膝蓋骨高位(patella hight)の測定法|膝蓋骨高位症(alta)と膝蓋骨低位症(baja)とは
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日は落ち着いた1日だったので、いろいろと調べたいことを調べていました。
自分が知らないこと、調べなければいけないことは日々の臨床をこなしていると驚くほど出てきます。
今の病院はこういったものを調べる時間のある曜日があるのがありがたいですね。
今日は、調べたことの1つを記事にしたいと思います。
膝蓋骨高位(patella height)についてです。
膝蓋骨高位とは何なのか、またその測定方法を知っていますか??
また、それに付随して膝蓋骨高位症、膝蓋骨低位症についても知っておくべきでしょう。
整形外科医ならば膝蓋骨高位症、膝蓋骨低位症がみられる疾患についても知っておかなくてはなりません。
この記事では、膝蓋骨高位(patella height)、その測定方法、膝蓋骨高位症(patella alta)、膝蓋骨低位症(patella baja)、そして、それらがみられる疾患についてまとめていこうと思います。
Contents
膝蓋骨高位(patella height)とは
では、さっそく始めていきましょう。
patella heightは「パテラ ハイト」と読みます。
単純X線撮影で膝蓋骨の高さを見ることにより、患者さんの疾患を類推することが可能となります。
膝蓋骨高位については、整形外科医ならば知っておくべき知識です。
よせやん
膝蓋骨高位の測定法
では、どのようにして膝蓋骨高位を測定したらいいのでしょうか。
次に、膝蓋骨高位の測定方法を紹介していきます。
Insall-Salvati法
一般的なのは、Insall-Salvati法です。
これは膝蓋骨上極と下極間の距離(LP)と膝蓋骨下極と脛骨粗面上縁間の距離(LT)の比で判定する方法です(図1)。
つまり
Patella height=LT/LP
となるわけです。
図1:膝蓋骨高位の測定方法
Patella heightの正常値は1.02±0.13で、1.2以上は膝蓋骨高位、0.80以下は膝蓋骨低位とされています。
つまり、まとめると以下のようになります。
Patella height=LT/LP
- 正常:0.8〜1.2
- 高位:1.2以上
- 低位:0.80以下
中点法
また、小児の場合ではInsall-Salvati法では不正確となってしまうため、中点法が用いられます。
中点法は、
F:大腿骨遠位骨端軟骨線の両端を結ぶ線の中点
T:脛骨近位骨端軟骨線の両端を結ぶ線の中点
P:膝蓋骨長軸対角線の中点
とし(図2)、
Patella height=PT/FT
で測定します。
中点法でのpatella heightの正常値は0.9〜1.10で、1.2以上で膝蓋骨高位、0.80以下で膝蓋骨低位とする点は同じです。
図2:小児の場合の膝蓋骨高位の測定方法
Patella height=PT/FT
- 正常:0.8〜1.2
- 高位:1.2以上
- 低位:0.80以下
膝蓋骨高位症(patella alta)
上で述べたように、Patella heightが1.2以上のものを膝蓋骨高位症(patella alta)といいます。
patella altaは「パテラ アルタ」と読みます。
文献によっては、日本人成人男子では1.3以上、 女子では1.4以上をpatella altaとするものもあります。(腰野富久ら. 臨床整形外科. 1974)
patella altaを見る疾患としては、以下のものが挙げられます。
- Osgood-Schlatter病
- 膝蓋腱断裂
- Sinding Larsen-Johansson病
- 膝蓋骨(亜)脱臼
- 膝蓋軟骨軟化症
- 脳性麻痺
- Marfan症候群
- 長期間の膝関節水症
など
Osgood-Schlatter病については以前まとめましたね。
膝蓋骨低位症(patella baja)
逆に、Patella heightが0.8以下のものを膝蓋骨低位症(patella baja)といいます。
patella bajaは「パテラ バハ」と読みます。読み方は間違えやすので注意しましょう。
patella bajaを見る疾患としては、以下のものが挙げられます。
- 軟骨無形成症
- 脊髄灰白炎(Polymyelitis)
- 外傷や手術による膝蓋腱の繊維化
など
この中の、外傷や手術による膝蓋腱の繊維化は以前まとめた膝関節拘縮の原因となりうるものですね。
おわりに
以上、今回は膝蓋骨高位(patella height)についてまとめました。
成人と小児のpatella heightの測定方法、膝蓋骨高位症(patella alta)、膝蓋骨低位症(patella baja)、そして、それらがみられる疾患をまとめて覚えておきましょう。
参考になれば幸いです。
今後もこういった整形外科医として知っておくべき知識についてもまとめていこうと思います。
よせやん
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