THAで出てくるオフセットとは|どういう意味でどういうときに用いるのか
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は大学病院に勤務するために住んでいたマンションの掃除をしてました。
ろくに掃除なんかしてなかったですが、最後だけはきちんと掃除しました。
明日で今の大学病院での仕事も終わりです。
しっかりと仕事納めしてきたいと思います。
と思って当直中に記事を書いていたら、今から緊急手術になりそうです…。
さて、今日は大学で後輩に聞かれた内容を記事にしておきます。
THAのときに聞くであろう「オフセット」って何なのかについてです。
人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty:THA)のときに、オフセットって言う言葉を聞くことがあると思います。
大腿骨ステムのネックを決めるときに、スタンダートにするかハイオフセットにするかという会話になることがありますよね。
THAに入っているみなさんはきちんとその意味を理解していますか?
自分も大学にきて最初の頃に「なんだそれは?」と思って調べましたが、これもネットで調べても意外に出てきてくれないんですよね。
というわけで、同じような疑問を抱いている人のために記事にしておきます。
Contents
オフセットとは
では、早速オフセットとは何なのか説明していきます。
図1:オフセット(赤線の距離)
ステムが大きくなればオフセットも大きくなるようにデザインされているものが多いですが、同じ太さのステムでオフセットを選べるステムもあります(図2)。
図2:ステム(左)スタンダード(右)ハイオフセット
左の通常のステムと、右のハイオフセット(オフセットが大きい)ステムを比べてもらうと、骨軸から大腿骨頭までの距離が異なることがわかるかと思います。
どういうときに使う?
オフセットの意味はわかったかと思いますが、このハイオフセットのステムはどういうときに使用するのでしょうか。
ハイオフセットの利点としては、以下のことが挙げられます。
- 外転筋のレバーアームを長くして股関節にかかる骨頭合力を減少させる
- 骨盤と大腿骨の距離を保つことによる脱臼予防
寛骨臼形成不全(大腿骨頭を覆う屋根の部分にあたる寛骨臼の被りが浅い病気)に伴う二次性変形性股関節症の場合は、ソケットの骨被覆を大きくするためにカップを内方に設置する場合があるかと思います。
このような際に、骨盤と大腿骨の距離を保つためにハイオフセットを選択できれば有利になるわけです。
一方、オフセットを大きくしすぎると、股関節周囲筋の緊張が高まるために脚が長くなったと感じたり、大転子部に違和感を感じることがあります。
実臨床でどういうときに使っているかというと、スタンダードステムで易脱臼性を認める際に選択することが多いです。
術前計画の段階でカップを内方設置して健側より明らかにオフセットが小さくなる場合や易脱臼性を認める症例では、ハイオフセットステムを使う可能性が高いだろうなど予測しておくことが大切です。
術前計画については以下の記事を参考にして下さい。
参考図書
僕の愛用しているTHAの教科書です。
内容はアカデミックですが、非常に読みやすい教科書です。
おわりに
以上、今日は普段の臨床での疑問点をpick upし、オフセットについて記事にしました。
同じような疑問を抱いている方の参考になれば幸いです。
これからも疑問に思って調べたことは記事にしていきたいと思います。
そういえば、4月25日に行われた試合でトッテナムがWBAに引き分けたため、レスターの優勝が時節決まる可能性が出てきました。
次節は5月1日のマンチェスター・ユナイテッド戦です。
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