膝関節鏡手術のポイント①最初の関節注射がまず重要!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
昨日も今日も膝関節鏡手術をしています。
最近は膝関節鏡視下の半月切除やタナ切除は完遂できる症例も少しずつ増えてきました。
しかし、関節鏡手術をしていて上手くいかないこともやはりまだまだあります。
ある程度の経験が蓄積してきて、自分なりにどういうときに上手くいかないのかわかってきた気がします。
今後、そういう点を備忘録としてまとめていきます。
特に僕と同じような膝関節鏡手術を始めたばかりの先生には共感してもらえるところが多くあるのではないでしょうか。
まさしく現在進行形で日常的に試行錯誤している身分で、自分の経験と論文・教科書で言われていることを踏まえてお話していきます。
というわけで今日はまず、最初の関節注射がまず重要!ということに関してお話しします。
Contents
膝関節鏡手術の際の関節注射
膝関節鏡手術を行う際には、最初に外側ポータル(外側膝蓋下刺入点:図1)の位置から関節内に潅流液を注入します。
これは関節腔内を膨らませて関節鏡手術を行うスペースを広げるためですね。
当院ではいつも50ccのシリンジに潅流液を吸引し、これを関節腔内に注入しています。
図1:膝関節鏡手術の際の外側ポータルの場所(外側膝蓋下刺入点)
この手技は関節鏡手術を行う最初の手技であり、普通は何事もなく過ぎていくプロセスであり、教科書だと1行で終わってしまうプロセスです。
が!!!
実は、初心者はここがまず最初の関門になります。
よせやん
ここがきちんとできていないと、その後の手術のプロセスすべてにおいて苦労することになってしまうのです。
関節注射のピットフォール
どういうことかというと、
ということです。
そんなところで引っかかるかよと思われるかもしれませんが意外と陥りがちなピットフォールです。
少なくとも自分が関節鏡手術をしていて上手くいかないなと思ったときは、皮下が腫れてしまって関節内に滑膜が充満している場合が多いです。
リウマチや急性外傷後で炎症性の赤々とした充血した滑膜が関節内に充満した場合ならわかりますが、普通の色をした滑膜が邪魔で関節内がよく見えないという場合は、残念ながら最初の関節注射でつまずいている可能性があります。
関節注射のポイント
では、どういう点に気をつけて関節注射を行えばいいのでしょうか。
何よりも大切なのは確実に関節腔内に入れることです。
よせやん
そのためにはどうしたらいいのか。確認していきましょう。
- 関節腔内に向けて穿刺する
このためには膝関節の解剖をしっかりと理解している必要があります。
一般的にどの角度で穿刺したら関節腔内に入る可能性が高いのか解剖を見て確認しておきましょう。
- 関節腔内に入ったと思ったら吸引してみる
変形性関節症の場合、黄褐色透明の関節液が引けますし、急性外傷の場合は赤々とした血腫が吸引できるでしょう。
しかし、関節液がほとんど貯留していない症例では関節内に針先が入っていても、関節液が吸引できないことが多いです。
- 少し注入してみる
ここが1番大切です。
関節腔内にシリンジ内の潅流液を注入してみます。
このときに何の抵抗もなく注入できるようであれば関節腔内にきちんと入っていると考えていいと思います。
逆に、抵抗があってなかなかシリンジが押せない場合はきちんと関節腔内に入っていない可能性が高いです。その場合はその時点で、注入するのをやめましょう。
そして、再度角度を変えて関節腔内に穿刺してみましょう。
- 抵抗がなければシリンジ内の潅流液を注入する
前の段階で関節内に入っていそうであれば、シリンジ内の潅流液を関節腔内に注入しましょう。
このときもまだ気を抜いてはいけません。
関節全体が膨満してくるか見て確認しましょう。
全体的に膨満してくるようなら問題ありませんが、もし皮下だけがぷくっとふくれてくるようであればこれも関節腔内にきちんと入っていない可能性が高いです。
この場合も、再度穿刺をやり直しましょう。
まとめ
以上、今回は膝関節鏡手術のピットフォールとして、最初の第一関門である関節内注射に関してお話ししました。
ポイントとしては、きちんと関節内に穿刺できていることを確認することに尽きます。
よせやん
どんな手技でもそうですが、手技を行う際にはやりやすい環境を作り上げることが大切です。
膝関節鏡手術においては、このピットフォールに陥ってしまうと、その後の手技すべてが上級者編になってしまい、手術自体も難しくなる可能性が高くなってしまいます。
指導医の先生に見られていて焦る気持ちはものすごいわかりますが、膝関節鏡手術においては最初の関節注射がまず大切です。
最初につまずいて手術全体をやりにくくしてしまうくらいなら、何回がやり直してでも確実に関節内に潅流液を入れることを心がけましょう。
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