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脳震盪へのスポーツ現場での対応|スポーツ関係者必読!!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

今、金沢で開催されたサッカードクターセミナーからの帰りです。

いや〜やっぱり行って本当によかった!

今までの繋がりも確認しつつ、新たな縦・横の繋がりをたくさん作ることができました。

そして、スポーツ関連の最新情報を聞けるのもいいですね。

目標が少し増えてしまいました。

ただ、2日目の実技のサッカーはめちゃくちゃ暑かった。

何かまだ頭痛いです…。

 

さて、今日はスポーツ頭部外傷シリーズをやっていきたいと思います。

ここまでは脳震盪に関して、そして、脳震盪を軽視してはいけない理由を勉強してきました。

では、実際のスポーツ現場で脳震盪などの頭部外傷を受傷した選手に対してどう評価を行い、どう対応すればいいのでしょうか。

今日は脳震盪へのスポーツ現場での対応についてまとめます。

Contents

現場での脳震盪評価ツール

実際のスポーツ現場でスポーツ頭部外傷を受傷した選手に対しては、まず、現在の状態を適切に評価することが大切です。

 

評価ツールに関してはこちらの記事で確認してください。

この評価ツールを印刷し、スポーツ現場に必ず持って行きましょう。

 

Spolinkでも脳震盪の現場対応マニュアルを作成しましたので、こちらもご活用頂ければ幸いです。

スポーツ医療者でなくても使いやすいものになっています。

 

スポーツ現場での脳震盪の評価

スポーツ現場での脳震盪に対する対応を勉強する前に、再度、脳震盪の評価方法を確認しておきましょう。

SCAT3、ポケットSCAT2の内容を参考にして、重要そうな部分のみをピックアップして、スポーツ現場での対応をまとめます。

 

まず選手の意識状態を確認する。

意識状態は図1のグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)で評価します。

 

意識障害は時間とともに変化することがあり、繰り返しチェックすることが大切です。

よせやん

時間とともに悪化する場合は、頭蓋内出血などの重篤な障害が起きている可能性があり、直ちに専門施設に搬送し精密検査を行う必要があります。

 

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図1:Glasgow Coma Scale(SCAT3より引用)

 

選手の意識があれば、次に症状を評価する。

 

以下の症状の項目をどれかひとつでも認めた場合は脳震盪を疑います。

よせやん

脳震盪を疑うべき症状や徴候
  • 意識消失
  • けいれん
  • 健忘
  • 頭痛
  • 頭部圧迫感
  • 頚部痛
  • 嘔気、嘔吐
  • めまい
  • ぼやけて見える
  • ふらつき
  • 光に敏感
  • 音に敏感
  • 素早く動けない
  • 霧の中にいる感じ
  • 何かおかしい
  • 集中できない
  • 思い出せない
  • 疲労、力が出ない
  • 混乱している
  • 眠い
  • 感情的
  • イライラする
  • 悲しい
  • 不安、心配

 

記憶力の評価をする。

記憶力は図2のマドックス・スコアで評価します。

 

5つの質問のすべてに正しく答えられない場合は脳震盪を疑います。 

よせやん

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図2:マドックス・スコア(SCAT3より引用)

 

バランステストを行う。

SCAT3では修正BESS(Balance Error Scoring System)テスト、つぎ足歩行テストで評価するように書かれています。

詳しくはSCAT3で確認してください。

 

ポケットSCAT2には直列立ちでの評価が記載されています。

これは、利き足ではない方の足を後ろにして、そのつま先と反対側の足のかかとを接して一直線上に並べて立ってもらい、手を腰に当てたまま目を閉じて、20秒間その姿勢を保ってもらいます。

もし6個以上のエラー(手が腰から離れる、目を開ける、つま先とかかとが離れる、歩く、よろめく、転ぶ、5秒間以上開始の位置から離れたままになる、など)を認めた場合は脳震盪を疑います。 

よせやん

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スポーツ現場での対応

では、いよいよスポーツ現場での脳震盪への対応を勉強して行きましょう。

 

上述したように脳震盪の評価を行い、

脳震盪が疑われた場合は、その日の競技に復帰させてはいけません。

 

診断が確定したらではなく、「疑われたら」です!! 

よせやん

 

そして、医学的な診断を受けさせる必要があるため、必ず病院を受診させるように指導しましょう。

臨床症状は脳振盪(脳振盪症候群)であっても、実は軽症の急性硬膜下血腫である症例が相当数あるのではないかと言われているのでしたね。( Cantu RC. J Neurotrauma. 2010)

 

また、受傷後24〜48時間は選手を1人きりにしないで、その後の変化を観察し続ける必要があり、医療関係者によって許可されるまでは、自動車やバイクなどを運転させてはいけません

また、アルコールの摂取を控えること、睡眠薬を使用しないこと、アスピリン・抗炎症薬あるいは鎮静作用のある痛み止めは使用しないように注意しましょう。

 

これをチーム関係者や家族に伝える必要があり、次のような徴候を1つでも認めた場合は病院へ行くように伝えます。

病院受診を勧める場合
  • 頭痛があり、それがひどくなる
  • いつも眠そうである、起こしても起きない
  • ひとや場所が認識できない
  • 嘔吐を繰り返す
  • いつもと違う行動をとる、混乱している、怒りっぽい
  • けいれん
  • 手足に力が入らない、しびれる
  • 立位や歩行が不安定、しゃべり方が不明瞭  

 

最後に、もうひとつ大切なのは、頭部外傷では、脳震盪よりさらに深刻な脳損傷を引き起こすことがあるため、下記ののいずれかを認めた場合には、可及的速やかに救急処置を行い、病院へ救急搬送することです。

急性硬膜下血腫を生じていた場合には緊急手術が必要になることもあります。

救急搬送が必要な場合
  • GCSが15点未満
  • 意識状態の悪化
  • 脊髄損傷の疑い
  • 症状の進行や悪化または新たな神経学的徴候 

 

まとめ

以上、今回は脳震盪へのスポーツ現場での対応についてまとめました。

 

脳震盪の評価およびスポーツ現場での対応は、スポーツ関係者全員が知っておくべきでしょう。

スポーツドクターなら当然できなくてはいけません。

それを知らないと、セカンドインパクト症候群や高次脳機能障害などを引き起こし、後遺症を残したり、最悪の場合、死につながる可能性があります。

 

この記事で勉強して頂き、実際のスポーツ現場での対応に活かして頂けると幸いです。

 

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