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足アーチのキネマティクス|足アーチの構造と働き、歩行周期との関係とは

 
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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

よせやん

今日から踵テーピングをして本格的にフットサルに競技復帰する予定です。

なんとか痛みなくできるといいのですが。怪我からの復帰はいつでも怖いものですね。

 

さて、今日は足の外科領域の話題です。

足アーチのキネマティクスとして、足アーチの構造、働き、歩行周期との関係についてお話しします。

Contents

足アーチの歴史

最初に、足アーチの歴史についてお話しします。

 

足アーチは霊長目の中でヒトだけが持つ特色です。

ヒトの最大の特徴が直立二足歩行であり、それを成り立たせている大きな要因の1つが足アーチです。

今から500万〜258年前には、2種以上の猿人が併存しており、さまざまな二足歩行への適応をしており、そのうちアウストラロピテクス猿人には足アーチがあったことが最近の化石研究で明らかになっています。

 

足アーチは、重い体重を支え、また、力を効率的に地面に伝え、少ないエネルギーでより遠くまで歩行することを可能にしています

これは常に飢餓状態であった猿人にとって死活問題であったに違いないでしょう。

 

ヒトはその初期段階において、さまざまな二足歩行パターンを模索しており、最終的に足アーチを持った猿人だけが自然選択されて、我々現生人類に進化した可能性も指摘されています。

 

また近年、後脛骨筋機能不全などの足アーチ破綻をきたす疾患が注目を集めるようになっており、足アーチに対する知識はますます求められるものになってきています。

よせやん

足アーチの構造

続いて、足アーチの構造についてお話ししようと思います。

足は1つの伏せたお椀のようなものです。

足アーチを構成するものとしては、骨、靭帯、筋腱、制御神経系の4つを挙げることができます。

足アーチは1つのものですが、形態的には以下の3つが存在します。

  • 内側縦アーチ
  • 外側縦アーチ
  • 横アーチ

内側縦アーチは踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨などから成り、外側縦アーチは踵骨、立方骨、第5中足骨などからら、横アーチは舟状骨、3つの楔状骨、立方骨、5個の中足骨などから成っています。

足アーチの上面は、骨とそれらをつなぐ靭帯がアーチ構造を作っており、底面を足底腱膜が作っています

それらの構造を固有知覚受容器などの制御神経系と後脛骨筋などの筋とが動的に制御しているのです。

 

足アーチの働き

足アーチには、truss mechanismとwindlass mechanismという2つの働きがあります。

 

truss mechanism

まず、truss mechanismについてお話しします。

truss mechanismとは、建築学でもよく使われている三角構造(truss)のことです。

 

三角構造はそれ自体、非常に強固な構造ですが、足アーチでは特に特異な三角構造を作っています。

それは、三角形の上辺が骨構造で硬く、底辺が足底腱膜で柔構造となっているからです。

 

そのため、体重が加わると足底腱膜が伸展して、しなやかに三角構造が沈み込んで荷重負荷を分散することができるわけです(下図)。

 

windlass mechanism

続いて、windlass mechanismについて説明します。

windlass mechanismとは、足アーチを浮上させるメカニズムのことです。

 

windlassとは、船のいかりを巻き上げる器械のことです。

このメカニズムの主役は足底腱膜です。

 

足底腱膜は踵骨から起始して足趾基節骨に停止しています。そのため、歩行周期の踵離地時において足趾が背屈すると踵骨が巻き上げられて、結果的に足アーチが高められることになります。

その結果、剛性の高い足となり、前方推進力が効率的に地面に伝達されるわけです(下図)。

 

歩行時の足アーチの動態

足アーチの本質は、そのキネマティクスにあります。

歩行時に動的に機能するメカニズムであるところが重要です。

そのことが、少ないエネルギーで効率的に歩行できることにつながっています。

 

ここで、歩行周期について説明しましょう。

歩行周期
歩行周期は踵接地(歩行周期0%)に始まり、同側の足が次に踵接地するまで(歩行周期100%)が1歩行周期です。 

7%で足趾が接地して(趾接地)、34%で踵が地面を離れ(踵接地)、62%で足趾が地面を離れて(趾接地)、以後は遊脚期となります(下図)。

 

踵接地から踵離地まではtruss mechanismが働き、徐々に足アーチは低下します。これは体重が分散されていく過程です。

次に、踵接地を過ぎると足趾が背屈されてwindlass mechanismが働き、踵骨が牽引されて足アーチは高まっていきます。

この過程で足は剛性が高まり、蹴り出しの力が地面に効率よく伝わっていくことになります。

 

これらの関係を図で示すと下図のようになります。

 

おわりに

以上、今回は足アーチのキネマティクスとして、足アーチの構造、働き、歩行周期との関係についてお話ししました。

 

足アーチは霊長目の中で直立二足歩行をするヒトだけが持つ特色で、僕たちが行なっている歩行と密接に関係しています。

この足アーチのように、足の外科は勉強する非常に面白い分野です。

 

今後も引き続き足の外科に関するテーマも記事にしていこうと思います。

よせやん

 

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