エコノミークラス症候群の予防法|ロングフライトでは必ず実践すべき対策

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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

昨日は市民公開講座での講演を終えて、そのまま当直。今日は夕方前からフリーとなり、久々にブログを触れています。市民講座での講演って難しいですね。簡単な言葉で説明することの難しさを学びました。このブログは少し専門的に書いてるけど、もっと簡単に説明した方がいいのかなぁとも思いました。どうでしょうか。

さて、今日は以前まとめていたエコノミークラス症候群の予防法についてまとめていきましょう。

エコノミークラス症候群についての忘れてしまった方は、こちらの記事で確認しておいてください。

エコノミークラス症候群(新称:ロングフライト血栓症)とは

2016.10.05

エコノミークラス症候群の症状と治療|これらの症状には御用心!!

2016.10.06

エコノミークラス症候群は、命に関わる疾患であり、日本に住んでいる人は海外へ出かけるためにロングフライトを強いられる動かし難い地理的要因を抱えているため、その予防法は、海外へ出かける全ての日本人に知っておいて欲しい内容なのです。

というわけで、今回はエコノミークラス症候群を予防するために対策としてできることを、

すべての人のためのファーストラインの予防
リスクを抱えた人のためのセカンドラインの予防
ハイリスクの人のためのサードラインの予防

に分けて紹介していきます。

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ファーストライン予防法(すべての人のために)

では、まずロングフライトをするすべての人が行うべきファーストラインの予防を紹介します。

エコノミークラス症候群予防の基本中の基本

以上の3つがエコノミークラス症候群予防の基本中の基本です。

エコノミークラス症候群予防の基本中の基本

歩行、下肢の屈伸運動

足関節や足の指の上下の運動

腹式呼吸

では、どういうことか具体的に説明していきましょう。

2〜3時間ごとに歩行や下肢の屈伸運動を行う。

ロングフライト中に、血液がふくらはぎ内部の静脈でよどんでしまうことで大きな血栓に成長するわけなので、「歩くこと」で血液の流れをスムーズにすることが1番の対策になります。2〜3時間に1回は座席から立ち上がって歩きましょう。スペースを見つけて下肢の屈伸運動を行うのもよいでしょう。トイレに行くときは、近いトイレではなく、遠くにあるトイレを使用するようにして歩く距離を稼ぐようにするのもいいでしょう。

1時間毎に足首、足の指を上下に動かす運動をする。

座席に座っていてもできることはあります。トイレとトイレの合間に、1時間に1回程度、座ったままで足首を上下に動かす運動(足関節の底背屈)や、足の指を上下に動かす運動をすることです。

腹式呼吸を行う。

人体に酸素が充分に入ると、赤血球中のヘモグロビンが活性化して筋肉の働きがよくなり、血流も促進されます。座った姿勢での酸素補給のためには、腹式呼吸を行うのがよい方法です。腹式呼吸によって、横隔膜の動きが促進されるため肺に充分酸素が取り込まれることになります。

へそを中心とした腹部をゆっくりと膨らませ、そこに空気を入れる感じで口からゆっくりと息を吸い込み、次に腹をへこませながら、口からゆっくり息を吐いていきます。このような動作を1時間に1回くらいの割合で1分間くらい行いましょう。

この3つは必ず覚えておきましょう。

その他に気をつけるべきこと

その他にも大事なポイントがあるので紹介します。

水分をしっかりと取る。

機内は湿度5〜15%とサハラ砂漠より乾燥していて、肺や皮膚から水分が失われてしまうこと、そして、トイレへ立つことのモチベーションのために、水分をしっかりとることが大切です。機内では多く人がビールやワインを飲みますが、アルコールやコーヒーを摂取すると利尿効果により余計に脱水を助長してしまいます。アルコール類を飲んで悪いわけではありませんが、エコノミークラス症候群の予防としての水分補給には全くならないことは知っておいてください。

