マラソン大会のドクター報告|マラソンに多いスポーツ傷害とは?
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
仕事が始まってまだ2日ということに驚いています。
まだ2日目とは思えないような疲労感です。
年末年始に少しゆっくりさせてもらったからかな?
さて、今日は12月に参加したマラソン大会の会場ドクターとしての報告記事です。
またそれに併せて、マラソンに多いスポーツ傷害についてもまとめてみました。
Contents
マラソン大会
12月に開催されたこのマラソン大会は、
申込者数:7,678人
参加都道府県:34(北海道〜鹿児島)
運営スタッフ:約580人
とかなり大規模なマラソン大会でした。
これだけの規模になると運営もしっかりしていて、事前に運営スタッフで会議も開かれました。
このマラソン大会には医科学相談コーナーというものがあり、これは大会参加者で体やメンタルに悩みを抱えている方がスポーツドクターに相談することができるというものです。
僕が担当させて頂いたのは運動器分野です。
その他にも、呼吸器・循環器・血液・女性・メンタルなど各分野の相談コーナーが設置されていました。
マラソンランナーの体の悩み
僕が担当した運動器分野の相談コーナーに訪れたマラソンランナーの方に多かった相談は大雑把に言うと、
- 膝の痛み
- 足の痛み
- ストレッチングについて
が圧倒的に多かったと思います。
もちろん、腰痛や肩痛などを訴えるランナーの方もおられましたが、大多数はこの3つに関しての相談だったと思います。
意外にマラソンをやっている方は熱心な方が多いのか、どういうトレーニングが効果的かというようなことを聞いてくる方も非常に多くいらっしゃいました。
やはりリハビリテーション、トレーニングなどの知識は重要だと再認識させられました。
そして、ここの相談コーナーで面白いのが、皆さん走れないのではなく、10kmくらい走ると痛くなるとか20km走ると痛くなる言う相談だということです。
普通の整形外科でそんな相談したら、そんだけできるのなら心配ありません!と言われて終わりそうです。笑
よせやん
また、もちろんレントゲンなんてありません。
問診も身体診察がすべてです。
これがまたいつもの病院での診察とは異なり面白かった点でもあります。
ランナーに多いスポーツ傷害
以前、陸上競技全体のスポーツ傷害についてはまとめたことがありますね。
では、ランナーに多いスポーツ傷害にはどのようなものがあるでしょうか。
膝
- 腸脛靭帯炎
- 鵞足炎
- 膝蓋腱炎
下腿
- 脛骨疲労骨折
- 下腿コンパートメント症候群
足
- 足底腱膜炎
- アキレス腱障害
- 中足骨疲労骨折
( Willen, VM, et al. Sports Medicine. 1992 )
( Ballas, MT, et al. American Family Physician. 1997 )
などがよく知られているところでしょう。
その他として、梨状筋症候群・有痛性外脛骨・外反母趾・舟状骨疲労骨折なども知っておくとよいと思います。
着地時の衝撃の伝わる骨(脛骨・中足骨など)では疲労骨折が、着地や蹴り出しの際に弾性エネルギーを蓄積・放出する腱(アキレス腱・膝蓋腱)では腱症・腱周囲炎などが、また筋自体にも多量の細胞損傷やそれに伴う浮腫による内圧上昇(コンパートメント症候群)を生じるわけですね。
こうやってみると、マラソンに多いスポーツ傷害はそのほとんどがoveruse(使い過ぎ)によるスポーツ障害だということが改めてわかりますね。
また、マラソンでは体重や体脂肪率が少ないほうが競技上有利と考えられていることが多いですが、それは骨密度の低下に繋がり、女子選手では無月経を呈し疲労骨折などの危険を高めることにもなっています。
そこら辺に関しても是非知っておいて頂けたらと思います。
おわりに
以上、今回は12月に参加したマラソン大会の会場ドクターとしての報告記事でした。
またそれに併せて、マラソンに多いスポーツ傷害についてもまとめてみました。
僕自身はボールがないと長距離は走れないのでマラソンは得意ではありませんが、こうやって自分がやっていないスポーツ種目に触れることも楽しいなと思いました。
ただスポーツが好きだからでしょうが。
こうやっていろいろなスポーツ種目におけるスポーツドクターとしての活動を増やしていき、スポーツドクターとしての幅を広げていけたらと思います。
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