アスリートにみられるスポーツ性貧血に対する対策と治療
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今回は前回のアスリートと貧血に関する記事の続きです。
貧血はアスリートに最もみられる内科的疾患の1つであり、スポーツに関わる人は知っておくべきものです。女性であれば尚更です。前回、
- アスリートになぜ貧血が多いのか?
- なぜ女性の場合、さらに貧血が多いのか?
に関してお話しさせて頂きました。
今回は、
- どうやって貧血を検査・評価するのか?
- 貧血の患者さんと出会った場合にどうするか?
- 自分の貧血になったらどうするのか?
アスリートにみられるスポーツ性貧血に対する対策と治療にについてまとめていきます。
Contents
検査・評価
では、まずアスリートの貧血をどのように見つけ評価するか?
外来診療では“フェリチン”で評価します。
フェリチンは体内の貯蔵鉄を敏感に反映します。 つまり、フェリチンは実際にヘモグロビンが低下する前の段階で低下します。なぜならば 、
アスリートではヘモグロビン値が正常でありながらフェリチンが減少した状態が持続する現象がときおり見られ、これはIron Depletion without Anemia(IDNA)と呼ばれています。これは海外の報告では、身体活動の高い女性の約30%程度にみられるとされています。
3人に1人と考えると結構な高い割合ですよね。
そしてヘモグロビンには酸素結合能があり、ヘモグロビンが低下すると最大酸素摂取量が低下するのは容易に想像できるかと思われますが、
ことが近年、報告されています。 他にも同じような報告は多数あります。
最大酸素摂取量が低下するってことは、つまり持久力が低下するわけです。これはアスリートにとってパフォーマンスを低下させる要因の一つになるわけで、放ってはおけないことですよね。
治療
では、アスリート貧血はどのように治療するのか?
上記の内容を考えると、
と考えられます。
治療は鉄剤の投与が第一選択となります。
食事内容を工夫したり、サプリメントを利用して鉄欠乏を補おうとするアスリートもいると思いますが、実際には食品からの鉄の吸収率は低いため、鉄欠乏の予防をすることは可能かもしれませんが、完成された鉄欠乏生貧血を治療することは困難です。
臨床的に用いられる鉄剤の投与量は100-200mg/dayが推奨されていますが、サプリメント1粒に含まれる鉄の含有量はほとんどが10mg以下に過ぎません。
さらにサプリメントを大量摂取すると胃腸障害などの健康被害が出現する可能性や、安易なサプリメントの使用は近年増加しているうっかりドーピングの原因にもなり得ます。
サプリメントに関する知識も重要です。時間のある方は下の記事で確認してみてください。
ただし近年、鉄剤の過剰投与に伴う毒性が注目されており、漫然と長期にわたり投与することは避けなくてはなりません。 肝疾患、糖尿病、心疾患などを引き起こす可能性が指摘されているほか、鉄の関節への沈着により関節炎が起こることも報告されています。
ですので、
であると思われます。
おわりに
以上、2回にわたり、アスリートと貧血に関してまとめました。
元々は女性とスポーツに関して書こうとしたのに、勉強しだしたら貧血の項目だけで終わってしまいました。 また、そのうちその他の項目に関しても勉強したいと思います。
貧血はアスリートにもっと多い内科疾患の1つであり、実際に悩んでいる選手も多いと思います。自分のため、また、関わる選手のためにも、ここでしっかりと貧血に関する知識をまとめておきましょう。
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