モントリオールにおける国際会議では、エコノミークラス症候群における脱水は肺と皮膚からの水分のみの喪失であり、ミネラルウォーターでの補給が生理学的に利にかなっているとわれています。ミネラルウォーターや薄めのお茶を飲むようにしましょう。

ゆったりとした服装にする。

腹式呼吸をしっかり行うためには、ゆったりとした服装にすることも大切です。男性は、着席したら搭乗中はズボンのベルトを10cmほど弛めておくこと、女性は締め付け気味のアンダーウェアはロングフライトでの機内では着用しないか、弛めておくことが必要です。

睡眠薬を使用しない

時差対策として、機内での睡眠薬を使用する人もいるでしょう。しかし、不自然な姿勢や足を組んで寝込んでしまい、トイレにも立たずに下肢の静脈の流れを阻害してしまう可能性が高いため、エコノミークラス症候群が命に関わる疾患であることを考えると、ロングフライトの場合は睡眠薬は使用しないのが基本ルールの1つです。

セカンドライン予防法(リスクを抱えた人のために)

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では、次にエコノミークラス症候群にかかりやすいリスクを抱えた人のための予防法を紹介します。

以下のような方は特にエコノミークラス症候群に注意が必要です。

エコノミークラス症候群のリスクあり

・50歳以上
・術後3ヶ月以内(特に下肢の場合)
・肥満、下肢に静脈瘤がある
・血液の凝固能に異常がある
・経口避妊薬を服用している
・妊娠中や出産1ヶ月以内

このようなリスクを抱えている方は、前述の対策に加えて

フライトソックスの着用

フライト前後でのアスピリンの内服

が欧米ではスタンダードの予防法として推奨されています。

フライトソックスの血栓予防効果のメカニズムは、圧迫による浮腫予防に加えて、表剤静脈を圧迫してその血流を深部静脈に移し、結果として深部静脈の流速を増やすことも強調されるべきでしょう。例えば、同じ地点から目的地に行く道が2本あるとして、一方が閉鎖されれば、もう一方にすべての車が集中することと同じで、道路は渋滞するかもしれませんが、もともとゆっくりな深部静脈の血流は2倍の流速になります。

アスピリン100mgの市販薬が日本でも発売されるようになり便利になりました。市販薬とはいえ医療品ですから、アレルギーなどの注意に加え、一人一人の基礎疾患に合わせて使用する必要があります。不安な場合は医師に相談してみましょう。

サードライン予防法(ハイリスクの人のために)

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最後に、ハイリスクの人のための予防法を紹介します。

ハイリスクな人

・エコノミークラス症候群の既往あり

・静脈血栓症の既往あり

このような既往のある方は、ロングフライトの前後で低分子量ヘパリン(LMWH)の皮下注射を行うことが、欧米人のハイリスク・トラベラーでは一般化しつつあります。日本の空の玄関にあたる成田空港のクリニックにおいても、到着直後や出発前にLMWHのバイアルを持参して注射を依頼する外国人トラベラーが近年増加しているようです。

そして近年、効果のある経口凝固薬が発売されるようになりました。

ダビガトラン(商品名:プラザキサ®)
リバーロキサバン(商品名:イグザレルト®)
アピキサバン(商品名:エリキュース®)
エドキサバン(商品名:リクシアナ®)

などですね。それぞれ大規模な臨床試験によって安全性と有効性が確認され、現在治療に使うことができるようになっています。これからはこういった薬がハイリスクトラベラーの標準予防薬になるかもしれませんね。

まとめ

以上、今回はエコノミークラス症候群の予防法についてまとめました。

エコノミークラス症候群は、年齢性別を問わず、誰に起きてもおかしくはない命に関わる疾患です。また、日本に住んでいる人は海外へ出かけるためにロングフライトを強いられる動かし難い地理的要因を抱えているため、その予防法は、海外へ出かける全ての日本人に知っておいて欲しい内容です。

ロングフライトの際には、必ず実践するようにしてください。

この記事を参考にして頂き、エコノミークラス症候群に罹患する人が減ってくれれば幸いです。

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