AOTrauma-Basic Principles体験記|骨折治療をマスターするための登竜門!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日は天皇杯の都道府県予選があり、選手として参加していました。
今日の試合を勝ち上がれば、次は決勝トーナメント1回戦でシードの地域1部リーグ所属のチームと対戦できる予定でしたが、1−3で敗戦。
都道府県予選決勝はいつもマッチドクターをしていますが、選手として行けたら最高ですよね。
また来年チャレンジです。
さて先日、昨日お話ししたAO Traumaが開催しているAO の原理原則から最新情報を学び、実技を習得できる貴重な機会であるAOTrauma Course – Basic Principles of Fracture Management(略称:Basic Principles)を受講してきましたので、今後受講を考えていらっしゃる先生のためにその体験記を書いておきます。
Contents
Basic Principles体験記
僕は8月のBasic Courseは申し込んだもののキャンセル待ちとなってしまいましたが、今回開催された2月のBasic Principlesは「厳選な審査の結果、当コースを受講して頂けることになりました。」とAO Trauma事務局から連絡がありました。
というわけで、2月16日〜18日の3日間、このBasic Principlesに参加してきました。
参加人数(定員)は76人で、後期研修医くらいの年次の先生が7割、年輩の先生が3割ほどといった割合でしょうか。
このBasic Principlesは、昨日紹介したように主に以下の3つで構成されています。
- Lecture
15〜20分毎の専門別講義 - Practical Exercise
ボーンモデルを使用した各AOシステムの実技実習 - Case Discussion
少人数での症例検討
では、この3つについて順に書いていきます。
Lecture
まず、Lecture(講義)についてです。
AOのlectureは非常に特徴的で、大学の講義のように長ったらしいものではありませんでした。
まずはその時間が15〜20分と決められていて、非常に集中力を保ちやすい構成になっています。
また、lecture中はあらかじめ決められた時間のタイマーがスクリーン上に映し出され、受講者はあとどれくらいlectureが続くのかを知ることができます。
何事でもそうですが、ゴールが見えていると非常に精神的に楽になりますね。
3日間に渡って以下の項目についてのlectureを受けました。
- AO Foundationの紹介/骨折治療におけるAO哲学
- 骨折治療における患者因子と受傷メカニズム
- 軟部組織損傷
- 術前計画
- 骨折の分類
- 骨折治癒
- 絶対的安定性のバイオメカニクスと手技、骨折治癒
- 相対的安定性のバイオメカニクスと手技、骨折治癒
- LCPの原理と固定の実際
- 骨幹部骨折の治療原則
- 骨幹部骨折の整復
- 関節内骨折の治療原則
- 関節内骨折の整復
- 前腕骨骨折の治療原則
- 橈骨遠位端骨折
- 肘頭骨折と膝蓋骨骨折
- 足関節骨折
- 脛骨高原骨折
- 大腿骨頚部骨折
- 大腿骨転子部骨折
- 大腿骨遠位端骨折
- 最小侵襲手術(MIO)
- 放射線被曝
- 小児骨折
- インプラント抜去(抜釘)
- 多発外傷の治療アルゴリズム
- 骨盤骨折の緊急治療
- 開放骨折の治療
- コンパートメント症候群
- 術後感染症
- 遷延治癒、偽関節
こうやって書き出してみると、こんなにlectureを受けていたことに驚きです。
初日の前日に、神戸の友達と飲んでいたことや睡眠不足が続いていたこともあって、眠くなってしまったところもありましたが、骨折治療に関する基本を徹底的に学べたと思います。
ただし、AO Trauma Seminarのときと同じく、資料は配られないし写真撮影、動画は禁止されています。
ですので、講義内容は頑張ってメモを取って記録に残しておくしかありません。
僕はノートとパソコンで可能な限り内容をメモしました。
勉強したことに関しては、またちょっとずつ記事にまとめます。
Practical Exercise
続いて、Practical Exerciseについてです。
Practical Exerciseでは、ボーンモデルを使用した各AOシステムの実技実習を行いました。
どんな内容の実技実習を行ったかと言うと、
- ラグスクリューテクニックと圧迫プレートによる内固定
- LCPを使った内固定
- 脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘
- 脛骨骨幹部骨折に対する創外固定
- 肘頭骨折に対するテンションバンドワイヤリング
- 足関節外果骨折に対するanti-glide plate
- 大腿骨転子部骨折に対する髄内釘
- 骨盤骨折に対する創外固定(highルート、lowルート)
実技実習はなくてもいいけどなぁと思っていましたが、今回のPractical Exerciseを通して、今の病院でやっているやり方が必ずしも正しいとは限らないんだなということを認識しました。
いろんなやり方があっていいんだとは思いますが、手技に関してもAOの基本的な概念を学べたことは大きかったです。
特に自分にとって目新しかったのは足関節外果骨折に対するanti-glide plateですね。
いつもはラグスクリュー+中和プレートで固定していましたが、1/3円プレートを用いたanti-glide plateは非常に理にかなっていていいなと思いました。
よせやん
Case Discussion
最後にCase Discussionについてです。
Case Discussionでは少人数(10人程度)で症例検討を行いました。
正直、僕はこのCase Discussionが一番勉強になったと思います。
よせやん
最初は実際の症例を見ながら、AO分類と、絶対的安定性を求めるのか相対的安定性を求めるのか、固定に何を使うかといった基本的なことが多かったですが、ここでAO分類についてはかなり覚えることができました。
覚えてしまえば意外に覚えること多くないです。
内容は日が経つにつれて発展していき、その症例に起こりうる合併症とその対策、どのタイミングで手術をするか、手術までどうやって待機するか、手術のアプローチはどうするか、手術のときに気をつけることがあるか、後療法はどうするかなどについて検討しました。
このCase Discussionはある程度、実臨床をやっていないと正直ついていくのは大変だと思います。
そういう意味で、コースを受講できるのは医師4年目以降になっているんだろうなと思いました。
骨折の治療法は当然のことながら1つに決まっているわけではなく、いろんな考え方の先生がいること、同じ手術に対してもいろんなやり方があるんだなということを知ることができました。
自分でその骨折治療に何を求めて、どんな手術が行うのかという治療戦略を立てることが大切なのですね。
よせやん
おわりに
以上、今回はAO の原理原則から最新情報を学び、実技を習得できる貴重な機会であるBasic Principlesの体験記でした。
このコースを受講して骨折治療の奥の深さと面白さを知ることができました。
AOの基本概念を理解し、日頃からその骨折治療に何を求めて、どんな手術が行うのかという治療戦略を立てることが大切さも理解できました。
というわけで、整形外科医や外傷医で外傷に興味のある方は、なるべく早めの時期にBasic Principlesを受講しておくことをおすすめします。
よせやん
今後、自分もきちんと治療戦略を練って自分がベストと思う骨折治療を行い、また1年間しっかりと経験を積んで、次はAdvanced Principlesを受講したいなと思います。
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