膝関節拘縮とは|膝関節拘縮が起こる原因について事細かに解説!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は朝からフットサルの都道府県リーグでした。
得点も取りましたが、課題も見えた試合でした。
そして、夕方からは当直です。
なかなかに救急車が来るのであまり時間が取れません。
さて、そんな中でも今日は膝関節拘縮に関してまとめます。
特に今回は、拘縮とはどういうことなのか?そして、膝関節拘縮の原因についてまとめていきます。
Contents
関節拘縮とは
一般的に拘縮とは、関節包と関節包外の関節構成体である軟部組織の変化によって起こる関節の可動域制限のことを言います。
病理的には、皮膚、皮下組織、筋膜、靱帯、関節包等が瘢痕化、または癒着したものと理解されています。
一方、軟骨や骨など関節包内の構成体そのものに起因する関節運動の消失は、強直と呼ばれています。
以外にこういう定義って大事ですので覚えておきましょう。
よせやん
膝関節拘縮は表面的には可動域制限に要約されますが、その病態は外傷の種類や程度、治療法、経過期間などによってさまざまです。
しかも、大多数の症例では複数の原因が合併しています。
さらに関節拘縮が長期間続くと、膝蓋腱の線維化や短縮なども合併し、病態はさらに複雑になります。
このことを踏まえた膝関節拘縮の病態は、
- supra-patellar factor
- intra-articular factor
- infra-patellar factor
の3つに分類できます(下図)。
図:膝関節拘縮の原因(a:supra-patellar factor、b:intra-articular factor、c:infra-patellar factor)
これらについて、順に見ていきましょう。
supra-patellar factor
まず、supra-patellar factorです。
supraとは「〜の上」という意味ですね。
つまり膝蓋骨上の要因のことです。
大腿骨骨幹部骨折や顆上骨折など膝関節より中枢部での外傷に対して長期間の外固定を受けたり、不適当な手術操作を受けた後に生じやすいとされています。
大腿骨骨折に続発した関節拘縮の単純X線検査では、大腿骨、特にその前面の余剰化骨形成がみられることがあり、その際には癒着は高度で広範囲に及ぶことが多いです。
よせやん
MRIでは大腿四頭筋の線維化と萎縮がみられます。
また、大腿骨骨幹部骨折や顆上骨折に対して外側進入による骨接合術が行われた症例では、腸脛靭帯の癒着や短縮が起こり、これが拘縮の主原因になっていることもあります。
intra-articular factor
続いて、intra-atricular factorです。
intraは「〜の内に」という意味ですね。
つまり、関節内の要因のことです。
初期外傷の種類やそれに対する手術方法により固有関節腔内の癒着部位および程度はさまざまですが、通常は損傷部位や手術操作を受けた部位を中心に癒着が存在します。
また、前述した如く、supra-patellar factorによる拘縮が長期間続くことにより関節内癒着が合併するようになります。
関節内骨折に続発した関節拘縮では、単純X線像で変形治癒をみることが多く、関節造影では、膝蓋上嚢の消失や狭小化を認め、造影剤が関節軟骨表面に付着する像をみることが多くあります。
近年、MRIの発達に伴って関節造影を行う機会は減っていますが、関節造影検査は関節内の癒着部位を観察するには有効な検査です。
よせやん
MRIでは、癒着部位を中心に関節内の線維化を認めます。
infra-patellar factor
最後に、infra-patellar factorです。
infraとは「〜の下に」という意味です。
つまり、膝蓋骨下の要因のことです。
また、supra-patellar factorやintra-articular factorによる関節拘縮が長期間続くと、二次的に膝蓋腱が線維化し短縮することが多くあります。
癒着により膝蓋大腿関節の可動性が障害されるばかりではなく、膝蓋腱の短縮が著しいと膝伸展機構のexcursionも障害されます。
よせやん
参考図書
今回の記事を書くにあたり参考にさせて頂いた図書です。
膝関節の臨床について広く勉強することができます。
おわりに
以上、今回は拘縮とはどういうことなのか?そして、膝関節拘縮の原因についてまとめていきます。
ひとえに膝関節拘縮といっても、どこの部分が原因で拘縮が生じているかを考える必要があるわけです。
あとは、これらの物理的な原因の他に、手術後の金属などのインピンジメントによる疼痛が原因で膝関節の可動域制限が生じている場合についても考えなくてはいけないでしょう。
次回、こうした膝関節拘縮の患者さんに対してどうのような治療を行うかについてまとめていきます。
でも治療の前に、まずは関節拘縮が生じている原因を考える必要があるわけですね。
よせやん
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