アキレス腱断裂後の修復過程|良好に修復されるために必要なものとは?
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
月曜、火曜と連続でフットサルをして、今日は筋肉痛だし何か眠いです。
もっと体を鍛えていかないとダメですね。
さて、今日は昨日に引き続きアキレス腱関連の話題です。
アキレス腱の新鮮例では、保存的治療、アキレス腱縫合術を行い、陳旧性アキレス腱断裂やアキレス腱の再断裂例に対してはアキレス腱縫合術を行うという話をしてきましたが、そもそもアキレス腱は断裂した後、どのように修復されていくのでしょうか。
また、良好に腱が修復されるためには必要なものとは何なのでしょうか?
この記事では、アキレス腱断裂後の修復過程についてお話ししていきます。
Contents
アキレス腱断裂後の修復過程
前回の記事で、陳旧性アキレス腱断裂やアキレス腱の再断裂例に対して、近年では断裂端間の瘢痕組織を用いる方法も報告されるようになってきたということをお話ししました。( 安田 稔人. : 中部整災誌. 2012 )
これは、アキレス腱の修復過程が解明されてきたからです。
アキレス腱断裂後は腱断端間がまず瘢痕組織で埋まり、それが経時的に腱組織に再生する
ということが報告されています。( Yasuda T, et al. : Acta Orthop Scand. 2000 )
そして、術前のMRI所見で断裂端間に介在する瘢痕組織の太い例では、術後に腱は肥厚し均一な低信号を呈するようになり、腱修復が良好に経過すると報告されています。( 安田 稔人. : 中部整災誌. 2012 )
また、術前のMRI所見で断裂端間の瘢痕組織の細い症例においても術後に腱は太くはなっていきますが、腱修復にはやや時間を要し、MRI所見でも腱が均一な低信号を呈するまでに時間がかかり、高信号変化が残存します。
図2:アキレス腱の修復像(左:術前 右:術後1年)
アキレス腱縫合を行うにあたって
以上のことを踏まえると、
陳旧性アキレス腱断裂で縫合する場合には、瘢痕組織はあまり切除せずに可及的に温存した方がよい
ということになります。
また、断裂端間の瘢痕組織の細い例では腱断端を重ね合わせて縫合するなどの工夫も必要かもしれません。
図:ハムストリングスを用いたアキレス腱再腱術
新鮮アキレス腱断裂の保存的治療
アキレス腱断裂の新鮮例でも、断端間の距離が大きいとなかなか瘢痕組織が形成されず、形成されたとしてもか細い瘢痕組織しか形成されないことになります。
したがって、再生する腱も脆弱になってしまい再断裂の危険性が高まります。
ですので、
新鮮例を保存的に治療する場合は、しっかりと断端間が寄る(太いしっかりとした瘢痕組織ができる)ことを確認しておく必要があります。
断裂端間が寄らない場合は、縫合して断裂端間の距離を寄せておくべきということになります。
また、当然のことながら、高齢になるほど瘢痕組織も形成されにくくなるので、高齢者のアキレス腱断裂を保存的に治療する場合には、注意深い経過観察を行う必要があります。
よせやん
まとめ
以上、今回はアキレス腱断裂後の修復過程についてお話ししました。
この内容を理解していれば、保存的治療においても再断裂の確率を減らすことができるようになるでしょう。
アキレス腱断裂についてはかなり詳細にまとめてきましたので、そろそろまとめ記事を作ります。
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