手術前に除毛を行う場合のタイミングは?!実施場所はどこがよいか?!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日が終われば、明日は比較的時間のある曜日だし金曜日は祝日だしで、週末までゆっくりと過ごせそうです。
その間ノータッチだったコメントやメールに返信していきたいと思います。
あと、サボってしまっていた1日1回の過去記事配信も再開していきますね。
今日は昨日の話題に関連して外科手術前の剃毛・脱毛のタイミング・実施場所についてお話ししようと思います。
Contents
外科手術前の剃毛・除毛
前回の記事で、
- 手術前の剃毛は禁忌である。
- 手術に支障となる場合を除き、除毛も行わないことが推奨される。
- もし除毛を行う場合はクリッパーで必要最小限に行う。
ことをお話ししましたね。
では、外科手術の前に除毛を行う場合には、どのタイミングで行うのがいいのでしょうか。
また、実施場所はどこがいいのでしょか。
よせやん
今回はそこらへんに関してお話しします。
手術前の剃毛・除毛のタイミング
まず、タイミングについてお話ししましょう。
Seropianらは先行研究において、剃毛を行なったタイミングによる手術部位感染(surgical site infection:SSI)の発生率について報告しています。
その報告によると、手術直前に剃毛を行なった場合のSSIの発生率は3.1%、日常的に行われる術前24時間以内に剃毛を行なった場合では7.1%、手術24時間以上前に剃毛した場合では20%を超えていました。( Seropian R, et al. Am J Surg. 1971 )
Alexanderらは、術前夜の剃毛、当日朝の剃毛、術前夜の除毛、当日朝の除毛という4つの手法でSSI発生率を比較検討していますが、SSI発生率は術前夜の剃毛が5.2%、当日朝の剃毛が6.4%、術前夜の除毛が4.0%、当日朝の除毛が1.8%であり、手術当日の朝に除毛を行うのがもっとも低いSSI発生率であったと報告しています。( Alexander JW, et al. Arch Surg. 1983 )
以上のことから、
剃毛も除毛も行う場合は手術直前がよい
と言えるでしょう。
米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)のガイドラインでも、除毛は手術直前の実施がよく、その場合は電気クリッパー(医療用電動カミソリ)を使用することを推奨しています。
日本での実際、除毛の場所
では、我が国においては剃毛・除毛はどのように考えられているのでしょうか。
実は我が国においても、CDCガイドラインを受け、除毛は行わない、または除毛が必要な場合には手術当日に行うという施設が増えてきています。
SSI対策の実態調査における除毛の実施場所と時期についてのアンケートでは、術当日に病棟で実施が61.9%と最も多く、続いて術直前に手術室にて実施が52.6%、術当日に病棟で実施が17.3%という結果でした。( 西村チエ子. 環境感染誌. 2012 )
僕が昨年いた病院では、術当日に手術室で実施していましたね。
手術室にて麻酔導入後に行う施設も増えてきているようですが、除毛により手術着や手術台に毛が散乱するなど手術室内の清潔野が汚染されるリスクが高くなることを懸念する声や手術出棟前に余裕がないことを指摘する声もあるようです。
本日のまとめ
以上、今回は外科手術前の剃毛・脱毛のタイミングについてまとめました。
今日の内容をまとめると、以下のようになります。
- 剃毛・除毛を行う場合は手術直前に行うのが最もSSI発生率が低く推奨される。
- 手術室で実施する場合は清潔野の汚染に気をつける。
今後も創傷治癒について少しずつまとめていきます。
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