「日本人サッカー選手のフィジカル特性」スポーツ科学で考える!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
今日は手術も早く終わり、時間があるかと思いきや緊急手術があったりして全く時間がありませんでした。
時間をみつけてコツコツ勉強も+αの仕事も頑張っていきます。
さて、今日は日本人サッカー選手のフィジカル特性についてです。
以前、「サッカーに必要な体力的要素」について、スポーツ科学の観点からまとめました。
まずは、そちらの記事を確認してみてください。
サッカーに要求される体力的要因には持久力、高強度運動能力、スプリント能力、筋発揮能力の4つ要素に分類されるのでしたね。
そして先日、サッカーに必要なこれらの体力的要素を測定するためのフィジカルテストについて記事にしました。
今回は、これらの体力的要素について行われてきた体力測定の結果から、日本人サッカー選手のフィジカル特性について考え、
- 外国人選手と比べて勝っている、劣っているのはどういう点なのか
- 日本人選手が世界で戦うためにどうすればいいのか
について、考察してみようと思います。
前回の記事で出てきた略語を用いますので、わからない略語があれば前回の記事を参照して下さい。
Contents
男子日本代表
まず、サッカー男子日本代表のデータです。
VMAにおける日本代表の平均値は諸外国の平均値と比較して高い結果となっています。
また、YYIRテストの結果もデンマークのプロ選手の値以上であり、持久的パフォーマンスと高強度パフォーマンスは、ストロングポイントとなることが示唆されています。
一方、サッカーの勝敗に大きく関与するスプリントパフォーマンスでは、スタンディングスタートからの10m、20m通過時のタイム比較で、諸外国選手の平均値よりもおおむね下回っています。
イタリア、フランスのプロ選手に対する20m通過時のタイム差は約0.1秒で、距離に換算すると1m弱にもなります。
そのため、
あくまでもデータ上の話ですが、間違っていないのでないかという印象は受けますね。
よせやん
女子日本代表
次に、サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)のフィジカル特性です。
なでしこジャパン(GKを除く)の推定最大酸素摂取量は、49.2mL/kg/minであり、この値はイングランドプレミアリーグ選手のインシーズン平均値の48.4mL/kg/minと比較しても遜色のない数値です。
ちなみに、なでしこジャパンの選手が測定したのは2月のオフシーズンであるため、決してコンディションの整った状態ではなく、同時期に測定した海外のデータと比較すると、イングランドのエリート選手(平均21.3±3.1歳)は39.4mL/kg/minであり、なでしこジャパンの有酸素能力の高さが理解できます。
一方、なでしこジャパンの高強度運動パフォーマンスはYYIRテストで1,192mで、デンマークの国内リーグ選手と比較すると、デンマーク選手の平均値は1,379mであり、必ずしも日本人選手が優れた値を示しているわけではありません。
筋発揮パフォーマンスでは、日本人選手のジャンプ能力はCMJwAが35.0であり、アメリカの大学生選手は41.9と、なんと約7cmの差があります。
スピードに関してもなでしこジャパンの選手の数値は、オーストラリアの選手の数値と比較して、20mで約0.1秒の差が報告されています。
したがって、男子同様、スピードに関しても今後のさらなる向上が必要であると考えられています。
これらの結果から、なでしこジャパン選手の体力特性と海外とのフィジカルチェックを比較すると、
参考図書
これは、日本サッカー協会スポーツ医学委員会が編集している教科書です。
現場で日々選手と向き合う監督・コーチの方々に対して有用なスポーツ医学の教本となるべく出版されています。
最近のサッカー医学の進歩には目覚ましいものがありますが、その最先端の知識がこの教科書にはまとめられています。
外傷・障害については危篤なものや頻度の多い疾患を中心にまとめてあり、さらに内科的疾患にも関してもまとめてあります。
この本のいいところは、疾患に関することだけでなく、サッカーに関わる多岐にわたる内容が書かれているところでしょう。サッカー関係者の方はぜひ一度読んでみて下さい。
おわりに
以上、男子・女子代表サッカー選手の日本と強豪国とのフィジカルチェックの結果の比較から、日本人選手のフィジカル特性をまとめてみると、
日本人選手は持久的パフォーマンスがストロングポイントであることは間違いありません。
しかし、サッカーにおいて試合を決定づけるスプリントパフォーマンスや筋発揮パフォーマンスにおいて、日本人は苦戦を強いられると思われます。
この差を埋めていくためには、育成世代からのコーディネーション能力やランニングスキルの更なる向上が必要になると考えられます。
よせやん
そして、これらの課題を克服するためには、育成世代の早い時期からでも強化できる体幹部のトレーニングや自体重での筋力強化を中心に、サッカーに必要な4つのパフォーマンスの向上に努めていく必要があるでしょうね。
サッカーを科学するのは面白いですね!!
では、今回はここまで。
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