ドーピングについて知ろう!|世界のスポーツ界が驚愕したロシアの事例とは
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日はスポーツに関わるすべての人に知っておいてほしいドーピングについてお話ししようと思います。
僕は以前からドーピングに関する調査、研究、発表などをしてきましたが、なかなかブログではドーピングについて記事にできていませんでした。
スポーツは勝利を目指して競技者が公正・公平に競技するために、一定の空間で、一定の時間内に、一定のルールに従って行われるものです。
このルール違反の1つがドーピングであり、国内・国際スポーツ団体および政府が念頭におく問題になっています。
また、ドーピングは選手の健康を肉体的にも精神的にも害し死に至らしめることもあります。
そして、例えドーピングをするつもりがなかったとしても、普段から使用しているサプリメントや風邪薬、持病の治療に使っている薬がドーピングに該当することがあります(うっかりドーピング)。
うっかりドーピングは「知らなかっただけ」で済まされるわけはなく、うっかりドーピングにより華やかなその光景から一転、瞬時に深い失望へと転落してしまった事例は少なくありません。
アスリートおよびスポーツ関わるすべての人は、選手の競技力向上以外にも健康管理の一環として常にドーピングに関する情報収集とその理解に努めることが大切なのです。
よせやん
近年、トップアスリートに対してはドーピングの知識が浸透してきていますが、それ以下のレベルでは国体選手にさえあまり浸透していないのが現状です。
スポーツに関わるすべての人は、ドーピングに関して勉強し自分の健康を守るだけではなく、アンチ・ドーピング(ドーピングに反対し、ドーピングを禁止すること)の精神を持ち、スポーツをしている仲間に知識を拡散・共有して頂ければと思います。
そのためにも、ドーピングについてこれから少しずつわかりやすく記事にまとめていこうと思います。
参考にして頂き、スポーツ界からドーピングが消失し、また、うっかりドーピングなどによって深い失望を味わうアスリートがいなくなることを切に願います。
今回は、まず最初にドーピングについての基本的な知識をまとめておきます。
Contents
ドーピングとは
そもそも、ドーピングとは何なのでしょうか?
ドーピング(Doping)の名称は、南アフリカの原住民カフィール族がドープ(Dope)という刺激・興奮をもたらす薬を疲労回復・士気向上のため、戦の前の出陣式などに使用していたことに由来しています。
スポーツの世界では、ドーピングは以下のことを意味します。
また、ドーピング検査を拒否することもドーピング違反とみなされます。
近代スポーツとドーピング
近代スポーツ史上、初めて報告されたドーピングの事例は、1865年アムステルダムでのオランダ競泳選手による覚醒剤の使用でした。
この事件が報告されて以来、ドーピングという言葉は瞬く間に広がっていきました。
また、ドーピングによる初めての死者は、1886年ボルドー〜パリ間の600km自転車レースで、チームオーナーから渡された興奮剤であるトリメチルを過剰摂取したイギリス選手でした。
その10年後に開催された第1回近代オリンピックにおいて、競技としてのスポーツが確立され、以降、ドーピングは更なる広がりをみせました。
そして、ドーピングをする側と見破る側の戦いは現在も続いているのです。
ロシアのドーピング事例
その1つを紹介します。
ご存知の方も多いと思いますが、2014年12月に世界のスポーツ界を驚かせる報告書が公表されました。
ロシアが国家主導でドーピングを行い、その隠蔽工作を行っていたのです。
本来であれば取り締まるべき国側までが薬物使用に協力していたところに今までの事例とは違う深刻さがあります。
世界アンチドーピング機構(WADA)は報道が事実かどうかを確認するため、独立した調査チームを設置して調査を進めました。
結果、この前代未聞の不祥事が「事実」として認定されました。
その後、WADAの調査チームは「マクラーレン報告書」を公表しました。
- 国家ぐるみのドーピングおよびその隠蔽
- モスクワラボは保存しておくべき尿や血液を何かしらの理由をつけて破棄
- 日常的な検体のすり替え
- モスクワラボ所長、ロシア陸連医事委員長が薬物供給
- 居場所情報の操作
- 競技会外検査の事前通告、立ち会いなしの採尿
- すべての段階で賄賂、金銭の授受
WADAは、国際オリンピック委員会(IOC)や国際パラリンピック委員会(IPC)に対し、ロシアの全選手をリオ五輪とパラリンピックから締め出すことを提案しました。
しかし、IOCは過去に違反歴がないなどの条件を設けたうえで、各国際競技連盟に判断を委ねました。
結局、陸上、重量挙げの全選手、ボートの22人がリオ五輪から除外されました。
この中には、2015年水泳世界選手権女子100m平泳ぎ優勝のユリア・エフィモワ選手、ロンドン五輪男子スプリント・カヤックペア200m優勝のアレクサンドル・ディヤチェンコ選手、女子棒高跳び世界記録保持者のエレーナ・イシンバエワ選手なども含まれています。
ドーピングのロシア問題についてもっと知りたい方は下の記事を参考になると思います。
外部リンク:ドーピングの深い闇 ロシアン・ショック
ドーピングをする理由
では、なぜドーピングをする選手が出てきてしまうのでしょうか。
- 勝利至上主義
- 社会的報酬
- 経済的報酬
- 肉体的・精神的に追い込まれている
- 薬物が容易に入手できる
そこには勝ちたい、勝つことがすべてという勝利至上主義、国家や個人の威信と名誉という社会的報酬、勝利により得られる高額な賞金、生活の保障という経済的報酬が理由の1つとして挙げられるでしょう。
また、日夜トレーニングに励み競技力向上に努めるという肉体的にも精神的にも追い込まれた状態で、競技力向上や疲労回復に有効だといわれる薬物に思わず頼ってしまう精神的状態、そして、薬物が容易に入手できる環境も、ドーピングをする理由の1つになってしまっているのは事実だと思います。
こういった環境も今後、改善されていかなくてはいけないでしょう。
よせやん
ドーピング禁止の理由
最後に、ドーピングはなぜ禁止されるべきなのでしょうか。
それには以下のような理由があります。
- 選手の健康を肉体的にも精神的にも害し、死に至らしめることもあるため。
- フェアプレーの精神に反するアンフェアな行為、不正な行為であるため。
- スポーツそのものの価値を下げる結果に繋がるため。
- 薬物違反は反社会的行為であり、社会へ悪影響を及ぼすため。
ドーピングをすることでアスリート自身の社会的信用を失うだけではなく、スポーツ全体の価値を損なうことにもなります。
観客は、アスリートが正々堂々と競い合っている姿に感動を覚えるものです。
一人のアスリートの過ちで、その期待と信頼を裏切ることになりかねないのです。
つまり、
ドーピングという卑劣で危険な行いは、選手の健康のみならず、健全なスポーツの発展をも妨げるため禁止されているわけです。
おわりに
以上、今回はドーピングについての基本的な知識をまとめました。
繰り返しになりますが、アスリートおよびスポーツ関わるすべての人は、選手の競技力向上以外にも健康管理の一環として常にドーピングに関する情報収集とその理解に努めることが大切です。
よせやん
自分の健康を守り、思わぬうっかりドーピングを防ぐため、ドーピングに関してしっかり知識を得て、さらにはこれを一緒にスポーツをしている仲間に知識を拡散・共有して頂けたらと幸いです。
今後、ドーピングに関する具体的な禁止物質・方法、うっかりドーピング、ドーピング検査などに関して1つずつまとめていきます。
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