整形外科・スポーツ医学の最近気になったオススメ教科書を紹介|2018年6月
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
よせやん
さて、先週末は日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)に参加してきました。
学会で勉強になったこともたくさんあったし、スポーツ関係の仕事をしている他職種の方とお話ししたりと有意義な学会になりました。
学会で勉強になった小さなTipsについてはTwitterで紹介していますので、そちらをチェックしてみてください。
さて、今日はJOSKASの書籍販売コーナーで見つけた最近出版された整形外科・スポーツ医学の教科書のうち、気になったものを厳選して紹介しようと思います。
Contents
膝
まず、最初におすすめしたいのが、この膝の教科書です。
膝痛に悩まされている患者さんの100 人に1 人しか手術治療を受けないと言われています。この事実は、保存治療の大切さを改めて認識させてくれます。
この教科書は、有名な宗田先生が「痛み」に対して、現在の保存治療でどこまでアプローチできるのか、具体的な症例を挙げながら解説してくれています。
痛みの分類、診察時のコツ、エコー・X線、CT、MRIといった画像診断について解説されているのはもちろんのこと、保存療法の手段として歩行・姿勢の改善法、宗田先生考案の「痛点ストレッチ」、薬物療法、関節内注射・関節外注射、温熱治療・電気治療、装具治療、そして運動療法や許可するスポーツについてまで本当に多岐に渡って解説されています。
膝診療に必ず役立つ1冊だと思いますので、膝を専門にしたい人、膝について詳しくなりたい人にはぜひおすすめしたい教科書です。
よせやん
スポーツ傷害
続いて、スポーツ傷害の教科書です。
近年、脊椎・四肢関節の詳細な解剖やバイオメカニクスなどの基礎研究、種々の治療法に関する臨床研究の進展、画像検査や評価法の進歩、新しい治療機器、薬剤の導入により、スポーツ傷害に対する診断・治療は大きな変遷を遂げています。
また、傷害発生そのものを予防しようとする取り組みも盛んとなり、大きな成果をあげている競技や疾患もあります。
しかし、それらのスポーツ傷害に関する膨大な最新情報や知識を適切に、効果的に獲得することは非常に難しいと思います。
この教科書は、「スポーツ傷害の予防・診断・治療」として、脊椎から四肢の関節に及ぶ最新情報のみならず、現行の一般的な診断・治療方法なども網羅する大変貴重な特集となっており、総論ではスポーツ傷害の予防、検診、画像診断から体外衝撃波、PRPなどの最新治療について、各論では身体部位別に大変興味深い内容がまとめられています。
この教科書は、スポーツ傷害に対する日常診療の一助になることでしょう。
よせやん
肩のスポーツ障害
続いて、肩のスポーツ障害についての教科書です。
この教科書では、肩関節の機能解剖と投球動作のバイオメカニクス、評価や治療方法がエビデンスに基づき視覚的にもわかりやすく説明されています。
段階的なリハビリテーションの方法についても写真を用いてわかりやすく解説され、また、肩のリハビリテーションで最も見落とされがちな競技復帰に向けたインターバルプログラムやその客観的基準も示されています。
肩を損傷したアスリートに効果的で広く用いられているThrower’s Tenプログラムと上級Thrower’s Tenプログラムについて写真を用いて示してくれている付録もあり、肩を専門としている人、肩を使うスポーツ関係者にとって非常に有益な教科書だと思います。
よせやん
野球肘検診
次に、野球肘検診という非常に狭い範囲の教科書です。
近年、学童期野球選手の運動器の健康を守るとことは、野球に関わる医療者・指導者の最優先事項となっています。
一方で、多くの野球選手が野球肘の痛みを経験しており、その予防対策が課題となっています。
最近ではエンゼルスの大谷選手も肘を痛めてしまったのは記憶に新しいと思います。
学童期の野球肘は、発生まもない症状に乏しい時期に離断整骨軟骨炎をみつけだし、適切な診断・対応で重症化しないように努めることが必要です。
この教科書では、野球肘の早期発見・予防のため指導者・医療者が押さえるべき要点を分かりやすくまとめてくれています。
少年野球に関わる全関係者必携の一冊と言えるでしょう。
よせやん
小児骨折の自家矯正
あと、2冊紹介します。
これは、小児骨折における自家矯正の実際を知ることができる教科書です。
小児骨折の治療にあたっては、成人との最大の違いである成長軟骨板の特性や特徴をよく理解したうえで、自家矯正が生じうることを常に頭に置いて保存治療あるいは手術治療の選択を行う必要があります。
しかし、教科書にこれくらいまでの変形は許容と書かれていたとしても、実際に自分が子どもの成長にまで責任を持って診ていくとなると非常に不安になると思います。
この教科書では、こどもの骨折に特有の自家矯正力にスポットを当て、自家矯正の傾向や程度が実感できる138ものバリエーション豊かな症例を示してくれており、部位ごとに骨折後の変形が実際にどの程度矯正されうるかを知ることが可能です。
日常の小児の診療において、骨折を診て治療を選択する際に大変参考となる1冊でしょう。
整形外科医の先生にはオススメしたい1冊です。
よせやん
X線読影
最後に、こちらのX線読影に関する教科書です。
整形外科医や放射線科医だけでなく、初期研修医など救急に携わる全ての医師に必須の単純X線読影についてわかりやすく解説されています。
各章は、正常解剖・X線の画像分析・よくみられる損傷・まれであるが重要な損傷・ピットフォール等で構成されており、豊富な画像が満載で日々の臨床に役立つ内容になっています。
初期研修医が救急診療のために、専門医・指導医が知識を整理するためにおすすめの1冊です。
よせやん
おわりに
以上、今回はJOSKASの書籍コーナーでチェックした最近出版された整形外科・スポーツ医学の教科書のうち気になったものを厳選して紹介しました。
僕は学会に行くと必ず書籍コーナーに立ち寄ります。自分が興味あって参加している学会の内容に関係のある教科書が多いですし、教科書の立ち読みができるのも大きいですよね。
やっぱり手に取らないとわからないところがありますので。
最近では新しい教科書をチェックするのも学会に行く楽しみの一つになっています。
また学会、勉強会などに行った際に新しい教科書が発刊されていたらご紹介します。
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