延する(上の文献では6.2%が4週間以上遷延すると報告されていますが)とも言われており、特に小児や若年者ではこの期間が長引くので、注意が必要です。( McCrory, et al. Br J Sports Med. 2005 )
また、脳震盪の一部はまれに3ヶ月を超えることがあり、脳震盪の諸症状が3ヶ月程度持続する場合、脳震盪後症候群という概念に包括されており、この場合、高次機能障害などを併発する慢性脳損傷への移行も念頭におかないといけないと言われています。( Lishman WA. Br J Psychiat. 1988)
最後に、健忘や1分間以上続く意識消失、諸症状の数、その持続時間が重症度の指標になると言われています。
健忘や1分間以上続く意識消失、訴える症状の多い場合、持続時間が長い場合は要注意であることを覚えておきましょう。
よせやん
おわりに
以上、今回は脳震盪について、その症状と持続時間についてまとめました。
脳震盪などの軽い頭部外傷だとしても繰り返すことにより、致命的な状態となったり、後遺症が残ってしまう可能性があります。
ですので、
脳震盪を決して軽視してはいけません!
脳震盪を繰り返すことによって起こるセカンドインパクト症候群、高次脳機能障害については下の記事でまとめています。
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