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膝前十字靱帯(ACL)損傷の受傷メカニズム|膝関節と股関節別に解説

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

昨日は当直で無駄な時間を過ごし絶賛後悔していました。。

 

さて、今日は膝前十字靱帯(ACL)損傷のメカニズムについてお話ししようと思います。

 

僕は最近までACL損傷の受傷肢位はknee in, toe outだと思っていましたが、Twitterでその話をしたところその考えはもう古い可能性があることを教えてもらいました。

というわけで、今回ACL損傷の受傷メカニズムについてしっかりと調べ直してみたので、まとめて記事にしようと思います。

Contents

ACL損傷のメカニズム(膝関節)

まず、ACL損傷のメカニズムを膝関節に焦点を当てて、考えてみましょう。

 

従来、ACLの受傷肢位は、膝外反+下腿外旋位(いわゆるknee in, toe out)と言われてきました

 

僕も完全にそう思い込んでいました。

よせやん

ただ、それが本当にACL損傷の原因となっているのか、ACL損傷が生じた後の結果なのかはわかっていませんでした。

しかし近年、受傷シーンのビデオ解析やコンピューターグラフィックを用いたバイオメカニカルな研究が行われ、ACL損傷のメカニズムも明らかになってきています。

 

では、その明らかになってきたメカニズムを紹介していきましょう。

ACL損傷のメカニズム(膝関節)
  1. 膝に外反力が加わる(knee in
  2. MCLが緊張し外側コンパートメントに圧迫力
  3. この圧迫と脛骨の骨形態(脛骨外側高原の後傾)により大腿骨外顆が後方に偏位
  4. 脛骨前方移動および内旋が生じる
  5. ACLが損傷する
  6. ACL断裂により脛骨前方引き出しに対するprimary restraintが消失
  7. 足部が地面に固定されていることも相まって大腿骨内顆も後方に偏位
  8. ACL断裂後に脛骨外旋する(toe out

(Koga H, et al. Am J Sports Med 37. 2010)

 

つまり、knee in, toe outはACL損傷の原因ではなく、ACL損傷後に単なる結果に過ぎないということですね。

よせやん

ちなみに、

ACL損傷受傷時の経時的変化
  • 接地〜40m秒:急激な外反
  • 40m秒:下腿内旋
  • 40m秒以降:急激に下腿外旋

(Koga H, et al. Am J Sports Med 37. 2010)

 

つまり、

ACL損傷は、接地後40m秒付近で生じるといえます。

 

ACL損傷のメカニズム(股関節)

では次に、ACL損傷のメカニズムを股関節に焦点を当てて、考えてみましょう。

 

まず、ACL損傷時の股関節の経時的変化を見てみると、

ACL損傷受傷時の経時的変化
  • 接地〜40m秒:屈曲52°、外転21°、内旋27°
  • 40m秒:屈曲53°、外転15°、内旋28°

 

つまり、ACL損傷が起こる際に、股関節は内旋位で固定されているといえます。

よせやん

 

それはどういうことでしょうか?

ACL損傷のメカニズム(膝関節)
  • 正常では、接地時に膝・股関節は協調して働き、股関節でエネルギーを吸収することで膝への負荷を軽減している
     
  • アンバランスな着地の場合、股関節角度が外転、内旋位で固定され、膝・股関節の強調した動きができず、相対的に膝への負荷が増大するためACL損傷のリスクになる

 

ということです。

では、どのような場合にアンバランスな着地が生じるのでしょうか。

アンバランスな着地の原因
  • 体幹が直立もしくは後傾していること
     
  • 上体がACL損傷脚側に傾いていること
     
  • 踵からの接地
     
  • 股関節が伸展位に近い状態で接地
     
  • 股関節の外転・外旋筋不全
     
  • 股関節が強い内旋位で接地
     
  • 股関節の内旋制限

(Boden BP, et al. Orthopedics 23. 2000)
(Sheehan FT, et al. Am J Sports Med 40. 2012)
(Hewett TE, et al. Br J Sports Med 43. 2009)

 

実際に股関節に関しては、

  • ACL損傷患者は股関節の内旋制限があること(Gomes JL, et al. Arthroscopy 24. 2008)
     
  • 寛骨臼形成不全はACL損傷のリスク因子となること(Yamazaki J, et al. Am J Sports Med 39. 2011)

などが報告されています。

 

こう言われても何でだろうと思うかもしれません。

おそらく、以下のような流れだと僕は思っています。

 

寛骨臼形成不全や外転・外旋筋不全による股関節内旋制限が存在すると、股関節が通常の場合よりも容易に最大内旋位となってロックされてしまう

股関節によるエネルギー吸収が不十分になる

膝関節に大きな負担がかかる

ACL損傷が生じる

 

ACL損傷の受傷には膝関節だけでなく、全身の様々な要因があり、特に股関節の動きは非常に重要ということですね。

このことを知っておくことは、予防を考える上でも非常に重要です!!

よせやん

ACL損傷の受傷シーン

最後に、ACL損傷の受傷シーンを動画にてご紹介します。

 

この動画では以下の要因が見受けられます。

  • 体幹は直立
  • 体幹がACL受傷脚側に傾く
  • 股関節も伸展位に近い
  • 股関節が外転・内旋位
  • 膝外反
  • 踵からの接地

 

勉強してから見ると、より興味深く動画を見ることができると思います。

よせやん

おわりに

以上、今回はACL損傷の受傷メカニズムについてしっかりと調べ直してみたので、まとめてみました。

 

久しぶりに自分が純粋に興味があることをしっかり勉強してみましたが、やっぱり勉強すると面白いですね。

今後も自分の興味のあることも時間を見つけて勉強していこうと思います。

 

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