半月板損傷の疫学・発症メカニズム・症状と診察、McMurray testとは
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
昨日は所属する社会人フットサルチームの今季初練習でした。
今までは都道県リーグ1部のチームに所属していましたが、実は今季から都道県リーグ2部のチームに移籍しました。
昔から一緒にフットサルをやっていたメンバーが多くてやってて楽しいからです。
僕自身はフィクソ(1番後ろのポジション)が好きなのですが、図体がでかいからかまたピヴォ(1番前のポジション)をやることになりそうな予感です。
今季も仕事同様に、サッカーとフットサルも頑張りたいと思います。
よせやん
さて、今日は以前少し触れた膝の半月板損傷について勉強をしていきましょう。
今回は、半月板損傷の疫学・発症メカニズム・症状と診察についてやっていきます。
診察のところでは、McMurray testに関しても詳しく述べてみます。
Contents
半月板板損傷とは
半月板損傷は、名前の如く半月板が損傷された状態のことをいいます。
半月板損傷は、スポーツ活動性の高い若年者と、半月の変性が素因にある高齢者に多く、方向転換を多く行うようなサッカー、バスケットボールなどのスポーツに多いとされています。少し古いデータですが、1998年12月にバスケットボールの日本リーグ選手を対象としたアンケート調査では、以下のように報告されています。
- 半月板損傷経験者は男子で23名(有病率13%)、女子33名(有病率17%)
- 受傷時期は男子は大学時代、女子は日本リーグ所属後にピークがあった
( 三馬正幸ほか.整外スポーツ医会誌.1999 )
発症メカニズム
半月板損傷は、着地時の捻りや内・外反の強いストレスが加わったときに起こりやすいとされています。
また、靭帯損傷などで膝に不安定性がある場合、半月板損傷を罹患しやすくなることが知られており、靭帯損傷(前十字靭帯、内側側副靭帯)に合併して起こることが多い(50〜60%)と言われています。
特に前十字靭帯の機能不全があり、膝くずれ現象が繰り返し起こると、半月板に過剰なストレスがかかり、二次的に半月板損傷を生じることになります。
このパターンは非常に多くて、前十字靱帯損傷をしているのに再建術を施行されず経過観察となっていて、膝が痛いと違う病院にかかった時には半月板は変性断裂でボロボロになっていて、縫合することもできずに切除を余儀無くされる症例を何例も見てきました。
よせやん
それ以外にも、本来、半月(三日月)のような形状をしている半月板が円板状の形状をしている場合(円板状半月板という)にも、損傷されやすいとされています。
この場合は、明らかな外傷がなかったり、軽微な外傷であっても発症することが多いです。
また、半月板損傷は外側に生じる頻度が高いですが、これは外側に円板状半月板が多いことも要因となっているとされています。
円板状半月板に関しては、後日、別でまとめます。
半月板損傷の症状・診察
半月板損傷の症状としては、運動時の膝内外側の疼痛が主なものです。
関節水腫(関節内に水がたまる)を伴うことも多く、その他に、可動域制限、giving way(膝くずれ現象)、弾発現象などが症状として出現します。
giving wayは、十字靱帯損傷の時のみに起こると思っている方が少なくないので注意が必要です。
受傷後時間が経過するとともに、大腿四頭筋の萎縮が見られることも特徴です。そして、ときに断裂した半月板が関節の間に挟まって動かなくなり、膝の自動屈曲・伸展が不可能になることがあり、これをロッキングといいます。
そこまでいかなくても、膝が引っかかる感じを自覚することがあり、これをキャッチングと言います。
詳しく言うと、これらはバケツ柄状断裂(bucket-handle tear)となった場合やフラップ状断裂の場合に起こります。
断裂の形態に関しては、下の記事で確認して下さい
軟骨損傷がある場合にも、半月板損傷と臨床所見が類似することがあるので、注意が必要です。身体診察としては、McMurray test、Apply testといった徒手検査が陽性となります。
僕は半月板損傷に関しては、普段はMcMurray testで主に診察しています。
McMurray test
McMurray testについて、簡単に説明しておきます。
また、膝関節軽度屈曲位〜伸展位でも同様に下腿をできるだけ内方、外方へ念転させて行います。
- 内方への念転時に陽性の場合は外側半月板損傷
- 外方への念転時に陽性の場合は内側半月板損傷
- 深屈曲位での陽性は後節損傷
- 膝関節軽度屈曲位〜伸展位での陽性は前節損傷
を疑います。
また、click音のみや疼痛のみの場合よりも、どちらも認めた場合の方が信頼性が高いとされています。
おわりに
以上、今回は半月板損傷の疫学・発症メカニズム・症状と診察について、診察のところでは、McMurray testに関しても詳しくお話ししました。
今後、今回の続きで、半月板損傷の画像診断・鑑別診断・分類・治療・リハビリテーション・予防などに関して、今後まとめていきます。
また、今まであまり診察法に関してはまとめてきませんでしたが、読者の方から診察方法に関しても勉強したいとの連絡を頂いたので、今回のMcMurray testのようにその他の徒手検査に関しても、今後まとめていけたらなと思います。
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