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サッカーにおけるヘディングの脳への影響|脳の構造的変化・脳機能に与える影響から科学的に考察

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。

よせやん

今日はサッカー協会のミーティングでした。

うちの都道府県のサッカー協会は今非常にホットでやる気に満ち溢れています。

今後が非常に楽しみです。

 

さて、本日は今ホットな話題を取り上げてみたいと思います。

2021年5月13日にJFAから育成年代でのヘディング習得のためのガイドラインが発表されました。

外部リンク:JFAから育成年代でのヘディング習得のためのガイドラインが発表

 

というわけで、このガイドラインを紹介しようと思うのですが、その前にサッカーにおけるヘディングと脳との関係についてお話ししようと思います。

今までにサッカー選手と神経変性疾患で死亡するリスクとの関係についての論文ヘディングが脳に与える影響を脳損傷マーカーの観点から紹介しました。

 

今回は、サッカーのヘディングが脳に与える影響について、脳の構造的変化・機能的変化の観点から考察していきます。

よせやん

サッカー選手における脳の構造的変化

まず、サッカー選手における脳の構造的変化について考えてみましょう。

 

元プロサッカー選手の約1/3 において側脳室の拡大を伴う中程度の脳萎縮が報告されています。

また、アマチュアリーグの現役サッカー選手において、12ヶ月間のヘディング曝露頻度は、大脳皮質の微細構造の変化記憶力の低下に関連していたことが報告されています。(Lipton ML, et al. Radiology. 2013)

 

また、非接触型スポーツの元選手と比較した研究では、元サッカー選手では年齢の増加とともに、より大きな大脳皮質の菲薄化が観察されており、皮質の構造的変化は認知能力の低下とヘディングの曝露頻度と関連していたことが報告されています。(Koerte IK, et al. Brain Imaging Behav. 2016)

しかし、現役プロサッカー選手における研究では、ヘディングの頻度は脳の構造的変化に影響を与えず、過去の脳振盪の既往が脳の構造的変化に関連していました。

 

同様に、中学生の試合中のヘディングによって頭部に生じた加速度とその累積を定量的に測定した研究でも、脳の構造的変化および認知機能の変化との関連性は認めませんでした。

数少ない前向き研究でも、プロキャリア開始後5年程度では、脳の構造、知能、および認知機能の変化が観察されなかったことを報告しています。

 

つまり、若手選手でヘディングにより脳の構造的変化が起こることを示した報告は今のところほとんどありませんが、プロレベルでプレーしていた場合には経年的に脳の構造的変化が起こる可能性は否定できない、ということが言えそうです。

よせやん

ヘディングが脳機能に与える影響

では、ヘディングが脳機能に与える影響はどうでしょうか。

最近では、5年以上のサッカー経験のある20代のサッカー選手を対象として、認知機能とヘディング頻度の関連性を前向きに調査した大規模な研究がいくつか報告されています。

 

2週間程度の比較的短期間におけるヘディング頻度は、思考スピード、作業記憶、および注意力の低下と関連することを報告しています。(Stewart WF, et al. Front Neurol. 2018)

さらに、12ヶ月という長期間のヘディング頻度は、言語学習および言語記憶の低下と関連したことが報告されています。

 

このように、日常生活に影響を及ぼすほどではありませんが、ヘディングへの累積曝露と認知機能との関連性は比較的若い世代の選手においても認められる可能性があります。

よせやん

サッカー選手における長期的な転帰

前回の記事で解説したように、元プロサッカー選手ではアルツハイマー病やその他の認知症、運動ニューロン疾患、パーキンソン病などの様々な神経変性疾患による死亡率が高いことが報告されています。

一方で、ヘディングの累積曝露と神経変性疾患を関連づけるデータは限定的であり、ヘディングとの直接的な因果関係は示されていません。

 

約4000人の高校生を対象とした最近の研究では、サッカー経験者の60歳時点における認知症発生率は、他の非接触型スポーツ選手やスポーツをしていなかった人と差がないことが報告され、学生時代の一次的なサッカー経験は長期的な転帰には影響しない可能性が示唆されています。

また、サッカー選手の脳の構造的変化は主に中高齢者で観察されており、ヘディングによる影響は高頻度のヘディングに曝露した長いキャリアのプロ選手に限定される可能性があり、加齢や神経変性疾患固有のリスク因子との相乗効果が、中高齢者において脳の構造的かつ機能的な変化をもたらす可能性があります。

 

一方で、ヘディングに伴う外傷性脳損傷マーカーの増加や認知機能の低下、元プロサッカー選手における脳の構造的・機能的変化や、神経変性疾患による死亡率が高いということを考慮すると、身体の発達段階にある青少年時代からのヘディングへの累積曝露が神経変性疾患発症の環境要因になっている可能性は否定できません。

 

したがって、現状ではヘディングへの累積曝露における対策を講じる必要があるということなのでしょう。

よせやん

また、2016〜19 年のJリーグでの全障害2,525件のうち、脳振盪は80件でそのうち29件(36%)がヘディングの競り合いで起きたもので最多でした。

単独のヘディングで脳振盪となっているケースもありますがその数は少なくヘディング自体よりも、ヘディングの競り合いによる頭同士や肘、地面等との衝突の怪我のリスクの方が重大であり頻度も高いと考えられます。

 

以上のことから、JFAは直ちにヘディングを禁止するのではなく、「正しく恐れるもの」と考え、正しい技術を習得することがリスク低減の観点からも重要であるため、このガイドラインを策定したわけですね。

よせやん

今回のまとめ

というわけで、今回も内容を簡潔にまとめてしまいましょう。

今回のまとめ
  • 元サッカー選手では脳の構造的変化が起こる可能性がある
  • しかし、若年者やプロ歴の短い選手では脳の構造的な変化は起こるという報告は少ない
  • ヘディングへの累積曝露と認知機能との関連性は比較的若い世代の選手においても認められる

つまり、

学生時代などのサッカー経験は長期的な転帰には影響せず、高頻度のヘディングに曝露した長いキャリアのプロ選手に限定される可能性がある。

 

ということになりますかね。

また、

ヘディング自体よりも、ヘディングの競り合いによる頭同士や肘、地面等との衝突の怪我のリスクの方が重大であり頻度も高い可能性がある。

こともわかってきています。

 

というわけで、JFAでは直ちにヘディングを禁止するのではなく、「正しく恐れるもの」と考え、正しい技術を習得することがリスク低減の観点からも重要であるため、今回のガイドラインを策定したわけです。

このガイドラインについては下の記事で詳しく読んでみてください。

外部リンク:育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン

 

 

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