外傷診療における全身CT検査|Trauma Pan-scanとは?適応は?
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今回は救急外傷診療に関してまとめていきましょう。
この記事では、外傷診療におけるCT検査として知っておくべきTrauma Pan-scanとについてお話しします。
Trauma Pan-scanがどういったもので、どういった患者さんに適応があるのでしょうか。
この記事の内容は、JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)に準じてまとめています。
現在、日本で行われている救急治療は基本的にこのJATECに準じて行われています。
Contents
外傷診療におけるCT検査
CT検査は機器の性能向上と撮影時間の短縮により、近年ますますその有用性が報告されています。
これは外傷診療においても同様です。
2009年にTillouらは、whole-body CT(WBCT)を行うことにより、予測生存率を上回る実生存割合が得られたことを報告し、一躍外傷患者さんへのCT撮影に拍車がかかることになりました。( Tillou A, et al. J Trauma. 2009 )
Trauma Pan-scanとは
では、Trauma Pan-scan何なのでしょうか。
さっそく説明していきましょう。
CTの撮影の範囲は、目的とする部位を検査する方法と全身を検査する方法があります。
Trauma Pan-scanの前向き研究では、撮影不要と思われた部位であっても17%(52/311)の症例で優位所見が認められたことが報告されています。( Tillou A, et al. J Trauma. 2009 )
同様に、Salimらは高エネルギー外傷において主訴と身体初見で明らかな外傷の兆候がない症例にTrauma pan-scanを行うと、全症例の19%(頭部3.5、頚椎5.1%、胸部19.6%、腹部7.1%)に異常所見が見つかり、治療方針が変更されたことを報告しています。(Salim A. et al. Arch Surg. 2006 )
また、部位を絞って撮影するよりもTrauma pan-scanのほうが時間短縮に繋がるため、CTをprimary surveyに含むように前倒しにして行うという報告すらあります。(Kanz KG, et al. J Trauma Manage Outcome. 2010 )
しかし、重症患者さんでは循環動態が安定していても撮影中に急変することがありますし、その適応には十分に配慮する必要があるでしょう。
少なくとも、JATECでprimary surveyでCT検査の実施を推奨するには至っていません。
Trauma Pan-scanの適応
では、Trauma Pan-scanはどんな患者さんに適応があるのでしょうか。
適応についてもお話ししておきましょう。
一般的に、Trauma pan-scanの適応は高エネルギー外傷です。
高エネルギー外傷がどんな外傷か理解していない方は下の記事で確認しておきましょう。
また、Primary surveyで「切迫するD」があり、secondary surveyのはじめに頭部CTを撮影する場合には、頭部CTに続けてTrauma pan-scanを行うことが許容されています。
つまり、Trauma pan-scanの適応は以下のようになります。
- 高エネルギー外傷
- Primary surveyで「切迫するD」があり、secondary surveyのはじめに頭部CTを撮影する場合
この2つをしっかりと覚えておきましょう。
よせやん
参考図書
この記事の参考図書です。
外傷診療に関わる全ての人が読むべき教科書です。
現在、救急外傷の対応は基本的にこのJATECガイドラインに準じてやっていれば間違いありません。
外傷診療に関わる方はこの教科書で勉強しましょう。
おわりに
以上、今回は外傷診療におけるCT検査として知っておくべきTrauma Pan-scanとについてお話ししました。
次回は、Trauma Pan-scanの読影方法についてまとめようかなと思います。
明日は社会人サッカーの都道府県リーグがあるので、今日はマッサージに行って早く寝ようと思います。
待機で呼ばれませんように。
本気でスポーツ医学と運動器診療を学びたい人のために!
- どこにいても(都会でも地方でも)
- 誰でも(医師・理学療法士・鍼灸師・柔道整復師・トレーナー・学生などスポーツに関わる全ての人)
- いつでも(24時間)
利用可能なスポーツセミナー動画配信サービス!!
1週間1円トライアル実施中!!