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エコノミークラス症候群(新称:ロングフライト血栓症)とは

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

今日からcadaverで某国へ出発するので、昨日は残してきてはいけない仕事を全てやっていました。

今日はゆっくりと出かける準備をしていましたが、そろそろ出発の時間です。

 

さて、今日は自分にとってリアルタイムな話題で、いいコンディションを保つための飛行機内での過ごし方についてです。

これに関しては以前、少しお話ししましたね。

 

そして、飛行機内での過ごし方を学ぶ上で、必ず知っておいて欲しい疾患があります。

それはエコノミークラス症候群(今はロングフライト血栓症と呼ばれます)です。

これは命に関わる疾患であり、フライトの際には十分に注意する必要があります

 

また、日本人は、ヨーロッパ、北米各都市、オーストラリアなど片道10〜12時間、往復20〜24時間のロングフライトを強いられます。

これが南米やアフリカになると、往復40時間以上の超ロングフライトとなります。

つまり、日本に住んでいる人は海外へ出かけるためにロングフライトを強いられる動かし難い地理的要因を抱えているのです。

 

ですから、エコノミークラス症候群についての正しい理解と予防法は、海外へ出かける全ての日本人に知っておいて欲しい内容なのです。

よせやん

というわけで、今日はエコノミークラス症候群とはどんな疾患なのかについて確認しましょう。

Contents

エコノミークラス症候群とは

では、さっそくエコノミークラス症候群とはどんな疾患なのか確認していきましょう。

 

エコノミークラス症候群とは、6時間以上のフライトのときに、長時間狭い椅子に座ったままの状態を強いられることにより、足の血液の流れが悪くなり、静脈の中に血の塊(静脈血栓)ができる疾患です。

この静脈血栓は歩行などをきっかけに足の血管から離れ、血液の流れに乗って肺に到着し、肺の動脈を閉塞してしまうと命を落とすこともあります。

エコノミークラス症候群は、その名称から座席スペースが狭いエコノミークラスのみが危険で、ビジネスクラスやファーストクラスは安全だという誤解を与えかねないとして、日本旅行医学会が中心となって改称提言が行われ、今はロングフライト症候群と呼ばれます。

 

一般的に、ロングフライト血栓症は6時間以上のフライトで起こり、重症例は10時間以上のフライトで生じます。

重症例で下肢にできた血栓が、立ち上がった瞬間などに血管壁からはがれ、それが血流に乗って心臓を通過し、肺動脈につまって呼吸困難、失神、さらには死亡に至ることもある非常に怖い疾患なのです。

 

日本人が海外に行く場合、地理的要因から6時間以上のフライトを強いられることが多いので、特に注意が必要なわけですね。

よせやん

また、この病気を肺塞栓症と同じものだと考えている方もいるのではないでしょうか。

肺塞栓症は病気を持った人の集団に起こる「合併症」ですが、エコノミークラス症候群は健康な人の集団を突然に襲う疾患であり、診断方法や治療法に共通点はありますが、ベースとなる集団、その主なる原因、そして予防方法は全く別に考えなくてはいけません。

 

エコノミークラス症候群の疫学

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パリ、シャルルドゴール空港における調査では、飛行距離が2,500km未満での発症例はなかったのに対し、10,000km以上では100 万人あたり4.77人が発症し、飛行距離が長くなるほど発症率が高いことが示されています。( Lapostolle F, Surget V, Borron SW, et al. N Engl J Med. 2001 )

 

日本における調査としては、(財)航空医学研究 センターの三浦らによるアンケート調査があり、エコノミークラス症候群44例(確定診断42例、強い疑診例2例、男性3例・女性41例)において、平均年齢61.0 ± 9.9歳、平均搭乗時間11.6 ± 1.6時間、座席はエコノミークラス 31例、ビジネスクラス6例、不明7例、うち死亡4例であったこと、座席位置は窓側11例、中側8例、通路側6例、離席回数0.5 ± 0.8回であったことを報告しています。

また、日本における発症頻度は 1,000,000 人あたり0.18人と極めて稀であったとも報告しています。( 三浦靖彦ら.第47回日本宇宙航空環境医学会総会予稿集.2001 )

 

しかし、エコノミークラス症候群は、エコノミーク ラスに限らず、ビジネスクラスでも生じること、さらには、航空機に限らず長時間の移動の場合には、自動車、列車、船舶などでも起こり得ることより、本来は、旅行者血栓症(traveller’s thrombosis)と呼ぶのが適当であると言われています。( 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン.2009 )

 

エコノミークラス症候群の事例

最後に、エコノミークラス症候群の事例を紹介しましょう。

 

元サッカー日本代表FWの高原直泰選手がエコノミークラス症候群に罹患したのを覚えている方は多いのではないでしょうか。

高原選手は着陸後に直ちに病院へ搬送されましたが、再びピッチに立つまでに4年もの月日を費やしてしまいました。

日ごろからトレーニングをしており、血液循環もよい一流アスリートでさえ罹患するのです。

 

エコノミークラス症候群は、まさに年齢性別を問わず、誰に起きてもおかしくはない病気だと言えるでしょう。

よせやん

実は僕も海外旅行でヨーロッパに行った際に、着陸後から胸痛や息苦しさを自覚したことがあります。

そのときは、海外で病院を受診することに非常に高い壁があったのと、1日ほどで症状が取れていったため病院には受診していません。

それが何だったのかはわかりませんが、非常に不安で仕方がありませんでした。

 

まとめ

以上、今日は飛行機内でのコンディショニングとして、必ず知っておいて欲しいエコノミークラス症候群ロングフライト血栓症)についてまとめました。

 

エコノミークラス症候群は命に関わる疾患であり、日本人は海外へ出かけるためにロングフライトを強いられる地理的要因を抱えているため、この疾患に関して知っておくべきであるということがおわかり頂けたでしょうか。

僕も今から飛行機に乗るのでしっかり予防しようと思います。

今回の距離では大丈夫でしょうが、念のため…。

 

エコノミークラス症候群の症状や予防法についても今後まとめる予定です。

お楽しみに。

 

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