アスリートの鼡径部痛(groin pain)のドーハ分類|シンプルな分類なので知っておこう!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
9月から国内・海外共に学会ラッシュだったこともSNS、ブログ共にサボっていました。
いや余力はあったのですが、一度止まってしまうとなかなか動き出せませんでした・・・。
あとは9月のフットサル中に久しぶりに怪我をしてしまい、気分も落ち込んでいました。
いろんなことが落ち着いてきましたし、10月から2019年度の後半が始まるのでまた気持ちを入れ替えて頑張ろうと思います。
とりあえず久しぶりにブログを毎日更新するのを目標にします。
毎日更新はなかなか大変なのですが、週に何回でいいと決めてしまうとまあ明日でいっか〜となって逆にできないんですよね。
毎日更新すると決めてしまう方が僕には合っているやり方みたいです。
まあ専門医試験の勉強も始めなきゃいけないし、学位論文も仕上げていかなきゃいけないし、なかなか忙しいのですが。笑
よせやん
というわけで、今日はアスリートの鼡径部痛(groin pain)のドーハ分類について紹介します。
Contents
アスリートの鼡径部痛
鼡径部痛はアスリートには珍しい症状ではなく、スポーツ現場においてアスリートを悩ませるものです。
しかし、非アスリートとは疼痛出現部位や出現様式が異なり、その診断や治療に難渋することが多いのが実情です。
アスリートに発生する鼡径部痛はgroin painとも呼ばれています。
このgroin painは、日本に限らず成果的にその診断と治療に難渋してきた歴史があります。
2014年11月にこのgroin painの病態や診断の分類を目的としてカタールのドーハでThe First World Groin Pain Conferenceが開催され、世界14カ国から24人の専門家が参加しました。
この記事では、この会議で提唱されたgroin painの分類を紹介しようと思います。
よせやん
ドーハの会議で対象されたgroin painの分類
ドーハの会議で提唱された分類方法(ドーハ分類)は簡潔であり、画像診断を一切含まないことが特徴的です。
分類および診断をシンプルにすることを重要視し、触診と抵抗時(負荷時)痛を中心とした身体所見による評価を用いて分類されています。
内転筋関連鼡径部痛
内転筋に一致した圧痛と内転筋抵抗時痛を有する鼡径部痛です。
内転筋抵抗時痛は股関節伸展位(屈曲0°)で評価する方法や、股関節屈曲位(屈曲45°)にてadductor squeeze testなどで評価を行います。
adductor squeeze testに関しては下の動画を参考にしてください。
【adductor squeeze test】
・内転筋抵抗時痛を確認するためのテスト
・患者を仰臥位にし、股関節屈曲位(屈曲45°)にて膝関節の間に拳を入れ、これを押し潰すように股関節を内転させる
・疼痛が誘発されれば陽性
・動画は内転筋のトレーニング動画だけど、このボールを検者の拳に置き換えるイメージ pic.twitter.com/8OhFMsX7aY
— よせやん@目指せスポーツドクター (@sports_doctor93) September 11, 2018
鼠径部痛を有するアスリートは内転筋筋力の低下が報告されており、筋力低下も評価に有用だと言われています。
腸腰筋関連鼡径部痛
股関節屈曲時の抵抗時痛、もしくは股関節伸展時のストレッチ痛にて診断される鼡径部痛です。
圧痛による診断は触診に関して不確実性があるため、ドーハ分類の詳細を見ても腸腰筋関連鼠径部痛に関しては特別に記載がありません。笑
鼡径部関連鼡径部痛
鼠径管に一致した圧痛を有する鼡径部痛です。
ただし、鼡径ヘルニアとの鑑別が必要であり、ヘルニアが触知はされてはいけません。抵抗時痛はValsalvaや咳嗽、くしゃみによって出現するする疼痛をもって陽性とします。
恥骨関連鼡径部痛
恥骨結合を中心にその周囲の骨性組織の局所的な圧痛を認める鼡径部痛です。
恥骨関連鼠径部痛のみが抵抗時痛を誘発する徒手検査を必要とせず、圧痛のみをもって診断するのが特徴です。内転筋の付着部とも一致するため、内転筋関連鼠径部痛との判断に難渋することもあります。
股関節関連鼡径部痛
股関節内に原因がある鼡径部痛です。
日本では股関節痛と鼡径部痛は別々の疾患として考えられることが多いですが、ドーハ分類では股関節関連鼡径部痛がgroin painの分類に含まれていることが注目です。
股関節内に原因があっても鼡径部痛として捉えることが重要です。
スカルパ三角を中心とし触診に加え、catchingなどの機械的症状の有無を確認します。
ただし、身体所見のみで股関節関連鼠径部痛を診断することは難しいのが実際のところです。
ドーハ会議ではFABER(Flexion abduction external rotation)テスト、FADIR(Flexion adduction internal rotation)テストの施行を推奨していますが、これらを含む股関節疾患に対する徒手診断は感度は高いですが特異度は低いです。
陰性であれば股関節疾患の除外には有用ですが、陽性だからといって安易に股関節関連鼡径部痛と診断するのは避けるべきでしょう。
よせやん
おわりに
今回は、アスリートの鼡径部痛groin painのシンプルな分類であるドーハ分類を紹介しました。
groin painの分類として、他にも単純X線やエコー、MRIなどの画像診断を含めた分類も検討されていますが、アスリートの鼡径部痛に関しては身体所見と画像所見が一致しないことも少なくありません。
もちろん画像所見も診断において非常に参考になりますが、このシンプルな分類も知っておくといいかと思います。
よせやん
次回は、groin painに関してさらに掘り下げて記事にしていこうと思います。
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