整形外科医と柔道整復師について思うこと|柔道整復師・整形外科医のリアルな声と理想的な付き合い方
どうも、こんにちは。
整形外科医のよせやんです。
よせやん
今日(9日夜)から12日の朝まで当直に来ています。
当直に来るまでに基礎実験のできることをしなくてはいけなかったので、細胞を刺激して準備をしたり、解析するための写真を撮ったりで忙しくしていました。
12日夕方まで仕事をしたら翌日は一応休みなので(午前中はチームドクターの仕事、午後は手術ですが・・・笑)、もう少し頑張ろうと思います。
さて先日、下のようなツイートをしました。
整形外科医の間で柔整は敵のように語られるれることもあるが、病院に勤務してる柔整の先生はやる気があって、勉強家で、診療を助けてくれて、いいイメージしかない。
将来開業するとしても、一度整形外科で知識の幅を増やし、コネクションを作ってからその近くでするのがいいのでは?と思ったりする。
— よせやん@目指せスポーツドクター (@sports_doctor93) January 6, 2021
ふっと思ったことをツイートしただけですが、なぜか想像以上の反響がありました。
それだけ柔道整復師の方が普段思っていることがあるのでしょう。
また、それは整形外科医も同じかもしれません。
Twitterの140文字では伝わらないこともありますので、一度整形外科医と柔道整復師についてブログの記事にして、今の僕が思うことを書いてみようと思います。
よせやん
まとめて書くつもりでしたが、書いていたらすごく長くなってしまったため前回の記事で僕が今までに出会った色々な柔道整復師の先生方を紹介しました。
もちろんいい事ばかりではなく、ダメだと思うことも正直に書かせてもらいました。
今回は、先日のツイートの時に頂いた
- 柔道整復師の声
- 整形外科医の声
を紹介したいのと、
- 整形外科医と柔道整復師の理想的な付き合い方
などについて僕の考えをお話しできればと思います。
これは僕の個人的な意見ではあり、整形外科医の総意はありませんのでそこはご理解ください。
Contents
ツイートに対する柔道整復師の声
先日のツイートに対して多くの柔道整復師の方にコメントを頂いたので紹介します。
まずは、整形外科で働いていた、働いている方からのコメントです。
一部、柔道整復師でない方のコメントも入っているかもしれませんが、参考になるものは入れさせてもらっています。
整形外科で勤めて計5年目ですが、医師含め他業種の有資格の方々に質問や相談ができるのは、確実に経験値になってる。
よせやん先生のお言葉は本当にありがたい。
そしてこの引用RTの内容もリアルの声が多いことに要チェックや!!#U25柔整師 https://t.co/bhbEupqBbr— 舞草@平成最後の柔整師 (@Patellafracture) January 8, 2021
ドクターと一緒に仕事をする事で、多くの事を学んだ一人です。
教科書に書いてある事やそれ以上の事を沢山学べました。
トレーナーとしてだけでなく、一医療者として働く上でドクターと働く事で得られることは無限大だと感じています。 https://t.co/hP4hNzWJsG— ひろむた@大学AT×主夫×訪問治療家 (@hiromuta_at) January 6, 2021
AT学生の時はMDの授業やシャドー、ラウンド、手術見学があった。大学での勤務では整形外科医や内科医と密接に仕事をした。MDから学んだこと、教えてもらったことは計り知れない。大学での業務、独立してから、今もMDから学んだ知識と技術が元になっていることは間違いない。 https://t.co/7X02eevmWG
— 藤橋正幸 Masa Fujihashi アスレティックトレーナー(ATC, DN) (@MF_12) January 6, 2021
8年ほど総合病院のリハビリ科に勤務していましたが、折角の環境なので各科のドクターにガンガン質問しに行きました。忙しくて迷惑な時もあったでしょうに皆さんとても親切で丁寧に教えてくださいました。あとは検査技師さんや薬剤師さんにもお世話になりましたね。お陰で開業後の土台になっています。 https://t.co/sSlZvUuutH
— ルーン@( 。・ω・)⊃━☆゜*・。 (@rune_worth) January 6, 2021
私も柔整取得してすぐに整形外科に勤務させて頂きました。
外傷は少なかったですが、医師と医療用語という共通言語で仕事させて頂いた経験が、今病院に選手やクライアントをお願いする際にとても役立っています。当時の院長には感謝しかありません。 https://t.co/W4dLdQCXwW
— 岩崎正人トレーナー (@masaiwamasaiwa) January 6, 2021
間違いなく整形外科でまずは学んだ方がいい!!
