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肉離れのJISS分類とスポーツ復帰の目安・復帰プロトコル|より安全なスポーツ復帰のため知っておくべき!

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。

よせやん

 

今日は、肉離れのJISS分類についてまとめておこうと思います。

 

肉離れはスポーツ外傷の中でも非常に多いもので、特にサッカー選手を見ている人にとってはよく出会うことでしょう。

僕もチームドクターとしてサッカーチームをサポートしていますが、肉離れを受傷する選手はかなり多いです。

僕たちのメディカルチームはトレーナーを含めしっかりしているので、肉離れに関してはかなり適切に対応できているように思います。

 

ただ、いろんな人の話を聞いていると、未だに肉離れの重症度分類がきちんとされておらず、結局再発を繰り返してしまうようなケースも多いようです。

 

本日紹介する肉離れのJISS分類は肉離れからより安全にスポーツ復帰を目指す上で非常に有用な分類になりますので、多くの人に知っておいて欲しいと思って記事にする次第です。

よせやん

Contents

奥脇分類

肉離れの重症度分類として、奥脇分類を知っている方は多いかと思います。

これは、奥脇先生が2008年に提唱されたハムストリング肉離れに対するMRIによる分類ですが、再発せずに復帰できる期間とよく相関し、予後の予測や復帰の判断に極めて有用なものです。

 

以前、このブログでも奥脇分類とスポーツ復帰について解説しています。

 

肉離れのJISS分類を勉強する上で、この奥脇分類は非常に大切なので再度復習しておきます。

奥脇が提唱したハムストリング肉離れのMRI分類

 

  • Ⅰ型:筋線維部(筋肉内または筋間)の損傷

多くの1型は理学所見に基づいて通常2週間以内に復帰可能

  • Ⅱ型:筋腱移行部(特に腱膜部)の損傷

腱膜が十分修復(6〜8週)したことを確認しないと再受傷するリスクが高い

  • Ⅲ型:筋腱付着部の損傷裂離を含む)

アスリートでは手術的治療も考慮

 

重症度でいうと、(軽症)Ⅰ型<Ⅱ型<Ⅲ型(重症)です。

1型と書いても、タイプⅠと書いてもどちらでもOKです。

 

これを知った上で、肉離れのJISS分類をみていきましょう。

よせやん

肉離れのJISS分類

肉離れのJISS分類は、2017年以降にこれまた奥脇先生が上記の奥脇分類に腱膜の重症度(グレード)を追加したものです。

腱膜の重症度はMRI横断(axial)像で評価します。

 

腱膜の損傷を評価するので1型には必要ないですし、3型の場合は手術を考慮することになるので、実質的には2型を細分化するような感じです。

よせやん

まとめると、以下のような形になります。

肉離れのJISS分類

 

 

  • Ⅰ型:筋線維部(筋肉内または筋間)の損傷
     
  • Ⅱ型:筋腱移行部(特に腱膜部)の損傷
    1度:わずかな損傷(腱膜の輪郭が保たれる)
    2度:部分断裂(腱膜が部分的に断裂)
    3度:完全断裂(腱膜が完全に断裂)
     
  • Ⅲ型:筋腱付着部の損傷裂離を含む)
    1度:わずかな損傷(腱膜の輪郭が保たれる)
    2度:部分断裂(腱膜が部分的に断裂)
    3度:完全断裂(腱膜が完全に断裂)

 

肉離れのスポーツ復帰の目安と復帰プロトコル

 

なお、肉離れのJISS分類に基づいたスポーツ復帰の目安は以下の通りです。

よせやん

スポーツ復帰の目安
  • Ⅰ型:2週間以内
     
  • Ⅱ型:
    1度:2.0週(1〜6週)
    2度:6.4週(3〜12週)
    3度:9.8週(4〜16週)
     
  • Ⅲ型:
    1度:Ⅱ型の2度〜3度と同程度
    2度/3度:16週程度だがパフォーマンス低下の可能性
     トップアスリートならば手術を考慮

 

つまり、型とⅡ型の1度の症例は比較的早期に復帰が可能なので、理学所見をしっかりと評価し、ストレッチ痛が消失したら段階的に強度を上げていいということになります。

 

しかし、Ⅱ型の2度や3度の場合は、理学所見だけで腱膜の修復を評価するのは難しいと言われています。

ですので、受傷時だけでなく3週間ごとにMRIを確認し、腱膜が修復されていればスプリントを許可するようにしています。

 

よって、受傷度分類によるスポーツ復帰のプロトコルをまとめると、

スポーツ復帰のプロトコル
  • Ⅰ型/Ⅱ型の1度

ストレッチ痛が消失したら段階的に強度を上げてOK

  • Ⅱ型の2度/Ⅱ型の3度/Ⅲ型の1度

ジョギングまではストレッチ痛など確認しながら進めてOK
3週ごとにMRIをチェック:腱膜が修復されていればスプリント許可

  • Ⅲ型の2度/Ⅲ型の3度

同様だが、トップアスリートの場合は手術治療を考慮

 

ということになります。

 

実際、これに準じて肉離れに対応するだけでかなり再発は減っているように思います。

よせやん

肉離れのJISS分類は、きちんと重症度を把握し、より安全にスポーツ復帰させるために是非とも知っておいてほしい分類です。

多くのスポーツ関係者に知っていただき、肉離れの再発で苦しむ選手が減ってくれれば幸いです。

 

 

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