オスグット病の診断|画像診断・病期分類・鑑別診断を細かく解説!
どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。
サッカー日本代表後援会からロシアW杯アジア二次予選の3月24日(アフガニスタン戦)、3月29日(シリア戦)の日本代表戦のチケットの先行販売の案内が来ましたね。29日の試合には観に行こうと思っています。
サッカー日本代表後援会って何?って思った人は下の記事を読んでみてください。日本代表戦のチケットがかなり入手しやすくなります。
今日は前回の続きでオスグット病について勉強していきましょう。
前回は、オスグット病の概念と原因・発症メカニズムについて詳しくまとめました。
今回は、オスグット病の診断についてまとめます。
画像診断・病期分類・鑑別診断に関して勉強しておきましょう。
Contents
診断
オスグットシュラッター病(Osgood-Schlatter disease:OSD)の診断について、身体所見とレントゲン画像所見・CT画像所見・MRI画像所見などの画像診断について順番にまとめていきます。
身体所見
オスグット病の身体所見としては、脛骨粗面部の骨隆起と疼痛、同部位の圧痛、腫脹、熱感などを認めます。
その痛みは正座時や運動時に増強するとされています。
膝関節屈曲位から伸展させる際に、下腿遠位部に抵抗を加えると、脛骨粗面部に疼痛の再現がみられます。また、大腿四頭筋の緊張を認める症例が多く、腹臥位での膝屈曲に際して、大腿四頭筋の過緊張により尻上がり現象(名前の通り、お尻が浮いてくる現象です)がみられることもあります。
レントゲン画像
レントゲン画像の所見としては、脛骨粗面骨化核の不整、隆起、分離、遊離などがみられます(図2)。
前回述べた通り、Ehrenborgらは脛骨粗面の成長段階を4段階に分けてX線学的変化の詳細について報告しています(図1)。( Ehrenborg G, et al. Acta Chir Scand. 1961 )
図1:脛骨粗面の骨化過程( Ehrenborg G, et al. Acta Chir Scand. 1961 )
また、レントゲン画像上の病期分類として、以下の3つに分類されます。
- 初期:
脛骨粗面部に限局性透亮像を認める - 進行期:
分離・分節像を認める - 終末期:
遊離対形成を認める
ただし、年齢に応じて、骨化か遊離体かを判断する必要があります。
そのためにも、
脛骨粗面の発達段階と病期をきちんと把握しておくべき
であると考えられます。
図2:OSDのレントゲン画像 左図、右図ともにepiphyseal stageであり、X線上の病期分類としては、左図は遊離体を認める終末期、右図は分離・分節像を認める進行期です。
CT画像
CT所見は基本的にレントゲン画像の所見と同様の所見を呈します(図3)。
3D−CTだとX線よりも視覚的に捉えやすくなります。
図3:OSDのCT所見 3D−CTだと視覚的に捉えやすい
MRI画像
MRI画像では、膝蓋腱遠位部が肥厚し、T1強調像、T2強調像で信号上昇を認めます(図4)。
図4:OSDのMRI所見 T1強調像
また、脛骨粗面の分節化によって、前方皮下組織の浮腫やHoffa脂肪体(膝蓋下脂肪体)の浮腫、深膝蓋下滑液包の腫脹を伴うことがあります。
脛骨骨幹端にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示す骨髄浮腫を示す場合もあります。平野らは、病態を捉えるためには、MRIによる軟骨の描出が有用であるとして、MRI画像を病期の進展に沿って以下のように分類しています。
- 初期(early stage):
MRI像が正常、もしくは脛骨粗面周囲の炎症像 - 進行期(progressive stage):
脛骨粗面の骨または軟骨の部分的剥離像 - 終末期(terminal stage):
完全に分離したossicle(遊離体)の形成 - 治癒期(healing stage):
発症後、骨性の治癒機転によりossicleを形成せずに治癒したもの
鑑別診断
OSDの鑑別診断としては以下のようなものが挙げられます。
- 脛骨粗面裂離骨折
大腿四頭筋腱の付着部である脛骨粗面に裂離骨片を認めます。骨片が転位していれば診断は容易ですが、転位していない軽症の場合はOSDとの鑑別が難しい場合があります。
- 膝蓋腱炎
成長期以降に発症し、膝蓋骨の下極または上極に圧痛を認めます。MRI検査で、膝蓋腱の肥厚を認めます。 - 有痛性分裂膝蓋骨
発育期の男子に多く、特徴は似ていますが、分裂部(膝蓋骨)に一致した圧痛を認めます。
おわりに
以上、今回はオスグット病の診断として画像・病期分類および鑑別についてまとめました。
次回、最後に治療やリハビリテーション、予防などに関して勉強しましょう。
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