合計で5年間ほど整形外科に勤めさせてもらってものすごい経験をたくさん詰ませてもらってそのおかげでたくさんの外傷が見れている!素晴らしいドクターさんのところで経験を詰めればそれが一生の財産になる!その出会いを掴むのは自分次第!#整形外科 https://t.co/qlDTZwIMs3— Hiroki Kondo / 鍼灸、柔整、JSPO-AT、SMART、NASM-PES (@khiroki0904) January 6, 2021
逆に整形外科で働かせていただいて、めちゃくちゃ成長出来た気がするし、毎日毎日外傷の事教えていただいて厳しいドクターでしたが、今は感謝しかありません。柔整の方は是非整形外科に勤務してみて!プラスしかないよ! https://t.co/K7skU5QKxc
— kansetsuwaza (@kansetsuwaza38) January 6, 2021
私は、柔整を取得し初めて勤務した場所が整形外科でした。
医師がどのように診断し、処置、整復、読影、他科とのコミュニケーション、患者さんとの接し方などetc…学んだ事は数知れず。
医師と仕事をしていなければ、現在の自分は無いなと実感しています。
お世話になった先生に挨拶いかなければ🤔 https://t.co/plFDyVfiw5
— 中島 裕之/Hiroyuki Nakajima (@nakajimahiro811) January 6, 2021
整形外科で働いていて方はやはりとても勉強となり、その経験は今にも大いに生きていると実感しているようです。
ただし、以下のコメントのように柔道整復師の先生にとって、整形外科で勤務するというのは少しハードルが高いのかもしれません。
ありがたいお言葉です。
広島ではまだ数件はあるものの整形外科で柔道整復師を雇っていただけるところが少ないのが現状です。
都道府県によって現状は様々と伺います。一度整形での経験をすることは開業など将来のために非常に貴重な経験になると思ってます。 https://t.co/XRJNr89wGj
— 河原一仁 (@kazu72462) January 6, 2021
キャリア形成の過程において病院で働ける数が少なすぎるからなぁ、、。
病院で働いているだけで、意識高い系かつエリートなのです。 https://t.co/oKTwPtMIcY— こぶた。 (@okabubancho) January 6, 2021
僕は整形外科にとっても柔道整復師の先生と働くことでメリットがあると思うので、そういった環境を作り上げていくことも一つの連携の方法なのかもしれませんね。
よせやん
一方で、柔道整復師から柔道整復師に対するコメントも考えさせられるものがあります。
自分も柔整とって、整形外科に勤務していた時は接骨院(柔整)はヤバイ人が多いと同じ資格ながら思っていました。
しかし、上位10%以内くらいの人は本当に勉強している https://t.co/lkdkBj6tj0— 本澤博文|外傷×慢性×WEBマーケ (@homtolk) January 6, 2021
本当にありがたいこと。
医師からこう言って頂けてるんです柔道整復師も。
◯◯式なんちゃら法とかの怪しい治療法でセミナー事業やってる場合ちゃう。 https://t.co/O55JrzQWkQ— いでしょー@バレー医学 (@shosei1128) January 6, 2021
柔整師をこのように捉えてくださる先生がいらっしゃるのは、本当に本当にうれしい。ありがたい。柔整師よ、独自の理論とか何かが歪んでるとか言ってないで勉強しよう。 https://t.co/N1eTkII1Jz
— いなじ (@honetsugi_inaji) January 6, 2021
こういうご意見は本当にありがたい。
受け入れ問題はあるにせよ、柔整師は一定期間病院で研修を受けたりしなければ新規も現状開業している人も仕事できない状態になっても良いと思う。
良いのか悪いのか別として、今の世代より前は研修制度なかったからすぐに開業できた過去がある。病院で働きたい… https://t.co/grTo5r5lO1— 杉本将@エンタメ × 医療 (@welcomeminari) January 6, 2021
柔道整復師の先生にも今のままじゃいけないと感じている方がいらっしゃるようです。
もちろん、それはあくまで個人個人の問題であり、前回の記事で述べたように優秀な柔道整復師の先生はたくさんいます。
もちろん身体の各部分の傷害に対して身体全体のアライメントや身体の使い方は非常に大切なことでそれを矯正することは有用だと思うのですが、そういうレベルの考えではないところが多いのが実情なのかもしれませんね。
