膝関節拘縮の治療|手術適応と観血的・鏡視下関節授動術とは

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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

昨日は嵐のような当直でした。忙しいのは構わないですが、メンタル的に疲れる患者さんがいたりすると、疲労がぐっと溜まってしまいますね。

当直明けに病棟業務を終わらせ、後は昼寝(寝落ち)とお勉強タイムです。夕飯はおいしいもの食べに行こう。

さて今日は、昨日の続きで膝関節拘縮の治療についてお話しします。

特に今回は膝関節拘縮の手術適応と関節授動術についてお話しします。

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手術適応

前回、膝関節拘縮の治療を行ううえで、まずその原因が何なのかについてしっかり病態を把握しておくことが大切であるとお話ししました。

膝関節拘縮とは|膝関節拘縮が起こる原因について事細かに解説!

2016.06.18

術前に、病歴、臨床所見、単純X線所見、およびMRI所見などから上述した膝関節拘縮の病態をよく検討し、手術適応および手術方法を決定します。

特に、病歴は拘縮の病態を把握するうえで重要な情報を多く含んでいるので詳細に検討する必要があります。

拘縮の原因が複数であったり、拘縮が長期間続くと単一の病態ではなくなります。拘縮の病態が複雑なほど、術後可動域の改善が得られにくいので、手術適応および手術方法を慎重に決定する必要があるわけです。

また、すでに再三にわたり手術を受けた症例では、膝関節周囲、特に伸側の皮膚が著しく線維化していることがあり、このような場合には、手術侵襲が皮膚の循環障害を起こし、術後壊死に陥る可能性があるため、皮切などにも十分に注意を払う必要があります。

高度の膝関節拘縮はADL上も機能障害が強く、患者の希望と意欲があれば手術療法の適応となりますが、手術侵襲も大きく、後療法にも長期を要するため、それぞれの症例の病態をよく検討し、さらに関節可動域が改善したために膝関節痛が出現したり、増強したりする可能性がないかどうかも考慮したうえで、

可動域の改善のみにとらわれず、膝関節全体の機能の十分な改善が見込まれる場合に手術療法に踏み切るべきである

とされています。

膝関節授動術

上述した通り、関節拘縮の病態は複雑で、それぞれの症例の病態に適した手術方法を選択する必要があります。

これまでさまざまな関節授動術が開発されていますが、大多数の手術方法は、関節内の癒着剥離と同時に伸展機構のexcursionの獲得を目指すものです。

( Thompson TC. J Bone Joint Surg. 1994 )
( 弓削大四郎.関節外科.1982 )
( 富士川恭輔ら.臨床整形外科.1983 )
( 須田康文ら.MB Orthop. 2002 )

関節内の癒着剥離については、いずれの手術方法もその手技に大きな違いはありませんが、伸展機構の処置にはさまざまな特徴があります。

では、これから手術方法について項目ごとにまとめていきます。

皮膚切開

まず、皮膚切開に関してです。

拘縮の病態によって手術方法が異なるので進入法もそれに合わせる必要があります。

関節内の広範囲な展開を要する場合には、内側傍膝蓋皮切が有用ですが、再手術例が多く、特に頻回の手術のために伸側の皮膚が著しく線維化している場合は、創閉鎖が困難になったり、関節可動域が改善するとともに皮膚の循環障害をきたす危険があるので、皮切はできるだけ前回のものを利用するようにします。

関節内の剥離

続いて、関節内の剥離についてです。

半月板、十字靭帯などの関節構成体を可及的に温存しながら、膝蓋大腿関節大腿内・外側谷部、および顆間窩部の癒着を剥離します。

関節内の癒着は、損傷部位や手術操作を受けた部位を中心に存在するので、術前に癒着が存在し得る部位を十分に検討しておくことにより、不必要な剥離操作を避けることができます。

膝蓋大腿関節は膝蓋骨の可動性が十分に得られるまで剥離を行いますが、癒着が強いと軟骨が剥がれやすく、剥離に際して関節軟骨面をできるだけ損傷しないような愛護的操作が必要です。

膝蓋大腿関節の可動性が得られたら、膝蓋骨を翻転し、大腿脛骨関節の剥離を進めていきます。

大腿内・外側谷部の剥離は十分に大腿骨顆部後方まで行う必要がありますが、内側谷部の剥離に際しては、内側側副靭帯を損傷しないように十分に注意する必要があります。

顆間部は前・後十字靭帯をできるだけ温存しながら剥離を進めます。ときどき膝関節の屈曲を行い、癒着が残存する部位を確認しながら剥離していきます。

膝蓋骨を翻転した状態で関節内の剥離を十分に行えば、通常は目標とする可動域が得られます。

その後、膝蓋骨を整復しても、同様の可動域が得られれば、ここで手術を終了しますが、膝蓋骨の整復により可動域が著しく減少する場合には、supra-patellar factorまたはingra-patellar factorに対する手術操作を要することになります。

鏡視下授動術

術前の検討により、関節内操作のみで十分な可動域が得られる可能性がある場合には、関節鏡視下授動術が適応となります。

鏡視下授動術では、外側膝蓋下ポータルより鏡視し、内側膝蓋下ポータルより剥離をすすめるのが一般的ですが、剥離する部位により内外側ポータルを逆にしたり、別に膝蓋上ポータルを作製するなど、症例に合わせた対応が必要です。

また、関節内の癒着が著しい場合には、関節鏡を挿入しても鏡視野が全く得られない場合があります。その際には、解剖学的な位置関係を参考にしながら、ある程度鋭的に線維組織を切除しながら視野を確保します。

膝蓋大腿関節、膝蓋上嚢、内外側谷部の順に剥離を進めていきます。

通常、鏡視下にエレバを用いて鈍的に線維化を剥離していきますが、線維化の強い部分ではハサミなどにより鋭的に剥離を進めます。

その際にも、不必要な切離による関節内出血をできるだけ避けることが術後の可動域獲得に大切になってきます。

顆間部は前・後十字靭帯をできるだけ温存しながら、シェーバーなどを用いて剥離を進めていきます。鏡視下の場合にも、ときどき膝関節の屈曲を行い、癒着部位を確かめながら剥離を進めていくことが大切です。

参考図書

今回の記事を書くにあたり参考にさせて頂いた図書です。

膝関節の臨床について勉強することができます。

おわりに

以上、今回は膝関節拘縮の手術適応と関節授動術についてお話ししました。

関節授動術(癒着の剥離)での治療についてどういったことをするのかご理解頂けたでしょうか。

次回、関節授動術でも可動域が十分に得られない場合の伸展機構の処置、膝蓋骨低位に対する処置、後療法についてまとめる予定です。

膝関節拘縮の手術|伸展機構・膝蓋骨低位の処置、術後のリハビリ

2016.06.20
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