2022年1月からステロイド注射が全て禁止に|ドーピング違反に要注意!【2021禁止表国際基準】
どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日は久しぶりに夜勤がありません。
それだけでも何とも清々しい気持ちです。
なんか自分の感覚もこの1年で大きく変わった気がします。笑
4月からは昼間の仕事が基本に戻りますが、3月はこの身体のまま頑張ろうと思います。
さて、今日はスポーツ医学の話題です。
世界アンチ・ドーピング機構が公開した2021年禁止表国際基準でステロイド注射がいかなる経路においても禁止となりました。
このこと自体はもっと2021年になる前に発表されていたのですが、僕が知ったのは先日岩本先生のツイートを見てでした。
Drの方、選手、関係者の方へ
2022年からステロイド注射に注意が必要です。WADA 2022禁止表国際基準
糖質コルチコイドの取り扱い
2022年1月より
局所注射を含め すべての注射経路 が禁止予定
使用にはTUE申請が必要となります。補足などありましたら、是非コメントください。
注射経路の例↓
— 岩本航 @スポーツ整形外科医 (@wataru_iwa) March 8, 2021
というわけで、スポーツに関わるみなさまに情報共有しようと思い、改めて自分で調べなおし、記事にしようかと思います。
よせやん
Contents
2021年禁止表国際基準
2020年10月に世界アンチ・ドーピング機構より2021年禁止表国際基準が公開されました。
詳細を知りたい方は、以下よりご確認ください。
外部リンク:2021年禁止表国際基準 主要な変更の要約と注釈
これの中のステロイドの項目を今日は簡単にまとめていこう思います。
よせやん
ステロイド注射が全て禁止に
2021年禁止表国際基準のステロイドの項目における改訂点としては、
競技会期間中はステロイドの全ての注射投与経路を禁止
という点です。
注射投与の例として、以下のものが挙げられています。
- 静脈内
- 筋肉内
- 関節周囲
- 関節内
- 腱周囲
- 腱内
- 硬膜外
- 髄腔内
- 滑液嚢内
- 病巣内(ケロイド等)
- 皮内
- 皮下
スポーツドクターをされている方は、上記の方法でステロイドを使用している方も少なくないのではないでしょうか。
よせやん
ただし、実際に適用されるのは2022年1月1日から
ただし、上記の改変が実際に適用されるのは2022年1月1日からになります。
この理由としては、上記改変を徹底して広く伝え、情報提供や教育のための十分な時間を確保するためです。
確かに、毎年アンチ・ドーピングの改訂にアンテナを張っていないと、この改訂を知らずに医療機関でステロイド注射を施行され、ドーピング違反になる選手が多く出てきてしまう気がします。
実際に僕も最近知ったので、僕たちスポーツドクターも下手したらドーピング違反に加担してしまう可能性があります。
選手も自分自身をドーピング違反から守るために、こういった改訂はしっかりと知っておく必要があると思います。
というわけで、この情報は周りのスポーツ関係者に広く拡散して頂けると幸いです。
よせやん
しかし、本当に治療で必要な時はTUE申請を
しかし、ステロイド注射が治療のために本当に必要な場合はもちろん使用することが可能です。
その場合、アスリートは当該物質を使用する前にTUE(治療使用特例)を申請し、取得しなければなりません。
ただし、なかなか予定して治療することは難しいので、以下の条件であればTUEを遡及的に申請することが可能です。
- 医学的状態の救急又は緊急の治療が必要であった。
- 検体採取の前に、競技者がTUEの申請を提出することの妨げとなる、時間や機会の不足、又は他の例外的な事情があった。
- 競技者が治療目的のために、競技会(時)においてのみ禁止された禁止物質を競技会外で使用した。
このことはアスリート自身、またはそれをサポートしている指導者やトレーナー、スポーツドクターは知っておかなければなりません。
よせやん
詳しくはこちらをご確認ください。
外部リンク:治療使用特例に関する国際基準2021
スポーツドクターとしてどう対応していくか
では、上記のことを踏まえて、スポーツドクターとしてどう対応していけばいいのでしょうか。
基本的には、本当に必要な時以外、なるべくステロイド注射を使用しないのが一番かと思います。
近年はエコーを用いた治療が発達・普及してきているので、整形外科医をしているとエコー下に注射することは非常に多いと思います。
実際に僕もいろんな症状に対してエコー下注射を行っていますが、最近思うのはステロイドが本当に必要なケースは意外に少ないということです。
原因をしっかりと特定し、生食もしくはキシロカインでリリースしてあげるだけで良くなるケースが多い印象です。
ただ、自分に自信がなかったり、少しでも良くなる可能性が上げようと思い、ステロイドを混ぜて投与したい気持ちになるのも良くわかります。笑
僕もまずきちんとキシロカインテストや生食・キシロカインでのリリースを行い、それでも良くならない場合やすぐに再燃してしまう場合にステロイドは温存しておくことを心がけようと思います。
よせやん
また、ステロイド注射を使用した場合にはTUE申請が必要になることを知っておき、むしろアスリートに啓蒙してあげられる立場になっておくべきかと思います。
やはり、スポーツドクターとしてアンチ・ドーピングに対しても常にアンテナを張っておかなくてはいけませんね。
おわりに
以上、今回は2021年禁止表国際基準で全てのステロイド注射が禁止されたことを取り上げてみました。
スポーツ関係者であっても、アンチ・ドーピングに関しては知識が手薄になってしまっている方は少なくない印象です。
アスリート自身が知っておくことはもちろんですが、アスリートを守る立場にあるスポーツ医療者は常にアンチ・ドーピングに関してもアンテナを張っておくことが大切だと思います。
改訂などに関しては、日本アンチ・ドーピング機構のホームページに掲載されますのでそちらをご確認頂けると良いかと思います。
外部リンク:日本アンチ・ドーピング機構ホームページ
今回の改訂は知らないとドーピング違反に直結しうるものになりますので、2022年1月までに周りのスポーツ関係者に拡散して頂けますと幸いです。
よせやん
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