ベーカー嚢腫(Baker’s cyst)が発生する好発部位とその解剖学的理由|MRI画像でマニアックに解説
どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。
よせやん
昨日はおそらく睡眠不足が原因だと思いますが、日中から時折動悸と心臓がチクチクする感じがありました。
疲れがたまるとこの症状よく出るんですよね。
この状態が続くと何かしらの心臓発作が起きてしまいそうな感じ。
ちょっとやばいなと思ったので、昨日は21時過ぎに就寝しました。
おかげでしっかりとリフレッシュすることが出来、今日は朝から調子がいいです。
人間やっぱり睡眠は大切ですね!
さて、今日は膝のマニアックなテーマをやっていきます。
膝裏に見られるベーカー嚢腫の好発部位とその解剖学的理由についてまとめておこうと思います。
そんなことを気にするのは膝を専門としている人くらいでしょうが、せっかく勉強したことは備忘録としてまとめておきます。
よせやん
Contents
ベーカー嚢腫とは
ベーカー嚢腫については以前にまとめたことがありますね。
ベーカー嚢腫の総論については、こちらの記事を参考にしてください。
ベーカー嚢腫の好発部位
膝裏にできるのがベーカー嚢腫ですが、詳しくどこにできるか知っていますか?
実はベーカー嚢腫にも好発部位があり、それにちゃんとした理由があります。
よせやん
下のMRI画像を見てどこからベーカー嚢腫が発生しているかわかりますか?
ベーカー嚢腫のMRI画像:左T2強調画像 右T1強調画像
ベーカー嚢腫はgastrocnemio-semimembranous bursaへの液体貯留のことなので、実は上ですでに答えを言っていたわけですね。
ベーカー嚢腫の好発部位:図のピンク矢印が固有関節腔との交通路
では、なぜここにベーカー嚢腫が好発するのか解剖学的に考えていきましょう。
よせやん
内側後方関節包は内側半月板後角後節から連続性に上下に伸びています。
上行した内側後方関節包は腓腹筋内側頭の腱膜直下(この間隙が腓腹筋下滑液包)を走行し、それと融合して最終的には大腿骨内側顆に付着します。
これらのすぐ背側を半膜様筋腱が下行しており、これらは緊密に接触しているのです。
そして、実は内側後方関節包と腓腹筋との接合部は正常でも小さな開口部があり、固有関節腔と腓腹筋下滑液包は交通します。
腓腹筋下滑液包は腓腹筋と半膜様筋腱に挟まれた「くびれ」を介して、gastrocnemio-semimembranous bursaと交通するため、結果的に固有関節腔とgastrocnemio-semimembranous bursaが交通することになります。(Lindgren RG. Acta Radiol Daign. 1978)
そのため、病的状態で関節液貯留が増えてくると逃げ場がなくなってgastrocnemio-semimembranous bursaに関節液が流入し、ベーカー嚢腫となるわけです。
よせやん
おわりに
以上、今回はベーカー嚢腫の好発部位についてお話ししました。
ベーカー嚢腫ができやすい部位にも、きちんと解剖学的な理由があるわけですね。
解剖学から理解しておくと忘れることはないでしょう。
運動器疾患に解剖学の知識は必要不可欠なのでしっかりと勉強しておきましょう。
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