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Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨基部骨折)とは|原因から治療まで解説!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

先日は日本代表とカンボジアの試合見れませんでした。 内容は微妙だったようですが何とか2−0で勝ってよかったですね。 そんな中でもW杯予選5試合でゴールを決めた本田は流石ですね。 ミランでもこの調子で頑張ってスタメンに戻ってほしいものです。

さて、最近のニュースでMF清武弘嗣選手(現セビージャ)が2015年11月16日の公式練習中に右足第5中足骨を骨折したとの発表がありました。

これは専門的にはいわゆるJones骨折かと思われます。 

ということで、これを機に今回はJones骨折に関してまとめていきます。

Contents

Jones骨折とは

Jonesは自身がダンス中に踵を浮かせて足部外側に踏みつけた際に生じた第5中足骨近位骨幹部の横骨折を1902年に報告しており、これをJones(ジョーンズ)骨折といいます。( Jones R, et al. : Ann Surg 1902 )

Jones骨折は非常にサッカー選手に多い傷害です。確かに外来診療でもJones骨折で来院される患者さんはその多くがサッカー選手です。

サッカーはダッシュ、ストップ、カッティング、ジャンプ、急激な方向転換などの動作に加え、足でボールを扱うという競技特性を持ったスポーツであるため、その競技特性から下肢に傷害が多く発生します。

また、近年のロングパイル人工芝の普及に伴い、第 5中足骨疲労骨折が増加傾向にあることが問題となっています。 ( 斎田良知ら : 日本整形外科スポーツ医学会雑誌 2009 )

報道によると清武選手も吉田選手とジャンプして競り合った際に、着地に失敗して受傷したとのことであるので、Jones骨折に矛盾しないものと思われます。

分類

第5中足骨近位部の骨折は、正確には 下図のように3つに分類されます。

Jones骨折分類

Jones骨折の分類
  • 基部剥離骨折
  • Jones骨折
  • 疲労骨折  

  通常は①、②は1回の外力で発生し、③は繰り返される運動負荷によって発生すると言われています。 ( Quill GE : Clin Orthop North Am 1995 )

①と②のJones骨折はほとんどが保存療法で治癒します。

しかしながら、③の疲労骨折は遷延治癒や骨癒合不全に至り、再骨折の頻度が高いとされています。 ( Torg JS, et al. : J Bone Joint Surg-Am 1984)

ただし、過去の論文ではJones骨折と疲労骨折をまとめて”Jones骨折”として報告しているものが多く、用語が正しく使い分けられていないことが多いようです。これが、報告者によってJones骨折の治療法や治療成績が大きく異なる理由の1つとも言われています。 ( 高尾昌人 : 足の痛み クリニカルプラクティス 2011 )

ちなみに自分も今日まで第5中足骨近位部に生じる骨折は、すべてJones骨折だと思っていました。

ただし、自覚症状の乏しい疲労骨折が潜在的に存在し、足関節捻挫あるいは打撲を契機に完全骨折に移行する可能性もあり、②と③の区別は実際には困難なのだと思います。

わが国でJones骨折といわれる骨折は一般的に第5中足骨近位骨幹部の横骨折で、疲労骨折により生じるとされていることが多いです。

機序

続いて、Jones骨折の発生機序です。

骨折が起こる機序はカット、ステップターンなどの動作で、足関節底屈位で足部の外側に着地・踏み込む際に、第5中足骨基部に負荷が集中し、近位骨幹部の底側中足間靭帯と底側足根靭帯との間に横骨折が生じると言われています。

そして、足部の外側荷重を繰り返し、腓骨筋腱による基部の牽引による負荷が続くために横骨折の外側が開大し遷延治癒に移行しやすいと考えられます。

また、疲労骨折が生じる部位は、血液の供給が乏しいことも、遷延治癒や骨癒合不全が生じやすい原因であると言われています。

診断

診断にはX線検査を用いてなされ、予後、重症度を決定する上でもX線検査は必須です。(下図)

Jones骨折 レントゲン
図:Jones骨折のX線所見(小趾)

X線では骨折線が明らかでなくても、MRIにより骨折が見つかることがあるので、第5中足骨基部付近に圧痛を認める場合にはMRI検査を行って、Jones骨折の有無を確認しておいた方がよいかもしれません。

また、近年ではサッカー選手に対するメディカルチェックが一般的となってきており、Jones骨折のスクリーニングに超音波検査が用いられています。 我が県のメディカルチェックでも早く導入したいとことです。

ちなみに清武選手は今年6月の代表合宿中にも右第5中足骨のmicro fractureを指摘されており、手術治療を受けています。 このときも症状があり精査したのか、もしくはメディカルチェックの超音波検査で発見されたのでは?と思います。

治療

保存療法と手術療法の適応については意見の分かれるところです。

解剖学的特徴とスポーツによる疲労骨折の可能性を考えると、スポーツを続けると遷延治癒、骨癒合不全へ移行する例が多いとされています。

しかしながら、

アスリート、特にJリーグ、日本代表レベルになると確実に早期に復帰させる必要があります。

とすると、手術治療が第一選択となります。

手術治療は現状では下図のようにハーバードスクリューを用いて固定されることが多いです。

しかし、プレーが続けられる状態であれば、手術の時期に関しては試合の予定を加味して決定してもよいと思われます。

Jones骨折 術後
図:Jones骨折 手術後のX線所見

 以上より、今回怪我をした清武選手は今回は手術加療は受けず保存加療となる可能性もあるのかもしれませんが、手術治療が選択される可能性の方が高いと思われますね。

おわりに

以上、今回はサッカー選手に非常に多いJones骨折についてまとめました。

サッカーに関係している方はJones骨折を覚えておきましょう。

清武選手がこの怪我に埋もれてしまわずに、怪我を治して早く復帰し、またドイツ・日本代表で活躍してくれることを祈っております。

長くなりましたが、今回はこの辺で。 サッカー関連だったので、つい熱くなってしまいました。

 

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