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膝蓋骨脱臼に大きく関わる内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)の解剖|付着部と走行をめちゃくちゃマニアックに!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。

よせやん

今日は久しぶりに落ち着いた日でした。

もちろん仕事はしてましたが、救急車がいつもと比較して少なかったので。

ただ、なぜかボーッとしてしまい、あまり他の仕事はできませんでした。

 

さて今回は、久しぶりにスポーツ医学の記事を書いていこうと思います。

とりあえず、僕の専門である膝と足の疾患についてしばらくまとめていこうと思います。

 

まず、膝蓋骨脱臼についてお話をします。

今日はその導入編として、膝蓋骨脱臼を語る上で非常に大切になってくる内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)の解剖についてお話しします。

その中でも、特に大事なMPFLの付着部と走行についてマニアックにまとめてみようと思います。

 

Contents

内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)とは

膝蓋骨の不安定性や膝蓋骨脱臼のメカニズムが解明されるとともに、内側膝蓋大腿靱帯(Medial PatelloFemoral Ligament:MPFL)の重要性が注目されるようになってきました。

 

MPFLは名前の通り、膝の内側にある膝蓋骨と大腿骨を結んでいる靱帯であり、全ての膝に存在します。

もっと詳しくいうと、膝蓋骨内縁から大腿骨内側に連続する支持組織であり、膝蓋骨の外側偏位を制動する最も重要な靱帯組織です。

 

MPFLは浅層と深層の2層から成っています。

浅層の線維束は内上顆と内転筋結節の下方を覆い、MCL浅層および内転筋と共通の線維を有します

深層の線維束は内上顆と内転筋結節の溝に10〜15mmの幅で付着しています。

 

今回の記事では、膝蓋骨の安定性に重要な役割を持つMPFLの解剖について述べていきます。

よせやん

膝蓋骨内側軟部支持組織

膝蓋骨の周囲には、筋肉、腱、靭帯などの周囲を囲むように軟部組織があります。

中枢には大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋から成る大腿四頭筋、遠位には膝蓋腱があり、内・外側には膝蓋支帯があります。

膝蓋支帯には、膝蓋骨と大腿骨を繋ぐ膝蓋大腿靭帯や膝蓋脛骨靭帯などの靭帯成分も一部含まれます。

 

膝蓋骨内側の軟部支持組織は3層構造になっています。

大腿骨内側軟部支持機構
  • 第1層:crural fascia
  • 第2層:MCL浅層などの組織
  • 第3層:関節包とMCL深層

 

第1層はcrural fasciaと呼ばれ、遠位は縫工筋を包むように脛骨に至り、中枢は内側側副靱帯(MCL)と内側広筋を包むように存在します。

第2層はMCL浅層などの組織、第3層は関節包とMCL深層から成ります。

 

第1層と第2層は部分的に結合している領域もありますが、基本的にはこの第2層にMPFLが存在しています。

よせやん

大腿骨側はMCLの上を超えるように大腿骨の付着部に至ります。

ちなみに、膝蓋骨と脛骨を繋ぐ膝蓋脛骨靭帯(MPTL)もMPFLと同じ層に存在しています。

 

MPFLの解剖学的付着部

では次に、MPFL損傷の際に圧痛を確認したり、MPRLを再建する上で重要になってくる解剖学的な付着部についてお話ししましょう。

 

まずは、イラストでお示しします。

図:MPFLの付着部

図:MPFLの走行

 

では、詳しく説明していきます。

よせやん

膝蓋骨付着部

MPFLの膝蓋骨側は、最近位はsupra-medial cornerと呼ばれる上内側の角から遠位は膝蓋骨中央まで付着しており、約20mmの長さを有します。

膝蓋骨付着部は、膝蓋骨内側縁の骨皮質から骨・石灰化線維軟骨層・非石灰化軟骨層・靱帯の4層構造となって付着しています。

 

膝蓋骨付着部の最近位は、内側広筋の下層深部に位置し、MPFL浅層と内側広筋の線維が交差します。

よせやん

内側広筋が緊張すると、MPFLは近位に牽引されて緊張が生じます。

 

大腿骨付着部

大腿骨付着部に関しては、いくつかの報告があります。

 

最も一般的なのは、大腿骨付着部は内転筋結節の遠位で大腿骨内上顆の後上方であるというものだと思います。

MPFL再建術も、この位置を付着部と考えて再建する先生が多いのではないでしょうか。

 

また、Smirkらは以下のような割合で大腿骨付着部が存在すると報告しています。

  • 内転筋結節:4%
  • 大内転筋腱:12%
  • 大内転筋腱のすぐ後方:20%
  • これらが複合するもの:4%
  • 大腿骨内顆前方:4%

 

このように、異なった数多くの報告が存在するのは、MPFLが一様の線維束ではなく、浅層と深層の2層構造であるためだと思われます。

よせやん

大腿骨付着部の中枢端は、transverse pointと呼ばれ、関節包と下行膝動脈の分枝に挟まれるように付着します。

なので、ここら辺を展開するときは必ず出血するので注意が必要です。

 

また、上述したように、MPFLの大腿骨側はMCLの上を超えるように大腿骨の付着部に至りますが、遠位端はoblique decussationと呼ばれ、MCLに交差するように重なって付着します。

 

おわりに

以上、今回は膝蓋骨脱臼を勉強する上で非常に大切なMPFLの解剖についてまとめました。

 

次回は、MPFLのバイオメカニクスについてまとめる予定です。

その後はいよいよ膝蓋骨脱臼という疾患について、どんなものか、診察や検査、治療、リハビリなどについてまとめていこうと思います。

 

あー、久しぶりにスポーツ医学の記事を書きましたが、やっぱり勉強になっていいものですね。

自分の知識updateのためにも今後も書いていこうと思います。

よせやん

 

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