半月板の基礎医学|半月板を構成する細胞・血流と栄養・機能などについて
どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。
よせやん
最近、ブログで医学的なことを全然書いていないと思い、久々に書こうと思います。
比較的に自由に使える時間はあるのですが、他にやりたいことが多すぎて、どうしても医学情報は簡単に情報発信できるTwitterに偏ってしまっています。
今後、ブログでも以前みたいにもう少し医学情報も発信していこうと思いますが、やはりTwitterの方が多くなると思いますので、よかったらTwitterもチェックしてみてください。
さて、しばらく半月板のテーマで行こうと思います。
半月板については、以前ブログである程度まとめてきました。
今回は、今まであまり扱ってこなかった半月板の基礎医学的なことを紹介してみようと思います。
基礎医学と聞くとつまらなそうと思うかもしれませんが、知るとかなり興味深いことが多いと思います。
特に、半月板を構成する細胞・血流と栄養・機能などについてまとめていきます。
Contents
半月板の基礎の基礎
まず、そもそも半月板とは何だ?とか半月板の解剖、内側半月板と外側半月板の違いなどもっと基本的なことが怪しい人は、今回の話はかなり意味不明になってしまうと思いますので、そういう方は先に下の記事を読んでみてください。
今回は、もっと突っ込んだ半月板の基礎についてお話をしていこうと思います。
半月板は、主に線維軟骨で構成され比較的無血管性の組織ですが、その生化学的および微細構造は部位によって特徴が異なっていrます。
部位ごとにどのような違いがあるのか見ていきましょう。
よせやん
半月板を構成する細胞
半月板を構成する細胞は、存在する場所および細胞形態に従って、主に3つのタイプに分類されます。
- 表層細胞
- 線維軟骨細胞
- 線維芽細胞
表層細胞は紡錘形で、半月板表面に対して平行に整列しています。
線維軟骨細胞は無血管領域の体部に存在し、軟骨細胞と同様に主に楕円形から円形であり、1型コラーゲンおよび2型コラーゲン、プロテオグリカンを産生します。
表層細胞と線維軟骨細胞は、細胞外マトリックスの合成と維持に関わっています。
そして、無血管領域に存在する線維芽細胞は、他の細胞と接して長い細胞伸長を有しています。
近年、半月板の表面領域に幹細胞の集団が含まれることがわかり、組織恒常性および半月板の修復と再生において重要な役割を果たすことがわかってきています。
よせやん
半月板の血流
半月板への血液供給は、外側および内側の膝蓋下動脈の上・下枝に由来しています。
解剖学的な研究により、血管は内側半月板の幅の10〜30%、外側半月板の幅の10〜25%であることが知られています。
また、滑膜組織も血流を有しており、半月板の大腿骨面および脛骨面の両方の末梢付着部を覆っています。
これは、今度説明する半月板の修復と再生に大いに関わってくるところになります。
上の図のように、半月板の外側(関節包側)の血管領域はred-red zone、半月板の内側(顆間側)の無血行野はwhite-white zone、その間はred-white zoneと分類されています。
血管領域のred-red zoneは損傷が治癒しやすく、反対に無血行野のwihte-white zoneは自然治癒はあまり期待できないということを知っている方も多いのではないでしょうか。
よせやん
半月板の機能
続いて、半月板の機能です。
こちらも下の記事で簡単に説明はしましたね。
もう一度まとめると、
- 衝撃吸収
- 荷重支持
- 荷重伝達
- 安定性
- 関節潤滑性
- 関節軟骨への栄養
など
もっと細かく見ていくと・・・
引張張力に対する役割を果たすのは1型コラーゲンで、半月板の総コラーゲン量の約90%を占め、半月板外縁より2/3の領域に分布します。
また、半月板内縁部には2型コラーゲンが多く、粘弾性特性に関わるプロテオグリカンは主に内縁部に存在します。
参考図書
半月板について学ぶならばこの本がオススメです。
かなり詳しい本で、僕も基礎研究について何か調べる時にもよく使っています。
完全に半月板のみにフォーカスが当てられた教科書です。
解剖、疫学から病態,、治療まで、 半月板のすべてについて網羅されています。治療については、手術、リハビリ、再生治療まで完全にカバーされています。
膝関節外科やスポーツ整形外科の医師ならヨダレものの1冊だと思います。
よせやん
おわりに
以上、今回は半月板の基礎医学についてお話ししました。
基礎だけを知ってもあまり面白くはないのですが、この内容が臨床とどう関わっているのかを知ると一気に楽しくなってくると思います。
普段、診断したり治療しているのに、実は細かいことは全然知らなかったという方も少なくないと思います。
この機会に、そういうところを知ってもらえたらと思います。
よせやん
というわけで、次回は半月板損傷が治癒するメカニズムについてまとめようかなと思います。
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