【女性必見】女性アスリートの三主徴|食事と無月経、骨粗鬆症の関係
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日は女性アスリートとスポーツ傷害についてお話しします。
まず、女性アスリートに多い(発生に性差のみられる)スポーツ傷害について復習しておきましょう。
- 鉄欠乏性貧血
- 疲労骨折
- 膝前十字靭帯損傷
前回は鉄欠乏生貧血に関してまとめましたね。
あとは残りの疲労骨折と膝前十字靭帯損傷に関してまとめていきたいと思います。
しかし、これらを理解して頂くうえで、まず女性アスリートの三主徴というものを知っておく必要があります。
というわけで、この記事では女性アスリートの三主徴についてお話しします。
これは、女性アスリートにとって非常に大切な知識です。女性アスリート、またそれをサポートするスポーツ関係者必見です。
よせやん
Contents
女性アスリートの三主徴
では、さっそく女性アスリートの三主徴について説明していきます。
これら3つを女性アスリートの三主徴といいます。
継続的な激しい運動トレーニングが誘因となり、それぞれの発症が相互に関連します。
1997年にアメリカスポーツ医学会が発表した三主徴には、無月経、骨粗鬆と並んで「摂食障害」が3主徴の一つとして挙げられていました。
しかし、2007年に摂食障害の有無に関わらない「エネルギー不足」に変更となっています。( Nattiv A, et al. : Med Sci Sports Exerc 2007 )
これらの三主徴について順番にみていきましょう。
利用可能エネルギー不足
まず、利用可能エネルギー不足についてです。
食事をきちんと取ってエネルギー量を確保していたとしても、それ以上に運動でエネルギーを消費すれば、当然相対的にエネルギー量は不足するわけです。
このような状態が続くと、卵巣を刺激する黄体形成ホルモンなどの分泌が低下し、骨代謝などの身体の諸機能に影響を及ぼします。
つまり、
利用可能エネルギー不足は女性アスリートの三主徴の骨粗鬆症や続発性無月経を引き起こす原因となります。
これは非常に大切なポイントなので覚えておきましょう。
運動性無月経
続いて、運動性無月経についてです。
この運動性無月経は、女性アスリートの健康管理上重要な問題であり、その重症化や難治性が懸念されています。
原因としては、先ほど述べた利用可能エネルギー不足や精神的・身体的ストレス、体重・体脂肪の減少などが考えられます。
女性アスリートは一般女性と比較して月経未初来者の割合が高いことが知れられています。
国内のトップレベルの女性アスリート683名を対象に実施したアンケート調査結果では、無月経を含む月経周期異常のあるアスリートは約40%を占めています。( 能瀬ら : 日本臨床スポーツ医学会誌 2014 )
この中で競技別に無月経の割合を調べたものが下図です。
体操やフィギアスケートなど、体脂肪を減らす必要のある審美系の競技や、陸上やトライアスロンといった持久系の競技において無月経者は非常に多い結果となっています。
骨粗鬆症
最後に、骨粗鬆症についてです。
骨粗鬆症に関しては聞いたことがある人が多いと思います。
ただ、聞いたことがあるのは恐らく、閉経後や老人性のものではないでしょうか?
若い女性であっても、アスリートは骨粗鬆症になる可能性があります。
よせやん
体内では常に古い骨は壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)という代謝が起きており、正常ではこの骨吸収と骨形成はバランスが取れている状態です。
卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンは、骨代謝に関係しており、骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きがあります。
つまり、エストロゲンが低下すると、骨吸収のスピードが早くなってしまうため、骨形成が骨吸収に追いつけず骨量が低下することになります。
よって、
無月経が続くとエストロゲンが低い状態となるため、骨量が低下し骨粗鬆症を引き起こします。
骨量が低下すると、運動の繰り返しの力学的外力で骨の疲労現象が起こり、いわゆる疲労骨折が生じる危険性が高くなることは想像に難くないでしょう。
まとめ
以上、今回は女性アスリートの三主徴についてお話ししました。
このように、女性アスリートの三主徴である「利用可能エネルギー量」「運動性無月経」「骨粗鬆症」は互いに関連しています。
運動性無月経の患者さんを診た場合、今まではホルモン治療で無理矢理月経を起こす治療をしていましたが、これでは根本的な原因を解決したことにはなりません。
女性アスリートの運動性無月経、骨粗鬆症の治療は、まず食事量・運動量を見直すことが大切です。
よせやん
これらを放置していると疲労骨折や膝前十字靭帯損傷などのスポーツ障害を起こすリスクが高くなります。
そういう意味でも、
この話を踏まえて、疲労骨折と膝前十字靭帯損傷について次回お話しします。
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