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症例から学ぶフライバーグ(Freiberg)病の手術|鏡視下手術の利点・欠点

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

データまとめ系の論文にすごく手こずっています…。どのデータが有効で、どのデータを省くか、どの検定を用いるかなど非常に難しい。英語でやろうと思ってましたが、潔く諦めて日本語で論文にします。他の2つを英語で頑張ってみようと思います。

前回はフライバーグ(Freiberg)病の一般的な内容についてお話をしました。
前回の記事はこちらからどうぞ。

今日は具体的な症例を見ながら実際にどのような鏡視下手術のメリット・デメリットについて紹介したいと思います。

Contents

症例

では、さっそく具体的な症例を見ていきましょう。

症例は20代女性で、スポーツ歴としては陸上の短距離をしています。10年前に右前足部痛が出現したため、近医を受診されてX線検査を施行され、両足のフライバーグ病の疑いにて当院紹介受診となりました。

両足フライバーグ病と診断し、足底板などを用いて保存的に加療しており、症状が落ち着いていましたが、半年程前から左第2趾の伸展時の疼痛が増悪してきたため、当院を再診されました。

理学所見

まず理学所見です。

下図のように両足の第2中足骨頭部の背側突出を認めます。同部位に特に左足で強い圧痛を認めました。

スクリーンショット 2015-12-02 13.50.44

左足レントゲン所見

続いて、レントゲン所見です。

スクリーンショット 2015-12-02 13.53.09

左第2中足骨頭関節面の平坦化および軽度圧壊を認め、Smillie分類StageⅡのFreiberg病と診断しました。

左第2中足骨背側に骨棘の形成を認めています。

左足CT所見

CT所見がこちらです。

スクリーンショット 2015-12-02 13.56.53

CTでみるとよりわかりやすいですね。

左足MRI所見

最後に、MRI所見です。

スクリーンショット 2015-12-02 13.58.37

第2中足骨頭に骨壊死の所見は認めていません。

手術

以上より、疼痛の原因はMTP関節伸展時の骨棘のインピンジメントによるものである可能性が高いと考え、鏡視下に骨棘切除を行いました。

スクリーンショット 2015-12-02 14.01.47

関節軟骨は保たれていたので、骨切り術は要さないと判断しました。滑膜も増生していたため、こちらも合わせて切除してきました。手術の際は伸筋腱を損傷しないように注意して行う必要があります。

術後経過

術後2週より前足部荷重を開始し、術後1ヶ月で疼痛は消失しました。

術後1ヶ月半で仕事に復帰し、現在、特に問題はありません。

術後CT所見

スクリーンショット 2015-12-02 14.06.10

術前と比較すると、骨棘が十分に切除されているのがわかります。

手術療法

ここで少しフライバーグの手術療法について考察してみます。

昨日、Freiberg病の手術療法に関して以下のようにお話ししました。

Freiberg手術

文献で調べてみたところ(PubMedで検索できた英語論文全て)、フライバーグ病に対して鏡視下手術を施行した報告は現在までに3件のみです。

具体的には…

  • 1996年 Marescaら StageⅡの症例に対してデブリードマン
  • 2004年 Carroら   StageⅣの症例に対してデブリードマン+関節形成術
  • 2007年 Luiら     StageⅣ、Ⅴの症例に対して関節形成術

の3件が報告されています。

Openと鏡視下手術の比較

続いて、open(大きく切って行う手術)の手術と鏡視下手術の比較です。

昔から行われているOpenの手術では当然のことながら、軟部組織の損傷が大きくなります。ゆえに、術後の腱の癒着によるMTP関節の拘縮、長期にわたる腫脹が問題になることが多いと言われています。
( Carro LP et al. : Arthroscopy. 2004 )
( Maresca G et al. : Arthroscopy. 1996 )

また、術後に疼痛のコントロールが必要になることもあり得ます。( Pierce E et al. : Foot & Ankle. 1992 )

一方、鏡視下手術では…

鏡視下手術に共通して言えることですが、創部が小さく美容面で優れています。また、軟部組織の損傷も少ないため、血行動態に与える影響が少なく、将来追加手術が必要になった場合にもあまり影響を与えません。術後の関節拘縮の予防の観点からも有用と考えられています。
( Carro LP et al. : Arthroscopy. 2004 )
( Maresca G et al. : Arthroscopy. 1996 )

Openの手術と比較して、復帰までの期間が短いこともメリットのひとつです。( Pierce E et al. : Foot & Ankle. 1992 )

さらに、鏡視下手術ではX線でほとんど変化を認めないような関節軟骨の変性所見を詳細に知ることができます。よって、診断のツールとしても有用であり、その所見を確認してから骨切り術に移行することも可能になります。

以上のことより、

鏡視下手術は非常に有用であると言えるでしょう。

おわりに

以上、今回はフライバーグ病の具体的な症例を見ながら鏡視下手術のメリット・デメリットについて紹介しました。

近年、足関節鏡を始め、足部への鏡視がどんどん行われるようになっています。自分もその流れに乗っていきたいと思います。

 

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