ただ、やはり整形外科医と協力して、患者さんのことを第一に考え、いい医療を提供できればと思っている方は少なくないようですので、そこは整形外科医の皆さんにも知っておいて頂きたいところです。
よせやん
ツイートに対する整形外科医の声
次に、整形外科医の先生から声です。
去年行ってた病院は柔整さんを雇ってたり、柔整向けの講義とかもやっていて整形外科受診が必要な症状とかをレクチャーしていた
自分も開業とかするならそんな関係性を作りたいと思うなぁ https://t.co/uzDYj9QZSW— 鋼の整形外科医 (@FullMetalOrtho) January 6, 2021
聞いた話だと膝痛い人抱え込んでしばらく治療してたあげくに患者自らクリニック行ったら骨肉腫だったとか恐ろしい話も聞きました。そういう意味でも整形の知識はあってほしいですね…
うちの病院の近くの接骨院の先生はきちんと診て必要なら紹介してくれるのでお返事書いて良好にお付き合いしてます。
— さと|医師×複業 (@stsh0402) January 6, 2021
僕も一緒に働いてますが、それで改めてわかることも多いですよね🙋♀️
— おると🔨🐦整形外科医 (@Ortho_FL) January 6, 2021
開業で無茶苦茶なところがあるから印象が悪いのかもしれませんねえ
一緒に働くのと、印象がかなり変わるのはそこなのかと
— おると🔨🐦整形外科医 (@Ortho_FL) January 6, 2021
実際に柔道整復師の先生と協力して診療している先生もいらっしゃることがわかりますね。
鋼先生の勤めたことがある病院のように、柔道整復師さんを雇ってたり、柔道整復師の方を交えた講義で整形外科受診が必要な症状とかをレクチャーしている関係はまさに理想の関係なのかもしれません。
ただ、やはり接骨院で囲い込みをして患者さんが不幸になってしまったケースを目の当たりにして心証が良くない柔道整復師の先生がいることも残念ながらまた事実なのだと思います。
そして、残念なことにそういう印象が他の柔道整復師の先生の足まで大きく引っ張ってしまっているのが現状なのでしょう。
整形外科医と柔道整復師の理想的な付き合い方
では、最後に僕が思う整形外科医と柔道整復師の理想的な付き合い方についてお話ししようと思います。
理想はまさに先ほど述べたような、患者さんのことを第一に考え、お互いにリスペクトしつつ協力して治療を行なっていける付き合い方、そして、なおかつお互いにとってメリットがあるwin-winの付き合い方です。
それは、個人でももちろんそうですし、接骨院としても同じだと思います。
- 接骨院として送るべき症例が来た時に整形外科に紹介できる
- 紹介状の返事などでその症例がどうだったのかフィードバックがもらえる
- それを続けることで病院およびそこに勤めるドクターの信頼が得られる
- 病院からもそこの接骨院に行くことを患者さんに勧められるようになる、逆に紹介してもらえるようになる
こんな感じで付き合えたらいいと思うんですが、どうでしょうか。
しかし、現在の状況で整形外科医が柔道整復師全員と連携を取っていけるか?と言われたらそれは厳しいのかもしれません。
それは何故かと言われると、最大の理由は共通言語で話せないからだと思います。
よせやん
協力して治療を行なっていくことを目指すならば、ある程度同じレベルで患者さんの状態や治療について考えられることが前提となります。
整形外科医もきちんと勉強して適切な治療ができていることが大前提ですが、整形外科でどうやって診察・診断を行なっているのか、身体所見と画像所見(診断)がどうリンクするのか、どういう症例が手術適応となりどういう症例が外来でフォローされたり、近医に紹介されていくのか。
そういうことを柔道整復師の先生が理解して開業されたならば、これは整形外科に送った方がいい、これなら少し経過を見てもいいかもしれないといった判断ができるでしょう。
今後連携していくためには
では、どのようにしたら今後整形外科医と柔道整復師が連携していけるようになるのでしょうか。
もちろん業務が異なるわけですから、柔道整復師としてのカリキュラムが最も大切で、それを最大限に尊重すべきです。
しかし、それに加えて柔道整復師の養成カリキュラムに整形外科での診療を伝える場があったり、整形外科での臨床研修があるのが理想できなのではと個人的には思ったりしてます。
整形外科に勤務する
実際に整形外科に勤務する、見学に勉強に行かせてもらうというのが一つの方法なのだと思います。
