膝前面の膝蓋大腿関節(PF関節)の痛みの原因|疾患別に最近の新しい治療法も紹介!

 
PF関節の痛みの原因疾患

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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること!仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい!日々の勉強のため、また、同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思いブログを書いています。➡︎詳しいプロフィールはこちら

よせやん

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スポーツドクターを目指す若手整形外科医です。

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日朝起きたら右足の踵がますます痛くなっていてしばらく足をつくことすらできませんでした。今日は回診当番だったので足を引きずりながら何とか病院へ。これはしばらくフットサルできそうにないな…。

まあ何はともあれ今日はありがたいことに祝日で月曜休みなので記事を更新しておきましょう。

先日参加した学会で聞いた膝蓋大腿(PF)関節の痛みの原因についてお話しします。

膝蓋大腿(PF)関節とは

まず一応、膝蓋大腿(PF)関節について確認しておきましょう。

膝蓋大腿(PF:patellofemoral)関節とは、その名の通り膝蓋骨と大腿骨で作られる関節です。 

膝を曲げ伸ばしすると、膝蓋骨は大腿骨の滑車部(sulcus)を滑るようにして上下に動きますが、まさにこの膝蓋骨と大腿骨滑車部で作られる関節が膝蓋大腿(PF)関節というわけです。


図:膝蓋大腿(PF)関節(船戸和也のホームページより引用)

膝蓋大腿(PF)関節の痛みの原因

では、この膝蓋大腿(PF)関節の痛みが起こる原因としてはどんな疾患が考えられるのでしょうか。

膝蓋大腿(PF)関節に痛みを起こす原因となりうる鑑別疾患を紹介します。

膝蓋大腿(PF)関節の痛みの原因疾患

  • ジャンパー膝
  • シンディング・ラーセン・ヨハンソン病
  • 有痛性分裂膝蓋骨
  • 滑膜ヒダ障害
  • 離断性骨軟骨炎
  • 膝蓋骨脱臼
  • 変形性膝関節症

これらの疾患について簡単にだけ触れておきましょう。

ジャンパー膝/シンディング・ラーセン・ヨハンソン病

ジャンパー膝とシンディング・ラーセン・ヨハンソン病は非常に似ている病態です。

膝蓋腱は上図のように膝蓋骨に付着しているわけですが、膝蓋腱に炎症が生じたものがジャンパー膝膝蓋骨の骨端症として症状が出現するのがシンディング・ラーセン・ヨハンソン病で、ジャンパー膝は成人に、シンディング・ラーセン・ヨハンソン病は成長期の子どもに起こることが多いです。

これはシンプルな理由で、より脆弱な部位に損傷が生じるからだと考えられます。

成長期の子どもはまだ骨が成熟しておらず膝蓋腱よりも膝蓋骨の方が脆弱であるため骨端症としてシンディング・ラーセン・ヨハンソン病が起こりやすく、成人になると骨が成熟して腱の方が脆弱になるため腱症としてジャンパー膝が起こりやすいというわけです。

一般的に小児のスポーツ傷害としては骨折が最も多く、成人の場合は靭帯損傷が多いことは覚えておかなければいけないのでしたね。

どちらも治療はほとんど同じで、基本的には安静と大腿四頭筋のストレッチなどを行います。

こういった基本的な治療に抵抗性の場合は、最近ではESWT(体外衝撃波治療)PRPという血小板由来の成長因子の注射などの新しい治療が行われ良好な治療成績が報告されています。

ただし、ESWTでは早期骨端線閉鎖に注意が必要であることは知っておきましょう。

有痛性分裂膝蓋骨

分裂膝蓋骨とは、正常ではひとつの骨である膝蓋骨が2つ以上に分裂しているものをいいます。

分裂膝蓋骨自体は無症状のものも多く、外来でもときおり分裂膝蓋骨の患者さんを見かけます。しかし、この分裂膝蓋骨が痛みを伴うようになったものを有痛性分裂膝蓋骨といいます。

有痛性分裂膝蓋骨も基本的には安静と大腿四頭筋のストレッチなどを行い保存的に治療を行いますが、保存的治療に抵抗性の場合は手術加療を行うことがあります。

今までは分裂した骨をくっつける骨接合術や分裂した骨片を切除する切除術、外側支帯切離術などが行われてきましたが、最近では関節鏡視下に行う外側広筋切離術の良好な術後成績が報告されています。

外側広筋を切離してあげて骨片への緊張を緩めることで分裂してしまった骨の癒合が期待できるようで、講演で拝見した写真でもきれいに骨癒合していて、へ〜っと思いました。

滑膜ヒダ障害

膝関節は発生途中でいくつかの滑膜による隔壁により分割されていますが、生下時には単一の関節腔となります。この滑膜隔壁の遺残のことを滑膜ヒダといいます。

頻度の高いものに、以下の3つがあります(図1)。

  • 膝蓋上滑膜ヒダ(suprapatellar plica)
  • 内側滑膜ヒダ(mediopatellar plica)
  • 膝蓋下滑膜ヒダ(infrapatellar plica)

滑膜ひだ プリカ plica

これらはいずれも正常構造であり、薄く軟柔性に富み、臨床的には問題とはなりません。

しかしながら、繰り返す機械的刺激などにより反応性滑膜が生じ、ヒダの肥厚や瘢痕化が進行すると症状が出現する場合があり、これを滑膜ヒダ障害と呼びます。特に、内側滑膜ヒダ障害のことをタナ障害ともいいます。

滑膜ヒダ障害も基本的には保存的に治療しますが、抵抗性の場合は鏡視下に滑膜ヒダを切除することで良好な治療成績が得られます。

離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎は、肘関節・膝関節などに生じる骨端症の一種ですが、最も好発する部位は膝関節の大腿骨内側顆のclassical siteと言われる場所です。

膝蓋大腿(PF)関節に起こることもあるのですが、頻度としては稀で膝関節の離断性骨軟骨炎の中の1.5%です。

保存的な治療で改善しない場合は、骨軟骨片固定術ドリリング術などを行い、それでも改善が見られない場合には、軟骨欠損部の大きさに応じて自家骨軟骨柱移植術自家培養軟骨移植術などを行います。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨は前述したように大腿骨滑車部を上下に滑走していますが、ジャンプの着地などで大腿四頭筋が強く収縮した際に脱臼してしまう疾患で、ほとんどは膝蓋骨が外側に脱臼します。

初回脱臼時はパテラブレースをつけて保存的に様子を見ますが、再発を繰り返してしまう場合や脱臼の恐怖感が消失しない場合には膝蓋骨が脱臼しないようにするための手術を行います。

現在ではMPFL(内側膝蓋大腿靭帯)再建術が行われる場合がほとんどで、いろんな術式がありますが術後成績はどの方法でも良好です。

おわりに

以上、今回は膝蓋大腿(PF)関節の痛みを起こす原因疾患とその最新の治療法を紹介しました。

今回紹介した疾患はどの疾患も今まで取り上げていないものだったので、また個別に疾患の記事を作ろうかと思います。

医学は常に進歩していくものなので、学会などで新しい情報を仕入れることは非常に大切ですね。

 

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