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膝痛が生じる原因は?膝蓋下脂肪体の線維化は膝の痛みを遷延させる?

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。

よせやん

最近、全然英語の勉強ができていません・・・。

これでTOEIC受かるのだろうか・・・。

試験日も近くなってきたので、少しでも勉強したいと思います。

 

さて、今回は膝の痛みの原因についてお話ししようと思います。

特に膝蓋下脂肪体の線維化に焦点を当てて、基礎医学的なお話をしていきます。

 

基礎医学は難しい印象があるかもしれませんが、勉強すると臨床とリンクしてより理解が深まります。

この記事が、膝の臨床をしている方の参考になれば幸いです。

 

Contents

膝関節における痛みの原因は?

関節軟骨自体には侵害受容器が存在しないため、膝関節における痛みの知覚は、主に膝蓋下脂肪体とその表層の滑膜組織であることがわかっています。(Dye SF, et al. Am J Sports Med. 1998)

 

また、関節軟骨直下の骨髄炎症や軟骨下骨のX線像の変化は疼痛の発症や重症度に関連することが報告されています。

つまり、変形性膝関節症に伴う遷延痛の原因を考える場合、膝蓋下脂肪体および軟骨下骨の器質的変化が重要であると考えられます。

 

今回は、膝蓋下脂肪体に焦点を当てて考えていこうと思います。

よせやん

モノヨード酢酸を用いた膝疼痛モデル

ここからはちょっと基礎的な話になります。

 

モノヨード酢酸(monoiodo acetic acid:MIA)は、細胞に対して解糖系の阻害を行い、細胞死を誘導することが知られています。

このMIAは、関節内注射することによって軟骨細胞死や関節炎症に伴う関節軟骨の退行変性が起こることから、動物実験では関節炎モデルや膝疼痛モデルの作成に広く使われています。

このモデルの有用な点は、関節内注射するMIAの濃度を変化させることにより、関節軟骨の退行変性のスピード及び変性の重症度を調整することが可能な点です。

 

Udoらは、濃度の異なるMIAをラット膝関節内に注射することにより、重症度の異なる関節炎モデルの作成を行い実験を行いました。(Udo M, et. al. Osteoarthritis Cartilage. 2016)

少量のMIAを注射した群では、3〜5日後までに滑膜、膝蓋下脂肪体で急性の炎症反応が観察されましたが、その後、14日までに炎症の消退が確認されました。(急性炎症モデル

これに対して、高容量のMIAを注射した群では、急性期の反応はほぼ同様でしたが、14日目以降も慢性的な細胞浸潤および膝蓋下脂肪体の線維化が観察されました(慢性炎症モデル)。

 

膝蓋下脂肪体と膝遷延痛

Hoshinoらは、この2種類のMIAモデルラットを用いて、疼痛回避行動の解析つまり膝疼痛に関する実験を行なっています。

急性炎症モデル群では、炎症の消退ととともに荷重割合の回復が観察されましたが、慢性炎症モデル群では急性期が過ぎた後でも継続して荷重割合の減少、すなわち膝遷延痛が観察されました。(Hoshino T, et al. BMC Musculoskelet Disord. 2018)

さらに、組織学的解析では、膝遷延痛が生じるタイミングで、膝蓋下脂肪体の急速な線維化が誘導されることも報告されています。(Inomata K, et al. BMC Musculoskelet Disord. 2019)

 

これらの結果は、膝蓋下脂肪体の線維化と膝遷延痛に重要な関連性がある可能性を示唆しています。

よせやん

しかし、このモデルにおいては関節軟骨の退行変性も同時に観察されるため、膝蓋下脂肪体由来の疼痛と軟骨下を骨由来の疼痛を分けて考えることができませんでした。

なので、膝遷延痛の発症における膝蓋下脂肪体の器質的変化の重要性を軟骨下骨由来の侵害受容と分離して解析するために、OnumaらはMIAを関節腔ではなく、膝蓋下脂肪体に直接注射するモデルで実験を行なっています。

その結果、関節内注射モデル同様、MIA注射群において膝蓋下脂肪体の線維化が誘導されると同時に膝遷延痛が確認されました。(Onuma H, et al. J Orthop Res. 2020)

線維化が観察された領域では、血管および感覚神経の自由終末の浸潤が観察されたことから、膝蓋下脂肪体の器質的変化(線維化)が遷延痛の発症に非常に重要な働きをしている可能性が示唆されました。

 

以上の知見から、たとえ遷延痛が生じるような実験条件下においても抗炎症ではなく、抗線維化の介入を行うことで膝遷延痛の発症を予防できるとの仮説が生まれました。

その仮説のもと、Onumaらは膝蓋下脂肪体の急速な線維化が観察されるMIA投与後4〜8日に抗線維化薬の関節内注射を行なったところ、通常遷延痛が観察されるモデルにおいても、14日目以降のMIA投与側の荷重割合が回復することが明らかになりました。

 

興味深いことに、抗線維化の介入を行うことによって、関節軟骨の退行変性も抑制されたことから、膝蓋下脂肪体に対する抗線維化薬が新たな薬となる可能性が現在注目されています。

よせやん

今回のまとめ

今回のことをまとめると、

今回のまとめ

膝痛の原因は以下のいずれかである。

  • 蓋下脂肪体
  • 滑膜組織
  • 軟骨下骨

膝蓋下脂肪体の線維化は膝遷延痛の原因となる。

 

ということになりますね。

今回はかなり基礎医学的的なお話でしたが、どうでしたでしょうか。

基礎も勉強すると、臨床とリンクしてより理解が深まると思います。

 

僕は大学で基礎研究も行なっていますので、今後も基礎的なお話も定期的にしていこうと思います。

よせやん

 

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