救急・ICU・麻酔で用いるRASS(ラス)って何?|臨床で知っておきたい鎮静スケール
どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。
よせやん
先日、久しぶりに39度の発熱があり、へばっていました。
39度の発熱は何年か前にインフルエンザにかかった時以来ですが、全身倦怠感と脱力を伴いかなりしんどかったです。
食べ物による胃腸炎だと思われるのですが、コロナ禍の今なので発熱に対しては当然嫌なムードが流れます。
翌日には下痢も止まり、解熱したのでよかったのですが、改めて気を付けないといけないなと思いました。
さて、今日は救急医として勤務していて疑問に思ったことを記事にしようと思います。
救急やICUで用いるRASS(ラス)についてです。
本来であれば働き始めた月に記事にしておけばよかったような内容なのですが、今年は忙しすぎてなかなかブログを更新できませんでしたので今更ですが記事にしたいと思います。
よせやん
Contents
RASS(ラス)?
救急医として働き始めて、ICUの患者さんを受け持った際のことです。
この患者さんのRASSはどれくらいにしておいたらいいですか?
看護師
って聞かれたんですよね。
正直、この時の僕はRASSなんて初めて聞きましたし理解不能でした。笑
ちょっと確認するので待ってもらっていいですか?
よせやん
とすぐさま看護師さんに返答して調べました。
救急やICUでよく使われるものですが、そこに関わることがない人は聞いたことがないのではないでしょうか。
というわけで、そんな方のための説明していきますね。
RASS(Richmond Agitation-Sedation Scale )とは
これは日本呼吸療法医学会がガイドラインで推奨している鎮静スケールで、救急やICU、手術室でよく使われます。
鎮静の目的は、患者さんを眠らせることではなく、患者の不安感を和らげ、快適さを確保することです。
したがって、その目標が達成できているかを評価する必要があり、そのためにRASSを用いるわけですね。
RASS を用いて鎮静状態を評価し、鎮静レベルの調整を行うのです。
RASSの評価法
では、RASSはどのように評価したらいいのでしょうか。
RASSのスコアは以下のように、0を中心として10段階に分かれています。
スコア | 用語 | 説明 |
+4 | 好戦的な | 明らかに好戦的、暴力的、スタッフに対する差し迫った危険 |
+3 | 非常に興奮的な | チューブ類またはカテーテル類を自己抜去、攻撃的 |
+2 | 興奮した | 頻繁な非意図的な運動、人工呼吸器ファイティング |
+1 | 落ち着きのない | 不安で絶えずそわそわしている、しかし動きは攻撃的でも活発でもない |
0 | 意識清明な | 落ち着いている |
-1 | 傾眠状態 | 完全に声明ではないが、呼びかけに10秒以上の開眼およびアイコンタクトで応答 |
-2 | 軽い鎮静状態 | 呼びかけに10秒未満のアイコンタクトで応答 |
-3 | 中等度鎮静状態 | 呼びかけに動き又は開眼で応答するがアイコンタクトなし |
-4 | 深い鎮静状態 | 呼びかけに無反応、しかし、身体的刺激で動き又は開眼 |
-5 | 昏睡 | 呼びかけにも身体的刺激にも無反応 |
0 は意識が清明で落ち着いている、すなわちしっかりと理解ができ従命できる状態です。
プラスになるにつれて落ち着かなくなり、興奮し不穏要素が高くなって、チューブやカテーテルの抜去など突発的な事故が発生しやすくなります。
一方、マイナスになるにつれて鎮静度が深くなっていき、自発呼吸なども消えてしまうことになります。
そして、実際には以下の手順で評価を行います。
- 30秒間患者を観察
視診のみによりスコア0〜+4を判定する。 - 呼びかけ刺激
大声で名前を呼ぶか、開眼するように言う
10秒以上アイコンタクトができなければ繰り返す
以上、2項目の呼びかけ刺激によりスコア-1〜-3を判定する。 - 身体刺激
動きが見られなければ、肩を揺するか、胸骨を摩擦する
この2項目の身体刺激によりスコア-4〜-5を判定する
実際のRASS調整
もちろん患者さんの状態によって違いますが、一般的に目標とすべきRASSは−1〜0と言われています。
よって、RASSによって以下のように調整します。
- RASS>0のとき
流量を1ml/hr上げる - −1<RASS<0のとき
そのままの流量で - RASS<−1のとき
流量を1ml/hr下げる - 不穏が強いとき
ミタゾラム・プロポフォールは早送り可
プレセデックスは早送り注意
あくまで一例ですがこんな感じの調整になるかと思います。
よせやん
おわりに
以上、整形外科医には全く馴染みがなく理解できなかったRASSについて備忘録としてまとめておきました。
研修医の先生や医学生は実習などで出会うこともあるでしょうから知っておくといいでしょう。
救急は全ての研修医が通る道なので、救急で疑問に思ったことは他のことも今の間に備忘録としてまとめておこうと思います。
とりあえず今日は以上でさらっと終わっておきます。
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