「アキレス腱縫合術に対する文献的考察」②主縫合と縫合糸の選択

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どうも、こんにちは。

さて、今日は久しぶりに医学系の記事です。
以前からまとめている、アキレス腱断裂に対する縫合術に関する文献的考察の続きをやっていきます。
今回は特にメインの縫合となる主縫合、そして縫合糸の選択についてまとめます。

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はじめに

少し時間が空いてしまいましたので、今までまとめたアキレス腱断裂に対する一般的な知識のまとめに関してはこちらから確認してください。

関連記事:「アキレス腱断裂」①解剖・疫学(おまけ:アキレス腱の命名)
関連記事:「アキレス腱断裂」②診察・診断・スポーツ現場での対応・治療
関連記事:「アキレス腱断裂」③リハビリ・リコンディショニング・再発予防

前回、アキレス腱断裂に対する縫合術によって、保存療法と比較して早期運動療法が可能になれば手術療法のメリットがより大きくなることをご説明しました。

関連記事:「アキレス腱縫合術に対する文献的考察」①総論

では、どうすれば強力な縫合張力を得ることができるのでしょうか。
ずばりポイントは、

主縫合のstrandを多くする。
特別な縫合方法や縫合糸の種類を工夫する。
主縫合に加えて、epotenon縫合を補助縫合として行う。

ことなどが挙げらるのでした。
( Hirpara K, et al. J Bone Joint Surg. 2007 )
( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )

というわけで、今回は主縫合と縫合糸の選択に関しての文献的考察をしてみます。

アキレス腱縫合術の主縫合

アキレス腱は体内で最大の張力がかかる腱であるため、アキレス腱断裂に対する縫合術では、まず十分な抗張力が得られる方法を選択する必要があるのでしたね。

前回も紹介しましたが、現在も行われている従来の主縫合の方法としては、Bunnell法、Kessler法、Kirschmayer法などがありますが、いずれも2−strandであり主縫合として単独で使用するには縫合強度は不十分であると考えられます。
ただし、ループ針を用いればこれらの縫合方法でも4−strandになります。
strandの意味がわからない方は再度こちらの記事で確認してくださいね。

関連記事:「strandとは?!」縫合の話に出てくるよくわからない単語

強固主縫合の方法として、Martiらが提唱した中枢側を内外側の2束にして末梢端を挟み込むかたちの縫合法であるtriple bundle法は、良好な手術成績が多数報告されていますが、この方法も断裂部の縫合糸でみれば8-strandであり、十分に強力な縫合張力を得るためにはstrandが多い方がよいことを裏付けているといえます。
しかし、当然のことながらstrandの増加とともに糸と結び目の容量が増加するので、バラテノンや皮膚の被覆に影響する可能性もあり、吉川らは

アキレス腱の端々縫合において早期運動を行うには、従来行われている4-strand以上が必要で、6-strandが適当である。

と述べています。
( 吉川泰弘,須田康文.MB Orthop. 2009 )

縫合糸

次に縫合糸に関してです。
アキレス腱断裂に対する主縫合に3−0糸を使用するのは縫合強度的に問題があり、

主縫合には2号、補助縫合には3−0ないし2−0程度の縫合糸の太さが必要である。

とされています。
縫合糸の種類については、ポリエステル製やその他の材料の縫合糸の方が強度的には優れていますが、
( Mishra V, et al. J Hand Surg. 2003 )
一般的なナイロン製のより糸(Surgilon)でも6-strand法とすれば主縫合として十分な縫合強度が得られるうえ、さらに補助縫合で縫合強度を増加させるのであれば、現時点ではナイロン製でも十分であるとされています。
( 吉川泰弘,須田康文.MB Orthop. 2009 )
また、ナイロン製の糸はどの施設でも備えてあり、医療経済的にもあまり負担とならない利点もあると思われます。
ちなみに当院の場合、主縫合には縫合強度に優れたポリエステル製のウルトラブレイドスーチャーを用いていますけどね。

おわりに

以上、今回はアキレス腱断裂に対する縫合術に関する文献的考察の続きとして、メインの縫合となる主縫合、そして縫合糸の選択についてまとめました。

今回まとめていて、2号とか2−0とかっていう糸の太さについて意外に知らない方もいるんじゃないかなと思ったので、そちらに関してもどこかでまとめれたらと思います。

とりあえず、アキレス腱縫合シリーズとしては、次回、補助縫合についてまとめる予定です。

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