アキレス腱断裂後のリハビリ方法やスポーツ復帰までの期間・再発予防

どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
昨日は当直を終えて、病棟業務をちょっとしてたらもう昼前になっていました。
そこから家に帰り、引っ越しの段ボールの紐解きをしていました。 そんな中、休憩でベッドに寝転がったら爆睡してしまったようで、気がついたときにはこんな時間になっていました。
そして、昨日早朝のトッテナムVSチェルシーの試合は2-2の引き分けであったため、レスターの初優勝が決まりましたね!岡崎選手、本当におめでとうございます!
さて、今日はアキレス腱断裂受傷後の
- リハビリテーション
- スポーツ復帰までの期間
- リコンディショニング
- 再発・反対側受傷の予防
についてまとめていきたいと思います。
また、その中で出てくる、タオルギャザーやプライオメトリックトレーニングについても軽く解説しておきます。
Contents
術後リハビリテーション
まず、僕が参考にしている当院でのアキレス腱断裂に対する術後のリハビリテーションのパスを紹介します(図1)。
一般的なパスと大きな違いはないと思います。
図1:当院でのアキレス腱断裂に対する手術後のリハビリパス
- 手術後5日間はギプス固定で免荷とします。
- 5日間経過したら軽度底屈位でのヒール付きギプス(歩行ギプス)に変更し、疼痛に応じて全荷重歩行を許可します。
全荷重歩行が可能となるまでの間は松葉杖を使用します。
- 術後2週でギプスからアキレス腱装具に変更し、自動ROM訓練を開始します。
- 術後3週で他動ROM訓練、抵抗運動を開始します。
ここから徐々に抵抗を上げていき、足関節の動きに応じて装具の踵を徐々に低くしていきます。
- 術後5週から装具なしで歩く訓練を開始します。
- 術後6週で両足のつま先立ち(ヒールレイズ:HR)訓練を開始し、この頃に装具の完全除去を目指します。
- 術後8週で裸足で段差昇降訓練を開始します。
- 術後10週で片足のつま先立ち(HR)・ジョギングを開始します。
- 術後4ヶ月で軽めの運動から徐々にスポーツ復帰を行い、術後5ヶ月で完全復帰を目指します。
このようなパスでリハビリを進めていきます。
スポーツ復帰までの期間
まずはしっかりと可動域を改善させることが大切です。
そして、両足のつま先立ちや片足のつま先立ちができるようになっているかが下腿筋筋力の改善を知るうえで重要です。
片足のつま先立ちができるようになったら、ある程度下腿筋の筋力は改善していると考えられるためジョギングの開始を許可します。
そして、
完全なスポーツ復帰までにはおおよそ術後5ヶ月を要します。
十分に可動域や筋力が改善していないのに焦って復帰すると再断裂や反対側のアキレス腱断裂を再受傷することに繋がるため、必ずしっかりとリハビリをしてからスポーツ復帰をするようにしましょう。
よせやん
受傷後のリコンディショニング
上述した通り、アキレス腱断裂手術後のリハビリでは、
まず、可動域を完全に回復させることが重要
です。
特に斜面台を使用しての下腿筋のストレッチングを行い、特に背屈可動域の回復を図りましょう。
また、下腿の筋力・柔軟性を回復・改善させることも大切です。
上で紹介したリハビリ内容に加えて、タオルギャザーやプライオメトリックトレーニングなどのトレーニングを行うとよいでしょう。
これらについて少しだけ解説しておきます。
タオルギャザー
図1:タオルギャザー
タオルを引っ張りきったら1セット終了です。
これを基本的に10~20セット程度繰り返していきます。
また、慣れてきたら、タオルの反対側の端に何か重りになるものを置いて負荷をつけ、強度を上げていきましょう。
回数をこなすことに重点を置き、疲労に強い筋力を形成する事が大切です。
よせやん
プライオメトリックトレーニング
瞬発力を必要とするスポーツ競技で広く行われています。
筋が腱を急激に引っ張ることにより強い伸張反射(パワー)が生まれます。
つまり、その筋が腱を引っ張る速度=筋収縮速度がアップすれば、より強力な伸張反射で強いパワー(瞬発力)が発揮されるのです。
そのためには、
- 筋肉の稼働域を小さくする
- 接地時間を小さくする
ようなジャンプを行います。
また、縄跳びを行う方法もあります。
両足でのシングル飛び、ダブル飛びをはじめ、片足交互のシングル・ダブル飛びを行い、回数などを調整して強度を上げていきます。
再発・反対側受傷の予防
最後に再発・反対側受傷の予防について触れておきます。
整形外科医として働いていると以前、片足のアキレス腱断裂を受傷した方が反対側のアキレス腱を断裂して病院を受診されることが少なくありません。
これは、受傷後に十分に可動域や筋力が改善する前にスポーツに復帰してしまったり、再受傷の予防をしていないことも原因の1つになっているでしょう。
- 足底板やヒールパッド
- 内側ソールウェッジやテーピング
- ウォーミングアップやクリングダウンを念入りに行う
- 運動前に下腿筋をほぐす
- 運動後はアイスマッサージで冷やす
など
足底板やヒールパッドを使用して踵部を高くし、腱への伸展力を軽減します。
もしくは、内側ソールウェッジやテーピングも有効です。
また、下腿と足底のストレッチングはウォーミングアップ・クーリングダウン時に念入りに行い、トレーニング開始前にはホットパックや超音波などの物理療法により下腿筋を十分にほぐし、トレーニング終了時にはアイスマッサージで局所の炎症を予防しましょう。
おわりに
以上、今回はアキレス腱断裂後のリハビリテーション、スポーツ復帰までの期間、リコンディショニング、再発・反対側受傷の予防に関してお話ししました。
リハビリは理学療法士の先生にお任せすることが多いので、意外にも整形外科医は詳しいリハビリテーションの内容について知らないことも多いかと思いますが、スポーツドクターを目指すのであれば、リハビリテーションからスポーツ復帰までの流れも理解しておきたいものですね。
よせやん
リハビリについて勉強していると、今回のタオルギャザーやプライオメトリックトレーニングのように知らないことがまだまだあるなと思い知らされます。
何事も勉強勉強ですね。
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