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脳震盪からのスポーツ復帰|子どもの場合は特に慎重な段階的復帰を!

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サッカーを愛する若手整形外科医です。 夢はサッカー日本代表チームドクターになること! 仕事でも趣味でもスポーツに関わって生きていきたい! 自分の日々の勉強のため、また同じ夢を志す方やスポーツを愛する方の参考になればと思い、スポーツ医学、整形外科、資産形成などについてブログを書いています。
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どうも、こんにちは。
若手整形外科医のよせやんです。

今日は膝関節から発生した大腿遠位部のガングリオンに対して、鏡視下切除術を行いました。なんかあまり見慣れない光景で新鮮でした。

さて、今日は脳震盪シリーズの最終章です。

脳震盪をはじめとしたスポーツ頭部外傷後に生活で注意すべきことはあるのでしょうか。また、どのようにしてスポーツに復帰していったら安全に復帰できるのでしょうか。そして、子どもの場合でも同じように復帰したらよいのでしょうか。

スポーツ復帰のタイミングを間違えると、後遺症を残したり、ときに致命的となることがあり、復帰時期に関する知識は非常に大切です。

しかしながら、実際のスポーツ現場、特にトップレベルでないジュニア、高校生などにおいては、きちんとした安全なスポーツ復帰がされていないケースが多く見受けられます

今回は、脳震盪後の生活における注意点スポーツ復帰についてまとめました。

脳震盪を受傷した後にスポーツ復帰する際の参考にして頂けたら幸いです。

脳震盪後の生活における注意点

まず、脳震盪を受傷したあとの生活における注意点です。

脳震盪後の生活において重要なのは、肉体的・精神的な休息(physical and cognitive rest)を十分に取ることです。

また、脳震盪からの回復や予後は、年齢によっても様々であるとされています。

特に小児や若年者、女性は回復期間の遅延が指摘されているので、スポーツに復帰する時期も遅めに設定する必要があります。( Zafonte R. JAMA. 2011)

McCroryらは日常生活における注意点として、テレビゲームやインターネット、携帯端末などの集中力や注意を要するような活動は、症状の悪化や回復の遅延を引き起こす可能性があることを指摘しています。( McCrory P, et al. Br J Sports Med. 2009 )

脳震盪を受傷した場合は、これらのことに注意して、十分な肉体的・精神的な休息を取るようにしましょう。

スポーツ復帰の大原則

頭部外傷

では、脳震盪をはじめとしたスポーツ頭部外傷後のスポーツ復帰についてです。

まず、大原則であるのは

症状が残存している場合は、スポーツに復帰するべきではない。( Lovell MR, et al. Clin Sports Med. 2009 )

ということです。それはどうしてでしょうか。

脳震盪を一度起こすと、2回目の脳震盪を起こすリスクは3〜5.8倍に増加します。( Zemper ED. Am J Phys Med Rehabil. 2003 )

そして、2回目の脳震盪を起こすと、命に関わるセカンドインパクト症候群に陥ってしまう可能性もあるのでしたね。

さらに、脳震盪を繰り返すことにより、回復が遅延することが指摘されており、3回以上の脳震盪はうつ病や認知機能障害のリスクを増加させ、認知機能力低下のリスクは5倍、記憶障害のリスクは3倍になるとされています。( Guskiewicz KM, et al. Med Sci Sports Exerc. 2007 )

脳震盪を繰り返すことによる後遺症については下の記事で確認してください。

以上のような理由から、柔道やラグビーでは、

たとえ脳震盪後に症状が残存していなくても、2〜4週間練習を禁止する
ことがそれぞれの競技団体において推奨されています。

段階的競技復帰(GRTP)

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では、実際にスポーツにどのように復帰していけばいいのでしょうか。

脳震盪、もしくは脳震盪が疑われた場合は、該当選手の全面協力の下で徐々に負荷を加える階的競技復帰(Graduated Return To Play: GRTP)”させるのが望ましいとされています。( McCrory P, et al. Br J Sports Med. 2013 )
GRTPとは、下の図のように復帰までに6段階を設けて、症状が完全に消失した後に徐々に運動レベルを上げていく方法のことを言います。

GRTP
図:段階的競技復帰のアルゴリズム( 永廣信治ら.神経外傷.2013より引用 )

症状が出現しなければ次の段階に進みますが、それぞれの段階の間に24時間の間隔をおき、最終的にプレーに戻る前にメディカルチェックを受けることが推奨されています。

つまり、

どんなに早くとも全ての復帰プログラムを遂行し復帰するまでには約1週間は必要です。

もしも、症状が出現した場合は、その段階の前の段階に戻り、24時間の休息をとった後に再度段階を一つ上げます。

なお、19歳以下の小児・若年者では脳震盪からの回復が遅いと言われており、特に慎重に評価をして復帰プログラムを遂行する必要があります。

参考までにラグビーで使用されているIRB(International Rugby Board)脳震盪ガイドラインによる具体的なGRTPプロトコルを紹介します。

GRTP図:GRTPプロトコル( IRB脳震盪ガイドラインより引用 )

おそらくラグビーW杯の際に脳震盪を受傷した山田選手も、このGRTPプロトコルに従って復帰したものと思います。受傷したサモア戦から次のアメリカ戦までは9日空いていましたね。

スポーツ復帰してはいけない場合

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最後に、スポーツ頭部外傷からのスポーツ復帰における例外として、スポーツ復帰させてはけない場合があります。

急性硬膜下血腫などの器質的頭蓋内病変を認めた場合は、症状や画像上病変が消失しても、原則としてコンタクトスポーツへの復帰を許可すべきでない。( 永廣信治ら.神経外傷.2013 )
とされています。

日本でも、若年者の柔道事故で急性硬膜下血腫が治癒したとして競技復帰し、その後に致命的な急性硬膜下血腫をきたした事例や、急性硬膜下血腫の既往のある若年者が、その数ヶ月後の柔道の試合で当簿を強打して重度の後遺症を残した事例が報告されています。後者では、復帰を許可した側に賠償命令が出されています。

永廣らは、受傷から1年後に致死的な急性硬膜下血腫をきたした事例もあり、いつまで復帰を許可すべきでないのかが明らかでない現状では、特に頭部への頻回の衝撃や、店頭による回転加速度損傷を伴いやすいコンタクトスポーツにおいては、原則として復帰を許可しない立場をとるべきであると述べています。

急性硬膜下血腫などの器質的頭蓋内病変を認めた場合は、症状や画像上病変が消失したとしても、原則としてスポーツへの復帰をするべきでない

と考えておきましょう。

おわりに

以上、今回は、脳震盪後の生活における注意点スポーツ復帰についてまとめました。

スポーツ復帰のタイミングを間違えると、後遺症を残したり、ときに致命的となることがあり、復帰時期に関する知識は非常に大切です。

しかしながら、実際のスポーツ現場、特にトップレベルでないジュニア、高校生などにおいては、きちんとした安全なスポーツ復帰がされていないケースが多く見受けられます。

小児や若年者では特に両親や指導者がこの記事の内容を理解しておき、きちんと指導してあげることが肝要です!!

脳震盪などのスポーツ頭部外傷を受傷してしまった場合は、この記事を参考にしてスポーツ復帰するようにして下さい。

スポーツ頭部外傷による防ぐことのできる悲しい事故を減らすためにも、スポーツ仲間や家族の間で知識をシェアして頂けたら幸いです。

 

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  1. 嶋基宏が後頭部を負傷交代?原因や怪我の具合に復帰予定についても! より:

    […] 引用:目指せスポーツドクター […]

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