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膝内側側副靭帯(MCL)損傷|脛骨付着部の引き抜き損傷の特徴・診察

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人形
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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明けましておめでとうございます。
2016年も何卒、宜しくお願い申し上げます。

今日は新年早々、関連病院で腹痛と闘いながら当直をしております。新年初日から病院食ですが、一応正月風になっています。

病院食

真ん中に写っているお餅に猿の絵がついています。お腹いたくてほとんど食べれませんでしたが…。

救急外来では橈骨頭骨折、両側肘内障などなど対応しております。肘内障の整復は患者の両親をはじめ、看護師さんも、簡単に治ったことに感動してくれるから好きですね。また、整復方法など紹介できたらと思います。

さて、そろそろ勉強していきましょうか。

今日は以前の続きで、膝内側側副靭帯(MCL)損傷をやっていきます。

今までは大腿骨側の損傷について主にお話ししてきました。

今回は、MCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷について勉強しましょう。

MCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷は、稀ではありますが手術が必要になるケースが多いため、見逃さないように必ず知っておかなければいけません。

よせやん

これは、僕が以前受傷して手術を受けた疾患でもあります。

脛骨付着部からの引き抜き損傷

膝MCL損傷において、大腿骨側や実質部の損傷に比べ、

MCLの脛骨側の損傷(脛骨付着部からの引き抜き損傷)は頻度がである。( Phisitkul P, et al. Iowa Orthop J. 2006)
とされています。

そのため、教科書によっては(ネットの情報もですが)、脛骨側の損傷のことに触れていないことがほとんどです。

という話は前にお話ししましたね。

しかしながら、

脛骨付着部からの引き抜き損傷は重症のことが多く、その形態的特徴から早期修復術の適応とされています。
このため、

MCL損傷を疑った場合、常にその可能性を念頭に置いておく必要があります。

よせやん

大腿骨側、実質部での損傷の場合、保存療法後に高度不安定性が残存する例には修復術もしくは再建術を行うのでした。

武富らは、MCL手術全体の約3割、修復術を行った症例の約9割が脛骨付着部からの引き抜き損傷であったことを報告しています。( 武富修治,内山英司.JOSKAS.2010 )

これは、大腿骨側の損傷のほとんどが保存療法で治癒すること、そして、脛骨側の損傷のほとんどが手術適応であるからです。

特徴

では、MCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷にはどのような特徴があるのでしょうか。

その特徴を知るためにも、今一度解剖を確認しましょう。

鵞足とは何か覚えていますか?

鵞足 解剖
図1:船戸和弥のホームページ(相互リンク)より引用

図1のように、縫工筋(浅層)、薄筋および半腱様筋(深層)の末広がりの停止腱は1カ所に集まっており、その様子は鵞の足の水掻きが折れ重なったように見えるため、鵞足と呼ばれます。
鵞足とMCLとは鵞足包で隔てられており、MCL浅層の遠位は鵞足下層に存在します。

MCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷では多くの場合、MCL浅層の遠位段端が鵞足を乗り越えているか、鵞足付近にまくれ上がっています

こうなってしまうとどうなるかというと、

MCL浅層遠位段端の本来の付着部とMCL浅層の間には鵞足が仲介するため、自然治癒は期待できません。

MCL脛骨引き抜き損傷 手術
図2:鵞足を乗り越えたMCL浅層段端(小矢印:MCL浅層遠位段端、大矢印:鵞足)( Corten K, et al. Clin Orthop Relat Res. 2010より引用)

武富らは、手術を行った症例26例中の20例でMCL浅層の段端が鵞足を乗り越えていたと報告しています。( 武富修治,内山英司.JOSKAS.2010 )

手の母指尺側側副靭帯におけるStener lesionでは、断裂した段端が内転筋腱膜を乗り越えるため、保存療法では不安定性が残存し、手術適応とされていますが、同様のことがMCLの脛骨からの引き抜き損傷で起こっていると考えられます。

また、本損傷の場合、重症であることが多く、合併損傷が存在することが多いとされています。

MCL脛骨側(引き抜き)損傷の合併損傷
  • ほぼ全例で前十字靭帯(ACL)損傷
  • 約半数に外側半月板損傷
  • 場合により後十字靭帯損傷、内側膝蓋大腿靭帯損傷、内側半月板損傷など

を合併する
( 武富修治,内山英司.JOSKAS.2010 )  

とされています。

僕がMCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷を受傷した際に、この論文を読んでいたため合併損傷がないか不安でいっぱいでした…。

よせやん

結局、幸運にも関節鏡検査で合併損傷は認めず、MCL単独損傷でしたけどね。

診察

最後に、診察について少しだけ触れておきます。

本損傷に多くみられる特徴的な所見を以下に挙げます。

MCL脛骨側(引き抜き)損傷の特徴
  • 高度外反不安定性
  • MCL脛骨付着部付近の圧痛(鵞足周囲)
  • 下腿の広範な皮下血腫

MCLが脛骨付着部からの引き抜けて完全断裂となること、高率にACL損傷を合併するため、高度外反不安定性を認めるわけですね。

しかし、ACL損傷の合併を高率に認めるにも関わらず、関節内血腫を認めない、または少ないことが多いとされています。

これはMCL深層の破綻により、血液が関節内に貯留しないためです。

というわけで、

MCL損傷の患者さんを診察したときには、脛骨側の圧痛の確認だけでなく、ACL、PCLそして半月板に対する徒手検査を十分に行う必要があります。

よせやん

  • ACLの評価:Lachman test、前方引き出しテスト、Pivot shift test
  • PCLの評価:reverse Lachman test、Posterior sagging sign、後方引き出しテスト
  • 半月板の評価:McMurray test

おわりに

最後まで書くと長くなり過ぎるため、今回はここで終わっておきます。

というわけで、今回はMCLの脛骨付着部からの引き抜き損傷についてのお話でした。

次回、MCL脛骨からの引き抜き損傷の画像診断、手術、後療法について勉強していきます。

 

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