そうすることで、前の記事で述べたように、医師の診察・診断・その考え方を知れるのはもちろんのこと、身体所見と画像所見とのリンクを学べたり、自分が診察して実際に結果がどうだったのかを知ることができます。
また、医師や看護師、理学療法士、作業療法士とのディスカッションを通じて、他の職種がどのように考えているのかを知ることができるのもその後の診療に大いに生きると思います。
逆に、整形外科医にとっても診察前に、問診・身体所見を取ってくれてあると診察時間を短縮できるので非常に助かるでしょう。
また、整形外科医として診療していて骨折や脱臼に対して整復を行い、シーネやギプスで外固定を行うと、かなりの時間を取られそれだけで外来が圧迫されます。
この点においても、柔道整復師の方がいればこの整復・固定を任すことができるのでとても助かります。
コネクションを作っていく
そして、もう一つの方法は、整形外科医とコネクションを作る場を作り出すことです。
整形外科に勤務しなくても、整形外科と合同の勉強会があればそれだけでも整形外科医の考え方や治療を知ることができるし、整形外科医から病院受診が必要なケースや症状を教えてもらえるような講義をしてもらえるような環境があればなお良しでしょう。
ただし、現状そのような場は少ないのが事実なのだと思います。
しかし、例えば臨床スポーツ医学会に参加すれば、講演を聞いたり、ポスターを見ているだけでかなり勉強することができます。
ただ、整形外科医と接する場がないというのもまた事実なのでしょう。
そこを変えていくためには柔道整復師が協力して、組織として整形外科と協力してやっていく体制を作っていく必要もあると思います。
個人として簡単にできそうなのは、上記のように実際に整形外科に勤務している柔道整復師の先生が整形外科医とのコネクションを作り、そこに勤務していない柔道整復師も含めて合同で勉強会を行うなどでしょうか。
これは、整形外科医を上に見ているとかそういうわけではなくて、何か繋がるためのきっかけ作りが必要だと言いたいだけです。
知識を勉強するだけであれば、このブログを読んでもらったり、医学情報を発信している医師のアカウントをフォローするのも一つの手ですし、スポーツ医学・運動器診療を学ぶためのオンラインセミナー無料視聴サービスであるEncounter Seminar Onlineを利用してもらうのも一つの手です。
ちなみに、Spolinkは医師と柔道整復師を含め、あらゆるスポーツ医療者が集まるコミュニティですから、そこの在籍している方が医療連携のメリットを知ってくれ、上記のような動きを各地で実際にやっていってくれることを期待しています。
未来は今が作る
ただし、柔道整復師界も変わる必要があるのではないかと思っています。
現在の社会はSNSが急速に発展しており、医師でTwitterやYoutubeをやっている方も増えてきているので、少しずつですが一般の方の医療リテラシーは向上していると思われます。
そうすると、これは医師も同じではありますが、こういう医療者はヤバイというのが今後は一般の方にもわかるようになってくることが予想されます。
そうなると、今患者さんに対して本当にいいことができていない医療者病院、接骨院は今後淘汰されていく可能性があるのではないでしょうか。
今の整形外科医と柔道整復師のリアルな関係は皆さんの知ったところですが、今の若年層は固定観念にとらわれずオープンな考え方の人が医師にも多いです。
ですので、世代交代が行われていくにつれて、今の関係は変わってくる可能性はあるでしょう。
しかし、そのためには医師の考えが変わる必要もありますし、柔道整復師の先生もどうあるべきなのかしっかりと考え、それを実践していかないといけないと思います。
未来を作っていくのは今の私たちです。
いきなり大きな劇的な変化が起きるわけではありません。
誰かが行動することによってそこに動きが生じ、それが周りの人を巻き込んでだんだんと大きな渦を作り、次第に何かを変える可能性を秘めた動きになり、やっと少しずつ変わっていくのです。
これはSpolinkが目指しているところについても同じことが言えますね。
患者さんのことを第一に考えて、それに向かって多職種が協力していける、そして、それがお互いにとってプラスになる。そんな未来が待っていたらどんなにいいでしょうか。
よせやん
本気でスポーツ医学と運動器診療を学びたい人のために!
- どこにいても(都会でも地方でも)
- 誰でも(医師・理学療法士・鍼灸師・柔道整復師・トレーナー・学生などスポーツに関わる全ての人)
- いつでも(24時間)
利用可能なスポーツセミナー動画配信サービス!!
1週間1円トライアル実施中!!