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アキレス腱断裂手術後のリハビリ|早期運動療法とスポーツ復帰時期

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

 

毎日忙殺されながらも、スポーツ関連の症例を多くみることができ、外来や手術に関しても新しく学ぶことばっかりの日々です。

勉強することは多いですが、やりたいことができていると楽しいですね。

でも、休日って本当にありがたいなとしみじみとします。

 

今日はもう仕事が終わったので、ゆっくりとしようと思います。

さて、今日は今までまとめてきたアキレス腱断裂シリーズの新鮮例の最終回です。

今までまとめたアキレス腱断裂に対する一般的な知識のまとめに関してはこちらから確認してください。

 

その後、アキレス腱断裂に対する縫合術によって、保存療法と比較して早期運動療法が可能になれば手術療法のメリットがより大きくなることをご説明しました。

それでアキレス腱縫合について文献的考察をしたのが以下の記事ですね。

 

そして、とうとう今日は新鮮アキレス腱断裂シリーズの最終回です。

この記事では、前回まとめたcross-stich法をアキレス腱縫合へ導入した実験・臨床成績と、アキレス腱縫合術後の早期運動療法、早期スポーツ復帰について考察していきます。

Contents

Cross-stich法のアキレス腱縫合への導入

では、さっそく見ていきましょう。

 

Aokiらは手指屈筋腱の縫合法であったcross-stich法をアキレス腱縫合に導入し、主縫合は2号ポリエステル縒糸による2-strandのKirschmayer法、補助縫合は2−0吸収糸によるcross-stich法で縫合術後に早期運動、早期荷重を行い、平均13.1週で早期スポーツ復帰が可能であったことを報告しています。( Aoki M, et al. Am J Sports Med. 1998 )

 

最近の報告でも、アキレス腱縫合における主縫合と併用するcross-stich法の補助縫合は、実験的に破断張力やgap抵抗力を有意に増強するのに加え、臨床的にも早期運動療法によって再断裂率の増加もなく早期社会復帰や早期スポーツ復帰を可能にすることやその有用性が認められています。
( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )
( Hirpara K, et al. J Bone Joint Surg. 2007 )
( Marti RK, et al. Neth J Surg. 1983 )

 

腱断裂部は手指屈筋腱では鋭利な刃による損傷で断端がclean cut(キレイに切れている)であることが多いですが、アキレス腱断裂の場合はほとんどがいわゆるmop end状(モップみたいな状態)となってバサバサに広がっています。

 

そのため、腱縫合の際には断裂部より2.5cm以上離した健常部の腱にしっかりと縫合糸をかけて把持することが重要であるとされています。( Lee S, et al. Foot Ankle Int. 2008 )

よせやん

補助縫合についても同様であり、腱断裂端の結節縫合では強度的な補強にはほとんどなりませんが、cross-stich法では断裂部から離れた健常部に糸をかけるため確実な腱の把持が可能となり、張力は均等に分配されて縫合強度は格段に増加します。

 

それに加え、腱断裂部を包み込むような形になるので腱断裂端の適合性や安定性が向上し、腱癒合にプラスに働くと考えられます。( 吉川泰弘,須田康文.MB Orthop. 2009 )

早期運動療法と早期スポーツ復帰

では、最後に早期運動療法と早期スポーツ復帰についてです。

 

アキレス腱の修復過程において、断裂部に適度な緊張が加わると、機械的刺激により早期に膠原線維の新生と整列化が起こり、腱線維は急速に増生して腱全体の破断張力が増加するといわれています。
( Aoki M, et al. Am J Sports Med. 1998 )
( Mortensen HM, et al. J Bone Joint Surg. 1999)

 

早期運動療法は、このような腱断裂部に適度な緊張を加えて組織的な治癒過程を促進するのに加え、臨床的にも腱縫合部の癒着や足関節の拘縮、腓腹筋萎縮の予防に有効であり、再断裂率の増加もなく早期ADL・社会復帰をはじめ、早期スポーツ復帰も可能とするなど多くの利点を有します。

( アキレス腱断裂診療ガイドライン.南江堂.2007 )
( Mortensen HM, et al. J Bone Joint Surg. 1999)

 

また、以前にも述べたように、アキレス腱断裂の大部分がレクリエーションレベルのスポーツ愛好家であり、多くは早期スポーツ復帰よりもまず早期ADL・社会復帰を1番に希望しているため、いかに早期に全荷重歩行が可能となり、両松葉杖歩行から離脱できるかが重要となってきます。

よせやん

吉川らは、Lim&Tsai法の主縫合にcross-stich法の補助縫合を組み合わせた強固な縫合法では、手術の翌日から早期運動療法を行い、術後1週で部分荷重、術後2週で全荷重術後3〜4週で独歩(杖なし)が可能となり、しかもサポーター装着のみという患者負担の少ないかたちで早期ADL・社会復帰ができるため、患者の満足度も高かったことを報告しています。( 吉川泰弘,須田康文.MB Orthop. 2009 )

 

上記報告では、対象は47例で部分再断裂を認めたのは1例(2.1%)でした。

おわりに

以上、本日はcross-stich法をアキレス腱縫合へ導入した実験・臨床成績と、アキレス腱縫合術後の早期運動療法、早期スポーツ復帰について考察してみました。

 

アキレス腱シリーズの文献的考察の記事は、ちょっと医療関係者よりの内容で書いてみました。

アキレス腱断裂は日常にありふれた疾患であり、自分もしくは周りの方が受傷することも今後あるかと思います。誰でも怪我をしたらできるだけ早く日常生活、社会生活、スポーツに復帰したいのは当然です。

そんな方々を支えられるように今後もしっかり勉強していきます。

 

次は、今までの新鮮例ではなく、陳旧性アキレス腱断裂について紹介します。

 

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